自分の土に合う野菜を見つける「グラウンドペチカ」
〇畑を作る、土を作る
土づくりと野菜の相性
野菜の成長に欠かせないのが「土」。
水耕栽培も近年盛んですが、作物栽培の基本の基本はやはり「土に種をまく」だと考えています。
その土づくりを、ソイルラボの畑ではなるべく自然にあるものや自然に逆らわないもの、周辺環境に馴染むものなどを使って行っています。
農薬は使用せず、化学肥料を施すことはありません。
その代わりとなるのが、畑周りの雑草の刈り草や落ち葉、草木灰、穀物や野菜の残渣、コンパニオンプランツなど。
それぞれに理にかなった役割があるので、土の状態や植え付ける作物に応じて施しています。
そのようにして土を作っていくと、畑と野菜の相性の良しあしがわかることがあります。
「誰々さん家の野菜」
同じ種類の野菜で同じ圃場で栽培しても、品種ごとに成長や収量に違いがある場合があって、それが「この品種がうちの畑に合う」となっていきます。所謂「誰々さん家の大根」というものがこういうことではないのかな、と思っています。
前置きが長くなりましたが、当農園でもそのような「自分の土に合う」野菜がいろいろありまして。
その一つが、ジャガイモの「グラウンドペチカ」。
画像を見ていただければわかりますが、とても特徴的な見た目のジャガイモです(サツマイモに間違われます)。
〇グラウンドペチカの特長
皮が赤紫色で紫の斑が入った目を引く見た目。覆面プロレスラーのような見た目で付いた名前もあるほど。形は俵型で、切ると中はクリーム色〜黄色、メークインに似た特徴があります。
というのも、このグラウンドペチカは「レッドムーン」というメークインの特徴を受け継いだジャガイモの突然変異で生まれたのです。
味は甘みがあってしっとりめの食感。掘りたてもおいしいですが、10日ほどおいて熟成させると甘みが増してさらにおいしくなります。
目を引く見た目から、見かけると思わず手に取りたくなるようなジャガイモですが、スーパーマーケットや市場ではなかなか見かけません。
それでも、地域の産直などでは取り扱っているところもありますね。インターネットの自然食品を扱うサイトやさまざまな農産物を販売するサイトで検索すると、グラウンドペチカを販売しているサイトや農家さんも一定数おり、人気がある品種です。
〇家庭菜園でも人気のジャガイモ、ですが…
ジャガイモは家庭菜園でも人気の野菜で、農薬などを使わなくても良く育つ印象です。
しかし、市場に出荷するために大量生産する慣行栽培のジャガイモは、高温多湿の日本では栽培中に病気になることが多く、強い薬で土壌消毒をすることがほとんどです。
私たちもグラウンドペチカではないジャガイモを栽培していると土中で腐敗することが多く、手間をかける分がなかなか収量に結びつかないということがありました。
ところがこのグラウンドペチカを栽培してみて感激したのは、土中でも腐敗数が圧倒的に少なく、イモの大きさや重量も優れているものがとても多かったのです。
〇グラウンドペチカの生みの親・俵正彦さん
グラウンドペチカは、長崎県の俵正彦さんというジャガイモ農家の方が育成して作り出した品種です。
俵さんはジャガイモを生産する過程で土壌消毒による事故を経験しており、日本の気候風土に合ったおいしいジャガイモを作りたいという信念でジャガイモの育種を志し、15種類ものジャガイモを作り出しました(うち品種登録されたのは10種類)。
俵さんのジャガイモは全て減農薬・少肥料(なくても良い)で栽培できるジャガイモでした。
以上のように、グラウンドペチカは農薬や化学肥料などを使わない当農園のような有機栽培や自然に近い栽培方法で育てる畑にぴったりの品種です。
耐病性に優れていて湿気にも強く、先述したような高温多湿の環境でも、農薬などに頼らずに良いジャガイモがたくさん採れるのです。
〇おすすめの食べ方
ややしっとりした食感で煮崩れしにくいので、揚げ物や煮込み料理、炒め物など、なんでも作りやすく扱いやすいジャガイモです。
肉じゃがやカレー、シチューなどは煮込んでもしっとりしながらホクホクした食感があります。
ポテトフライもおすすめ。1cmほどの厚さで細長く切って素揚げします。形が崩れたり折れたりしないので調理のしやすさもポイントです。
マスタードが効いたジャーマンポテトもおすすめです。ポテトフライと同様に炒めても形が崩れず、調味料やほかの具材とよくからんでからんでおいしく仕上がります。
栗のようにほくほくして甘味のあるジャガイモ「グラウンドペチカ」。育てやすくて料理もしやすく、おいしいなんて、試してみるしかありません(?!)
ぜひ手に取って食べてみてくださいね。
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