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決して天使ではない自閉症児

「この子は誰よりも純粋で優しい天使のような子」
「お母さんの愛情はしっかりと伝わっているよ」
「ゆっくりだけど、ちゃんと成長しているよ」

これらの言葉は、自閉症スペクトラムの子をもつ親が、誰よりも言われてきた言葉のトップ5に入るんじゃないかと思う。

(わが子が自閉症かもしれない・・・)そんな絶望の渦中に今いる人にとっては最上級の慰めの言葉になり、自閉症の我が子を受け入れた後の人にとっては、子と自分を再確認する言葉。

保育園で、幼稚園で、病院で、療育施設で。
夫から、親から、兄妹から、友達から。
時には自分自身からも。
たくさんたくさん聞いてきて聞いてきて。

聞き飽きるほど聞かされ、穴が開くほど見つめつづけ、心の奥深くまで寄り添い続けた私が出した結論は、自閉症の7歳の我が子【そら】は、決して天使ではないということ。

そんな崇高なものではないけど、悪魔でもない。

そらは、ただの自閉症の人間。

それ以外なにものでもない。
自閉症の特性をもったただの人間。

人間なんだから、耳にタコができるほど聞かされる言葉の数々は、結果、全部当たり前。
愛情を示せば伝わるし、成長は決して止まらない。

ただ、人間だからこそ、親や環境によってものすごく生きづらい人生になる可能性は大いにある。
自閉症児はその可能性が普通よりも高い上に、最悪の場合、芋づる式で共同生活をしている家族も生きづらくなる。

そうならないためには、自閉症児は天使、純粋、この子は特別だなんて幻想は一刻も早く捨て去るべきだと思う。

ここでは、リアルな療育現場で働く私からみた療育の実態・在り方・存在意義と、息子そらの事を書いていこうと思います。

宜しくお願いします。

※息子の名前は仮名です。


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