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辛いほどに追い込まなくても筋肉と健康を最高レベルに保つ方法探しの現在地点
それなりの競技レベルを維持するためのトレーニングは、健康維持にとっては過剰負荷になりがち。一般的な健康レベルを目指すだけなら極度な活性酸素を出しすぎないこと、すなわち、
競技目的と健康維持目的、トレーニング負荷においては相容れないのか?
という疑問がずっとあります。
もしも、この疑問に対する「解」が出れば、現役時代の時のように追い込むことなく、ある程度の競技レベルを維持しながらも、同時にPPK(ピンピンころり)のための健康維持が目指せるものだと期待しています。
さらには現役アスリートにとっても、より戦略的なトレーニングのヒントになるのではないかとも思います。
今回は、アンチエイジングにも通づる運動パフォーマンスを上げるためのスポーツ栄養の現在地点をまとめます。
運動選手は腸内細菌の種類が多い
腸内細菌については、医学分野で多くの疾患や老化との関連が研究され始めていますが、近年、アスリートには特徴的な腸内細菌叢があることが発見されてきています。
総説:運動と腸内細菌叢(腸内細菌学雑誌.2020)
競技成績やパフォーマンス、コンディショニングにどのように影響しているかは未だ不明であるが、各疾患者の腸内細菌叢の菌種数は減少傾向になる中、アスリートは一般健常者の腸内細菌と比較し高い多様性に富んでいる。
考えられるのは、一般人と比較し明らかに身体にダメージを受けていることから、その組織修復のために腸内細菌叢を変化(菌種数の増加)させているのではないかとのこと。
運動選手は短鎖脂肪酸を作る細菌が多い
短鎖脂肪酸:腸内細菌が作る酪酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸のこと
特に酪酸は、腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源であり、抗炎症作用など優れた生理効果を発揮する。
酪酸については→ 酪酸菌大百科 が解りやすいです。
酪酸を増やすには、運動や、腸内細菌によって短鎖脂肪酸を作らせることが有効。「水溶性食物繊維」「オリゴ糖」などが腸内細菌のエサとなります。
個人的には、酪酸の神経保護作用に注目しています。
プロピオン酸については、こちらの論文↓
ベイロネラ属の菌種をマウスに経口投与すると運動能力が15%もアップしたという。ベイロネラ属の特徴は、運動したときに生産される乳酸を代謝してプロピオン酸に変える菌とのこと。
栄養摂取のパーソナライズの可能性
このように、運動能力に関与する腸内細菌叢の状態、菌種が分かってきています。
一方で、これまでに報告されてきたデータは、これらの機能改善が常にパフォーマンスの改善につながるとは限らないことも示している。結論的には、スポーツパフォーマンスに対する腸内細菌叢の影響についてまだ決定的な知見は得られていない。
A Review of the Role of the Gut Microbiome in Personalized Sports Nutrition
腸内細菌叢は、短鎖脂肪酸の可用性、筋グリコーゲン含有量、抗酸化活性能力、消化管の透過性、乳酸代謝などのメカニズムを介して運動パフォーマンスに影響し、さらにはグリコーゲン代謝と貯蓄、神経機能の変化、免疫調節
などが関与するため非常に複雑。未だ知見が少ないようです。
しかしながら、現在地点(情報)から推測できるのは、
アスリートや運動習慣のある人に特有の腸内細菌が存在している理由は、過剰な酸化ストレスによるダメージを修復する生存戦略のためという可能性
アスリートの腸内細菌の状態に近づけられる手段(運動?栄養摂取?生活様式?)を見つけることで、競技者にも高齢者にも共通して役立てられる
ということ。
また明らかに言えるのは、競技レベルの維持と健康維持の方法は併存(同時進行)していけるであろうということ。そしてその延長線上の私の目的、
気楽に健康を得られる方法の獲得
へ、近づいているということです。
Masafumi
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