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茗荷谷くん #5

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先を行ってしまうあなたの
坂の下の方で不思議そうに私を見つめているその目が、
わたしの不安を吸い取っていく。

いつもは届かない背丈も
坂があなたを美しい上目づかいにさせるのだ。
だからこの街はずるい。

今日何だかぼーっとしてるけど、
どうしたの、変だよ、
あ、いつもか。

今日はじめてのあなたの笑顔。
前よりも、ずっと見る回数が少なくなったけれど、
やっぱり、その笑顔を見るために
私はこの街にくるのだと思ったら
のんびりした気持ちになれた。

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赤い電車もまたゆっくりと、
太陽と挨拶して街を駆け抜けて行く。

さあ、この坂を抜けよう。

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