大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|7巻
■7巻 吊られた男・死神
寄稿者:米光一成
(ゲーム作家)
◆ゲームとしてのタロット◆
タロット使いのみなさんには、ぜひタロットをゲームとして遊んでみてほしい。タロットは元来、遊戯用のカードだったわけだし、ゲームとしていま遊んでみてもおもしろい。だが、それ以上にプレイすることでタロットについて体感的理解が深まるからだ。
タロットで遊ぶゲームは、トリックテイキングと呼ばれる。
親から順にカードを 1 枚ずつ出していく。このとき、親が出したスートに従う必要があり、これをマストフォローと呼ぶ。たとえば親がワンドのカードを出したら、ワンドのカードを優先して出さなければならない。
全員が1枚ずつ出し、一番強いカードを出した人が、そのラウンドの勝者となる。この1ラウンドのプレイをトリックと呼ぶ。勝者は、出されたカードを得点として獲得する。トリックをテイクしていくからトリックテイキングと呼ばれるのだ(いろいろなバリエーションがあるのだが、ここでは典型的なルールを解説する)。
トリックの勝者は、次の親になる。これを手札がなくなるまで繰り返して、たくさんのトリックを獲得した者がゲームの勝者となる。
カードは、キング(王)が一番強く、続いてクイーン(女王)、ナイト(騎士)、ペイジ(小姓)、そして数字の大きい順に強い。
キングが圧倒的に強いのでは、逆転が起こりにくい。逆転が起こったほうがおもしろい。だから、キングより強いカードがあるといいのでは? と発想するのは自然だ。
そこで発明されるのが切札である。タロット的にいえば大アルカナだ。…………
【この続きはぜひ本書で!】