FiNCが42億円減資。これが意味するところは?減資の目的分かりますか?
FiNCの官報が出ました。
その中で42億円の減資が公表されています。
ベンチャー企業で言うと、以前freeeも大規模な減資を行っていました。
ベンチャー企業が行う減資はどのような目的、メリットがあるのでしょうか?
このあたりは意外と知らない人が多いと思いますので、今日はそのあたりを解説したいと思います。
FiNCの官報の内容の解説
まずはFiNCの官報を見てください。
1つ目の画像を見てもらうと分かる通り、減資の金額は資本金・資本準備金を合わせて4,274,853千円となります。
貸借対照表を見ますと、利益剰余金のマイナス(累損)が4,274,853円あります。
感のいい人だともうお分かりのように、この累損を消すための減資と考えられます。
ではなぜ累損を消す減資を行ったのでしょうか?
減資の目的は3つ。
減資を行う目的は大きく分けると3つです。
1つは、節税目的です。
税金は利益だけでなく、資本金等の大きさによって課税される外形標準課税というものがあります。
東京都で税率は0.525%と、税率は大きくありませんが、大型調達をした資本金等の金額が大きいベンチャーにとっては、赤字の中何千万も税金を払うのは辛いものです。
また、資本金額が1億円超かどうかで受けられる税制上のメリットが大きく変わります。
簡単に言うと、資本金が1億円以下の中小企業は税率が低くなるようにいろいろ優遇してあげるよ、という国の施策があります。
上記のような税制メリットをうけるために減資を行うというのは、まぁまぁよくある事例です。
以前freeeが行った減資はこれが目的と考えられます。
freeeは減資前で約96億円程調達していましたので、これを1億円まで減らしています。
これによりfreeeは5000万円程度の節税になったと考えられます。
2つ目の減資の目的としては、累積損失を消去するためです。
累積損失を消す方法は、①事業活動から利益を出す、②減資をする、の2つしかありません。
累積損失がなくなったからと言って、企業価値が上がるわけではありません。
ただ、新たに投資家から調達を行う際に、累積赤字が大量にあるよりは見た目が良いというメリットはあります。
皆さんも、累積赤字が大量にある会社より、累積赤字がない会社の方が心理的に投資しやすいと思います。
今回のFiNCの減資はこの目的が1番大きいのかと推察されます。
節税目的であれば、資本金を1億円まで下げた方がメリットがありますが、減資後の資本金は4億円となっています。
減資の3つ目の使い方としては、以前JALが行ったように100%の減資を行い、株主の入れ替えを行うというものです。
これは経営破たんした場合に行うものであるため、スタートアップ・ベンチャーにとってはあまり参考にならないと思いますので、ここでの詳細な解説は割愛しますが、簡単に言うと、
新たな投資家が入って会社を立て直そうとするときに、既存の株主が残っていては、立て直しに成功して株式価値が増大した際に、何もしていない既存株主にも一部持って行かれてしまうことになります。
これを防ぐために、100%減資という手法は使われます。
最後に
FiNCは調達力が半端なく強い会社です。
CFOの小泉さんの力なのか、事業が全然拡大していないように見えるのですが、ぴかぴかメンバーはどんどん入っていますし、調達もかなり大規模に続けてきています。
減資をして累損を消したのも、次の調達に向けての動きと考えられますので、これから半年以内くらいにはまた次の調達があるかと思います。
以上です。
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