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【解りやすく解説】仮想通貨交換事業者規制の現状と今後

仮想通貨交換事業者に係る規制については、いろんな噂も出回っていますし、コインチェック問題もあり、当局で現時点でどのような議論がされているのか、今後どのような規制になる可能性があるのか非常に解りにくくなっています。

自分自身もよく解らなくなっていた点もありましたので、現時点でどのような議論が当局で行われているのかと、その議論の内容からどのような規制の方向性になるのかについてまとめてみました。

私と同じように現状を把握したい方の参考になればと思います。


まずは現在の登録、みなし事業者、申請事業者の整理

<仮想通貨交換事業者>

仮想通貨交換事業者として現在登録されているのは16社となっています。

1.QUOINE
2.SBIバーチャルカレンシー
3.シータ
4.DMMビットコイン
5.BTCボックス
6.ビットアルゴ取引所東京
7.ビットオーシャン
8.ビットゲート
9.ビットトレード
10.ビットバンク
11.ビットフライヤー
12.ビットポイントジャパン
13.フィスコ仮想取引所
14.マネーパートナーズ
15.GMOコイン
16.テックビューロ

このうち、GMOコインとテックビューロについては、業務改善命令が出ています。

<みなし仮想通貨交換事業者>

そもそも「みなし仮想通貨交換事業者」とは、2017年4月の資金決済法の改正で、仮想通貨の取引所等を行う場合は金融庁への登録が必要となりましたが、その改正以前から取引所等の事業を行っている場合は、申請すればみなし事業者として事業を継続できるという経過措置的に設けられた状態のことです。

最終的には、仮想通貨交換事業者として登録するか、申請を取り下げる(廃業する)という形になることが想定されています。

現在、みなし仮想通貨交換事業者となっているのは8社となっています。

もともとは、16社ありましたが、8社が既に申請の取り下げをしています。

表を見ていただいたら分かる通り、まだ申請を取り下げていない事業者についても、業務停止又は業務改善命令を受けています。

みなし事業者の方やその他取引所界隈の人から話を聞くと、基本的には金融庁はみなし事業者は、資金的にも取引所の仕組み的にも仮想通貨交換事業者の登録を行える状況ではないため、申請を取り下げさせる方向に動いているようです。

<新規登録申請事業者>

新規登録を目指して申請している事業者は100社超あると言われています。

有名なところとしては、LINEやOkwaveなどが新規登録の意向を出しています。

金融庁としては、みなし事業者の立入検査、その後の処分が全て片づくまでは新規申請者を仮想通貨事業者登録するわけには行かない、あるいは新しいルール作りをしているため、新規申請しているところは今すぐ登録を許可するという状況にはなっていないようです。

個人的には、LINEは資金移動業免許も持っていますし、ユーザー数も大きいため、LINEが仮想通貨に関する新しいサービス(取引所以外)をやるのは、非常に面白いと思っています。

ですので、みなし事業者等の問題は早めに片付けて、新規申請事業者の審査の方に回ってほしいと思っています。


金融庁「仮想通貨交換事業者等に関わる研究会」での議論の内容


4/27に金融庁は「仮想通貨交換事業者等に関わる研究会」の第2回目を開催しています。

その議論の内容を参考に、今後の仮想通貨交換事業者に係る規制の方向性について考えてみたいと思います。

まずは、4/27の研究会でどのような議論がされたのかまとめてみます。

議論された内容をまとめると大きくは2つのカテゴリーに分けられますので、その2つのカテゴリーに分けて、議論のあった内容についてまずは記載します。

<1.仮想通貨交換事業者への規制の具体的な内容(度合い)>

コインチェックに限らず、仮想通貨取引所は取り扱っている金額に比べて、その内部統制や財産の管理状況が非常にあいまい、ずさんになっているケースが、金融庁の立入検査によって分かってきています。

このような状況を受けて、仮想通貨交換事業者に課すべき規制の内容について議論がされました。

現状の議論としては、具体的な規制の内容というよりは、より抽象的などの程度の規制を課すべきかという”規制の度合い”のイメージについての議論が行われました。

出席者の方の意見としては、基本的には現状もっと規制を掛けたほうがいいというような認識は一致していました。

ただ、一律に規制するのではなく、取り扱っている金額高や取り扱っているコインの種類等々の各事業者の状況によって規制の度合いに段差を付けたほうがいいという意見もありました。

規制の具体的な内容については、行っている業務が証券会社あるいは銀行が行っている業務に近いため、そのような金融機関に課している規制が課される方向性になりそうです。

<ICOの規制のあり方について>

ICOに対する規制については、基本的には何らかの規制をしたほうがいいという意見は一致していましたが、その規制の度合いについては、研究会での議論も意見が大きく別れている状況でした。

一番厳しい意見としては、「ICOについては日本国内の一般投資家への販売は禁止すべき」というものでした。

しかし、その一方で「過度に規制してしまったら逆にそのルールを守らなくなってしまうため、規制が守られる水準を見極めてルールを定めるべき」という趣旨の意見もありました。

株式はインサイダー取引規制があり、その勧誘や募集方法ににては厳しいルールがあるのに、ICOには何もルールが無いのはおかしいという意見もあり、勧誘や募集の方法については、もしかしたら金融商品に近い形での規制が係る可能性がありそうな議論の内容でした。


議論の内容から考える規制の方向性

議論の内容からすると、仮想通貨交換事業者への規制は、現状よりもより厳しいものになることが想定されます。

<仮想通貨交換事業者>

規制の方向性としては、銀行や証券会社が現在負っているような、内部統制、報告義務、財産の分別管理、資本金規制等々が課される事になりそうです。

その度合が、現在の銀行等に課されるものと同等なものなのか、よりライトなないようなのか、取り扱う金額等によって段差がつくのかについては、これからの議論次第かと思いますが、研究会の議論の様子を見ていると、証券会社に課されている規制に同等水準くらいの規制が課されるのではないかと個人的には思いました。

ただ、議論の業況を見ていると、ルールを策定するまではにはまだ時間が掛かりそうですので、スケジュールのイメージとしては、年末までに草案を作って来年の春の国会で承認という形になるのではないかと思っています。

現在100社以上が新規申請をしていますが、このような状況を見ると近々としては30社〜50社程度が新規登録されるのではないかと思います。

ただ、証券会社が現在300弱程ありますので、仮想通貨の売買をする人が増えればもっと数が増える可能性はあるかと思っています。

<ICOの規制について>

ICOについても、現在よりも規制が重たくなるのは避けられないかと思います。

その度合については、現在の議論では専門家の意見も別れているためハッキリとしことは分かりませんが、海外では積極的に勧めている国もあり、現在禁止にしている国も段階的に規制を緩めていきそうな話もありますので、日本の一般人が買えないような規制はしないのではないかと考えています。

私が考えるICOの規制の水準としては、以下のくらいのものが入るのではないかと考えています。

・ICOを行おうとする事業者は、事前に金融庁への登録または届け出が必要
・調達した仮想通貨の使途についての開示義務(大量保有報告書的なイメージ)
・KYC、AML義務

以上が現在の金融庁の議論の内容をまとめたものです。

少しでも参考になれば幸いです。

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