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朝のルーティン

夜中にかなり雨が降った。屋根裏の寝床に拍手喝采のようなトタン屋根を叩く雨音。畑はよく湿った。

5月も後1週間。

夕方から晴れて、冷たい風が吹いている。作業場の入り口が人が通れるくらいに開いていて、冷たい風が入ってくる。
その入り口から見えるスモークツリーの赤紫色の葉が風に揺ている。

2、3日前に桑の木と柿の木の剪定をした。剪定した枝に付いていたすべての葉を一枚一枚取り、それを乾かしてお茶にする。

そのお茶を飲みながらこれを書いている。濃い緑茶のような色、少しのとろみと微かな酸味のある液体。

毎朝、薪を燃やし、ヤカン3杯のお湯を沸かす。お湯が沸く間に1日に出た生ゴミを小さくカットし、薪を燃やす前に取っておいた燃え残りの炭と灰、塩と米ぬかを少し混ぜて大きなバケツに貯めていく。

次は、雨の当たらない軒下の植物たち、トマトやゴーヤ、鉢植えのお花にじょうろで水を撒く、10リットルのじょうろをもって3往復、撒き終わった辺りで1杯目のやかんの水が沸く。あと2杯沸かす間にお茶にする葉があれば、フライパンで煎って茶葉を乾かす。お茶にする葉がなければ、本を読んだり、畑の様子を観察する。

熱を加えた茶葉はしんなりして、湯気を上げながら、次第にそのしなやかさを失っていく。両手に挟み、擦り合わせながら揉むと細かな粉のようになっていき、小さなガラス瓶に納まるほどのかさになってしまう。

スギナと桑の葉のブレンド

ここまでやってもまだ7時だったりする。そこで今度はハサミをもって畑に行き、今はレタスやフダンソウの大きくなった葉や、菜の花、サヤインゲンをそれぞれ一握りほど収穫する。

春菊、小松菜、菜の花、サヤインゲン

夜中に狸がミミズを探しているのだろうか?畑の草を敷き詰めた畝の上が荒らされている。倒れた苗を戻し、掘られた穴を埋めなおし、枯れ草を敷いて元通りにする。

仕事を始めるまでの一仕事、毎朝のルーティンは季節に伴い、内容が少しずつ変化していく。

同じような毎日のなかで、微かな変化に楽しみや期待をあえてしないようにしてみようとする自分がいた。

すぐにそんなことは無理だ!とわかる。

ワクワクすることや何か面白いこと、新しいことが起こりそうなことに逃げ込まないでいることはとても難しい。

今のありのままをただ ありのままに受け取ること。とは?

当たり前すぎる日常の瞬間瞬間のなかにまだ開けたことのない扉があるかもしれない。などと、また、変化のなさのなかにまで ワクワクのきっかけを探そうとしている自分を見つけてしまった。

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