2020年 米国IPOで多かった「SPAC」とは何か?
2020年、米国の新規株式公開(IPO)を通じた調達資金は1800億ドル(約18兆5000億円)程度と、2019年の2倍余りとなり、これまでの過去最高だった2000年の1020億ドルを大幅に上回りました。
只、1800億ドルの内、その43%にあたる780億ドルは、「SPAC」によるものだということです。ということは、SPACがなければ、2020年のIPOによる調達資金額は、過去最高の2000年とほぼ変わらなかった、と言えます。
それでは、その「SPAC」とは一体何なんでしょう?
「SPAC」とは「特別買収目的会社: Special Purpose Aquisition Company」の略で、自らは事業を行なっていないペーパーカンパニーです。
そして、SPACとして上場後、株式市場から資金調達を行い、未公開会社の買収を行います。SPACの上場後に買収された未公開会社は、従来の上場のプロセスを行わずに上場することになります。
買収を目的とした会社のため、SPACは、事業を持っていない「空箱」にも例えられたりもします。
SPACには、著名な経営者や投資家が代表に就任し、代表個人の信用力と「上場後は将来有望な企業を買収します」という宣言により、市場から資金を調達し、未公開会社の買収を行います。
2020年、SPACでIPOした代表的な銘柄は、スポーツベッティングのドラフトキングス (DKNG)、電気自動車のニコラ(NKLA)、あたりでしょうか。
SPACは、1980年代から存在していました。ではなぜ、2020年にSPACによるIPOが急増したのでしょう?
それは、コロナによる影響が大きかったと言われています。
従来のIPOは、上場するまでのプロセスが複雑で、その審査が厳しいです。そのため、上場のための審査に莫大な時間とお金がかかってしまいます。
新型コロナウィルスによって、従来のIPO計画が破綻・頓挫した企業や投資家が、その①簡素なプロセス、②上場までの期間が短い、というメリットあるSPACの活用に走った、ということですね。
また、1980年代は不正に使われることが多かったSPACですが、2020年は著名な経営者・投資家が参加することで信用度が向上した、というのももう一つの理由と言われます。
2020年にSPACによるIPOを最も多く取り扱ったのは、クレディ・スイス・グループですが、そのSPACの責任者を務めるニロン・スタビンスキー氏は「21年は非常に強い市場になることが見込まれる」とコメント。同氏によると、同行は2021年は1月だけでも7-8社のSPACをローンチする準備を進めている、とのことです。
今年もSPACに目が離せませんね。
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