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大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|8巻
大好評『タロットの美術史』シリーズより、
「巻末特別寄稿」(2巻~12巻に収載)の一部を特別公開!
超豪華ゲスト陣による本書でしか読めない
タロットにまつわるエッセイです。
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■8巻 節制・悪魔
寄稿者:佐藤元泰
(ニチユー株式会社代表取締役/東京タロット美術館館長)
◆自己探求ツールとしてのタロットカード◆
新型コロナウイルスが猛威を振るい、多くの方が人生の不条理に直面していた2021年、「東京タロット美術館」を開館した。「アート」としてのタロットをご覧いただき、それを通じて「自己との対話」を提供する場になればと願ってのことであった。世界でもほとんど例のない試みであるが、予想を超えて多くの来館者を迎えることができ、各方面からご好評をいただいている。
タロットがなぜ「自己との対話」になるのだろうかと訝しむ方もおられるかもしれない。ここで思い浮かぶのは、古代から語られている二種の時間の概念である。
古代ギリシャでは、二つの時間の概念が存在した。一つは「クロノス」、過去から未来へ一定の方向と速度で流れていく客観的な時間。もう一つは「カイロス」、これはそれぞれの人の中に内在する感覚的で主観的な時間を表現している。
これをタロットに当てはめて考えてみよう。愚者の旅、魂の旅とも言われる大アルカナ一枚一枚のカードの中には、人生のさまざまな段階や試練が描かれ、それらを経て、魂が成長し進化する様子が表現されているという。愛や正義、死といった普遍的なテーマを内包するタロットは人生の時間をわずか22枚の絵札によって表現する。絵札の順序は時代や地域によって異同はあるものの、現在では標準的な定型がある。これは一種のフレームであり、先のギリシャの時間の概念で言えば「クロノス」であろう。
一方で個々人がカードを引き、目の前に現れた絵柄から、個人がその意味やメッセージを読み解こうとする時、…………
【この続きはぜひ本書で!】