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奈良市の人事行政について質問してみた


なぜ質問したのか?

 奈良しみんだよりに次のような記事が掲載されており、職員を減らして人件費を減らすことが、市民にとっても良いことであるように主張している気がし、違和感を感じたから質問を送ってみました。

しみんだより2020年12月号 p.26-27_page-0002

しみんだより2020年12月号 p.26-27_page-0001

 そして、本日、回答をいただけたので、質問と共に回答及び回答への感想をお伝えします。

質問①職員数について

 前年度比で19人減少となっておりますが、これは正職員以外の会計年度任用職員(旧制度の嘱託職員や臨時職員)等も含めているのでしょうか?
 もし含めていないのでしたら、含めた場合の記事と同様の前年度比の表と、推移のグラフを見てみたいです。

【回答】
 職員数について、会計年度任用職員は含まれておりません。
 前年度比及び職員数の推移につきましては、下記のとおりとなります。
 前年度比の表及び推移のグラフを見てみたいとのことですが、過去5年間の人数の推移のお答えをさせていただき、それに代えさせていただきます。

  会計年度任用職員数(旧制度の嘱託・臨時職員数) 各年度4月1日時点
   平成28年度 1,515人
   平成29年度 1,614人
   平成30年度 1,791人
   令和元年度  1,954人
   令和2年度  1,795人

 しみんだよりのグラフのみでは、正確な職員数が不明なため、奈良市のホームページ『人事行政の運営等の状況の公表』で公開されている職員数を見ると、

平成28年度:2,758人
平成29年度:2,753人
平成30年度:2,800人
平成31年度(令和元年度):2,722人

となっています。
 令和元年度の人数がしみんだよりの人数:2,666人と異なっており、グラフとも人数が異なっているため、その理由について、奈良市の人事課に新たに質問しているところですが、どちらにせよ正規の職員数は緩やかな減少傾向にあると言って良いと思います。
 一方、会計年度任用職員(嘱託・臨時職員)については、令和元年度から2年度を除き、毎年度大きく増加しています。
 よって、職員数を減らして、組織を効率化させているのではなく、行政需要に対して、非正規公務員を任用することで賄っていると感じました。

質問②人件費について

 人件費に正職員以外の会計年度任用職員(旧制度の嘱託職員や臨時職員)への給与などは含めているのでしょうか?
 もし含めていない場合は、含めた場合の人件費や人件費率が知りたいです。

 令和元年度までの人件費については、非正規職員(旧制度の嘱託・臨時職員等)の賃金等は物件費であるため、含まれておりません。
 令和2年度以降の会計年度任用職員制度移行後は、人件費となるため、今後は人事行政に明記していくものとなります。
 よって、今回お問い合わせのありました嘱託職員等を含めた場合の人件費データについては、ご提示できる状態のものがございませんので、令和2年度以降の数値をご覧いただければと思います。

 しみんだよりでは平成30年度から令和元(平成31)年度にかけて、8億円の人件費を減らしたと書いてあります。
 しかし、人件費に含まれない嘱託・臨時職員が163人増えているので、これらの非正規公務員を含めた実際の人件費がどれだけ減っているかをきちんと確認する必要があると思います。
 ざっくりとした計算になりますが、一人当たり200万円の人件費がかったとすると3億2,600万円になるため、実質は4億7,400万円の削減と推察することができます。
 ですので、この年度については、公務員の非正規化により奈良市は人件費の削減に成功していると思われます。
 ただし、より正確にするならば、他の年度についても検証したり、これまで職員が行っていた業務を外注委託している場合も含めてどれだけコストが下がったかを確認しなければならないとは思います。

質問③職員数の減少や人件費の削減の是非について

 記事から受ける印象では、これらが良い事であるように感じます。
 しかし、結果的に、市民サービスが縮小したり、特定の職員(例:時間外勤務手当が支給されない管理職)に過剰な負荷がかかるようになっては好ましくないと考えます。
 ですので、こういった弊害が発生していないかが知りたいです。
 もし、発生しているのだとすれば、記事にもその事を書かないと、アンフェアな気がしますが、いかがでしょうか?

 少子化や人口減少の時代の中、本市においても重要経営資源の「ヒト・モノ・カネ・情報」の有効活用による経費節減と事業・業務の質的向上を求められており、また、新たな行政需要への対応等により職員の事務負担が増加している面があります。
 しかし、業務の民間委託化やICTの活用をはじめとした業務の見直しや事務の平準化等を行うとともに、円滑な業務推進に必要な人員体制を整えることに努め、職員に過剰な負荷がかからないよう市民サービスの維持向上に取り組んでおります。

 市民サービスが縮小しているとの回答はありませんでした。
 しかし、職員の事務負担は増加している面があるとのことでした。
 今後については、どちらにも考慮しながら、これからの市政を推進していくとのことですので、奈良市がより良いまちになっていくことを期待したいですし、私も一住民として協力したいです。

 また、この時は官製ワーキングプアに関する本を読んでいなかったため、質問に盛り込んでいませんでしたが、奈良市の非正規公務員の方が、そうならないことを願います。
 ただし、財政課に在籍時に各課の予算等を見た限り、臨時職員については殆ど最低賃金で見積もっていたため、実際に官製ワーキングプアに陥っている方はいたのではないかと今となれば思います。
 また、正規雇用化を避けるためだと思うのですが、臨時職員については最長でも5年間しか雇用しないという運用もありました。
 臨時職員であれ、5年も業務を務められると立派なベテランになり、欠かせない戦力になっていたので、こういった運用がなくなり、必要な方はバンバン正規雇用になればいいのにと感じます。

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