Spindle(Gacktコイン)は結局のところどうなの?
昨年末にGacktさんが関与していることで有名になったICOプロジェクトのSpindle。
ホワイトペーパーはこちら。
Twitterやブログ等でいろいろ言われていますが(大半は批判)、2018年4月から全世界向けにクラウドセールも始まり、Spindle創業者のインタビュー記事等も出てきていますので、
改めてこのタイミングでSpindleがどういったトークンエコノミーを目指すものなのか?本当に価値のあるプロジェクトなのかについて考えてみたいと思います。
Spindleの目指ざすもの
私の理解では、Spindleは非常に簡単に言うと、”仮想通貨への投資を非常に簡単にするプラットフォーム”です。
資産運用をしたいと思っている方の中には仮想通貨に投資して運用したいと考えている方もいるかと思います。
ただ、何の知識もない中、これだけ種類がたくさん出ていてボラティリティも非常に大きい仮想通貨に投資することは様々な面でハードルがあります。
これをSpindleを使えば、既に仮想通貨に投資を行っているヘッジファンド等の投資家とマッチングをおこなってくれて、運用をお任せできるというものです。
しかも、Spindleを使うことで、これまでの法定通貨を使った投資に比べて、不正が起こりにくく、監査等の運用・管理のコストも削減できるというコンセプトがホワイトペーパーでは語られています。
Spindleの本質的な価値(価値はあるのか?)
上記のようなSpindleの目指すものは、ニーズもあると思いますし、崇高な目的だと思います。
しかし、これは本当に価値があり、仮想通貨(Spindle)を使って行う必要があるものなのかについて考えてみたいと思います。
考えるに当たっては、Spindleが提供する価値(機能)を切り分けて、それぞれについえ考えてみたいと思います。
・仮想通貨に投資しているファンド等とのマッチングする機能
正直、こういったヘッジファンドは探せばいくらでもありますし、1万円くらいの少額から投資できるものもあります。
その意味で、この運用者と投資家のマッチングという点については、目新しいものではなく、そこまで付加価値の高いものではないと考えられます。
・運用や管理上での不正を起こりにくくする機能及びその不正が起こらないようにするための管理コストについて
既存の法定通貨を使った運用業務については、世界各国で法令によってガチガチに規制されており、運用者はそれを守らなければななりません。
また適切に投資家に対して運用成績を開示しているかについて、監査を受けなければならない(法令で監査を受ける義務がなくても、自主的に監査を受けている)状況です。
この点をブロックチェーンを使うことで、不正を起こりにくくし、管理コストを下げるというのは、一見すると筋が通っているように感じます。
しかし、よく考えてみると、本当にそのようなことがSpindleで達成できるのかというのは疑念が出てきます。
運用者が仮想通貨に投資する場合、仮想通貨で受け付けるか法定通貨で資金を受け付ける事になります。
ブロックチェーンをセキュリティー面で活用しようとした際のメリットは、①情報の事後的な書き換えができず、②スマートコントラクトによって自動的に契約が実行される、③情報の透明性が高いという点です。
ブロックチェーンは、一旦記載された情報は改ざんを行うことができないという意味では不正を防ぐことはできますが、
そもそも不正の情報を登録された事自体については、防ぐことはできません。
そういった意味で、その情報の正確性を確認する監査という作業は同様の水準でコストが掛かるのではないかと思われます。
一方で、運用情報自体をスマートコントラクトの機能を使って、改ざんされないようにしてブロックチェーンに記録していくという方法ができるかもしれません。
ただ、その場合であっても、そのスマートコントラクトがちゃんと目的通り動いているか、抜け道はないかの監査は必要となります。
その意味で、管理コストというのは、そこまで大きく削減されないのではないかと考えられます。
このような点から、この不正を起こりにくくし管理コストを下げる機能というのは、実現ができるのか非常に怪しいと考えています。
その他
その他、このSpindleのプロジェクトで気になった点を挙げていきます。
・仮想通貨を投資対象として、今後も値上がりしていくと煽っている事自体が仮想通貨を”通過”として定着させようとしているのか疑問
仮想通貨は現在立ち上がりの時期ですので、急速に成長していっています。
ただし、今後の本当の意味での通貨として使われる用になるのであれば、価格の変動というのは落ち着いてくるはずです(ボラが大きいものを通貨としては使えないため)。
また、現在は仮想通貨が乱立していますが、幾つかの仮想通貨に集約されていくことが考えられます。
このような仮想通貨の将来を考えた場合に、仮想通貨市場は拡大を続けるから、これを投資対象にして投資をバンバンしていきましょう、というSpindleの目指す方向性自体が、仮想通貨自体の考え方とは乖離しているのではないかと考えられます。
・調達予定額(発行総量)
発行総量は100億SPDを予定しています。
枚数自体は特に問題ありませんが、この発行枚数ですと調達目標金額が8400億円にもなると言われています・・・
以上
いろいろ書いてきましたが、個人的な感想としては、そこまで価値のあるプロジェクトではないのかと思います。
ただ、崇高な目的を掲げて、リスク覚悟でICOを行っている姿は見習う点が多いなと思っています。
取り急ぎ今日はこんなところです。
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