【連載】すべてのひとに庭がひつよう 第8回|場踊り|石躍凌摩
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第8回場踊り
日暮れも随分と早くなったものだと、すっかり暮れ果てた家路を辿っていると、何の変哲もない普段はひと気もない公園にひと集りができていて、何事かと見れば皆一様に、夜空に視線を注いでいる。どうやら月が、そうさせているらしかった。さっき月白(*1)から出たときに見た月が、果たして皆既月食のどの段階にあたるのか、月白へと向かう道にはすでに、赤々とした満月が夕空に浮かんでいるのを目にしていたが、ひとしきり話をしてから外へ出て見ると三日月のようになっていて、それが