フォーキャスティングは"計上金額"の集計作業ではない!
レベニューの最大化と言えど売上だけを指標にフォーキャストしない
「売上を上げろ」という号令の元、とにかく「売上がどれくらい計上できるか?」を必死にフォーキャスティングしている営業組織によく見かけます。そういった組織の営業さんはすでに受注済みのプロジェクトや納品物の検収処理にしゃかりきになっています。受注に向けた活動ではなく、いわば債権回収に近い事務処理中心の活動に多くの時間を割いてしまっている。
それならまだいいですが、既存の優良顧客を担当してすでに目標達成の8-9割が期がはじまったタイミングで受注済みで売上が確定がしていて、後は計上を寝て待つ、残りの少し頑張る、という営業さんも少なくありません。
いずれにしても受注済みの案件に対して「このタイミングで売上げどれくらい計上できるか?」ということを計算しているだけなので未来を見据えて現在を営業活動を変える、セールスフォーキャスティングとは言えません。
多少は営業力で計上を早めたりすることはできなくありませんが受注済みの案件の場合、多くは計上タイミングもある程度決まっており、コンロトールできる幅はほとんどありません。もしなんとかコントロールするのであれば計上するのにイレギュラーな事務処理や無理な納品など”良からぬ"テクニックを使うことになります。
また売上だけでなく「利益も大事」、という発想の元、売上に加えて利益を目標として背負ってフォーキャスティングしている営業さんもいると思います。利益を意識するためにには常に原価を把握し、そしてコントロールしないといけません。しかし原価自体は製造部門や調達部門、プロジェクトマネージャが管理しているケースがほとんどです。まして商材が複数になったらその利益を営業が全てコントロールするのは極めて難しい。やろうと思えばできるのでしょうが、これも利益計上のための活動が中心となり、本来の営業の活動とはほど遠いことに時間を費やすことになっていませんか?
財務会計と管理会計
これまで多くの日本企業がセールスフォーキャスティングの世界においても前述のような受注済みの案件に対する売上あるいは利益の計上中心の営業報告をしてきました。
Vol.1で書いたように未来を予測し、経営の最適化、あるいは営業の最適化を行うことがフォーキャスティングの目的であり、未来を変えることができる手段です。にも関わらず営業というGTMの最前線にいる人間が、受注済みという過去の指標をひたすら追いかけていてはその企業の未来の成長はあり得ないと思います。
受注が売上の先行指標
それでは何をフォーキャスティングに指標とすればいいか?ここまで読んでいただいた方はわかると思いますがもうズバリ「受注」です。受注が売上の先行指標であり、受注をいかに早く積み上げるかで売上が持続的に、最大化できるか、ということが決まります。
受注がないことには売上も、利益も計上できないのです。利益や売上は営業が介在せずとも計上できますが、受注は営業が追わない限りが基本的に実現しません。したがってセールスフォーキャスティングの第一指標は受注できあるべき、と考えます。
実際に私が知る外資系の企業ではフォーキャスティングの指標は10社中8,9は受注です。財務会計の最大のイベントである決算発表においても受注がどれくらいあったか、売上計上残り(バックログ)がどれくらいあるか、というのは企業の未来の収益がどれくらい確かなのかを示すデータとして近年では積極的に開示するCFOも増えました。
そしてその受注をするためにはそもそもパイプラインが必要、ということでセールスフォースなどのSFAを入れてパイプラインマネジメントやろう、というはずだったと思いますが、パイプラインマネジメントしておきながら「いざフォーキャスティングは売上、利益だけなんです」という企業さんがまだまだ多い印象です。
もちろん売上や利益もフォーキャスティングの対象としていいと思いますが、営業の最も大きなミッションは売上の向上ということを考えると第一指標は受注であるべきです。売上や利益という指標は営業がキャリーするのもいいと思いますが、営業の手を離れたことに対して時間を費やすよりも分業体制が主流となりつつなる今、(たとえば製品・サービス営業やカスタマーサクセスなど)別のロールの指標として売上(計上)、利益を責任を持って管理させる、というのが理想の姿と言えます。実際に多くのグローバル企業ではそのように実践されています。
まとめ
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