何かを成し(梨)得たいと思うひとへ──ふなっしー推薦『人を動かす』
個人的な思い出話をひとつ、させてください。
あれは2012年。今では思いだせないくらい些細なことが原因で、私はひどく落ちこんでいました。いつまでも浮かない顔をしている私を見て、友人が
「どうしても見て欲しい動画がある」と言いだしました。
「気分ちゃうからええわ」とすげなく答える私に、「いや、ちょっとだけ」と友人はめずらしく食い下がります。
「めんどくさい」
「かけたるから」
との問答のすえ、友人はYouTubeの動画を再生しました。それはどこかのイベント会場。ステージサイドから駆けてきた黄色と水色の物体。
「え、なにこれなにこれ。なんか動きすごいねんけど」
「え、しゃべるん? 声めっちゃ高い……」
「ジャンプたっか!」
見ているうちに、自分がだんだん笑顔になっていくのがわかりました。
「なにこれ。めっちゃおもろいなあ」という私に、友人は「ふなっしーやで」と若干のドヤ顔で答え、「ヒャッハー!」「○○元気だしてなっしー!」と私の名前を呼んで、ジャンプしてくれました。爆笑する私をみて「めっちゃ笑うやん」と言って、何回も。いつのまにか、私は自分が落ちこんでいたことすら忘れていました。
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その日から、YouTubeでふなっしーの動画を検索するのが日課になりました。初期の話さないふなっしー、入浴するふなっしー、ご当地キャラと楽しそうなふなっしー、歌うふなっしー、踊るふなっしー、語学が堪能なふなっしー……。何本の動画を見たかわかりません。
最初はキレのある動きに、そのあとはだんだんと、その受け答えからわかるクレバーさ、やさしさ、周囲への気配りといった、ふなっしーの人(梨)柄に惹かれてゆきました。
そんなある日、私は目を疑いました。とあるインタビュー記事。ふなっしーが愛読書として、私の勤める会社──創元社の本、デール・カーネギーの『人を動かす』をあげてくれていたのです。
すごく嬉しかったのと同時に、魅力的なふなっしーのパーソナリティの形成に、この本の影響があったと思うと、僭越ながら「なるほど」という気分になりました。
●ダ・ヴィンチニュース
「ご当地キャラ総選挙2013 1位!『ふなっしー』の好きな本ベスト5」
『人を動かす』に、ふなっしーの推薦文をもらいたい。
販売会議の席上で、このことを発言しました。
「ビジネス書にゆるキャラ?おもしろいね」※注1
との反応はありながらも、そのときは、私の力不足もあって、推薦をもらうには至らず。ですが、私の胸には、いつかふなっしーに『人を動かす』を推薦して欲しい。その思いが、ずっと渦巻いていました。
時は流れて2020年。
ふなっしーの、とあるインタビューがネット上で話題になりました。テレビのこと、今のこと、これからのこと。赤裸々に、ユーモアたっぷりに話すふなっしーのインタビューは、SNSで大きな話題を呼びました。このインタビューの最後で、ふなっしーは再度、『人を動かす』をおすすめのビジネス書としてあげてくれていたのです。
●ダイヤモンドオンライン
「ふなっしーの心に残った3つの仕事、「本人」ロングインタビュー(下)」
今しかない。私は奮起しました。ふなっしーの推薦が欲しい。
会議での反応は、以前とはちがって冷ややかなものでした。
「ふなっしー今ぜんぜん見ないやん」
「今って人気的にどうなん」
など。
私は熱弁しました。テレビとは距離を置いているけれど、人気は変わらず、むしろ以前より熱心なファンがふなっしーを支えていること。インタビュー記事掲載後に『人を動かす』の実売数が伸びたことからわかるように、ふなっしーのファンは、ふなっしーが本当に勧めるものなら、きっと手に取ってくれるだろう、ということ……。
そして今、私の手元に、ふなっしーが推薦文を寄せてくれた『人を動かす』があります。「邦訳500万部突破」「ビジネスの世界的ロングセラー」という、ぱっと見、お堅いビジネス書。その帯には、ふなっしーと、直筆のメッセージ。
「何かを成し得たいなら、読むべき本だと思うなっしー♪」
キャラクターとビジネス書。一見ミスマッチに見えますが、ふなっしーを愛する人は、決してそれがミスマッチではないことを、知ってくれていると思います。
あの日、落ちこんでいた私に元気をくれたように、たくさんの人の心を、生き方を動かしてきた、ふなっしー。「人に好かれて、人の心を突き動かすための行動と自己変革を促す、感動の書」である『人を動かす』を推薦してもらうのに、これほど適した人(梨)はいません。
(営業G)
※注1(ふなっしーはゆるキャラではなくご当地キャラ)