星の味 ☆16 “星々にとり残されて”|徳井いつこ
「夏なら冬のことを書くのだ。イプセンがしたように、イタリアの一室からノルウェーのことを書くのだ。ジョイスがしたように、パリの机からダブリンのことを書くのだ。ウィラ・キャザーはニューヨークからプレイリーのことを書いた。マーク・トウェインは……」
と、さまざまな作家を引き合いにだして、「書く」ことにおける「遠さ」の効用を説いたのは、アニー・ディラードだった。
遠いこと、遠いものが、創造的に作用するのは、どういうわけだろう? 「遠い」という語を辞書で引くと、「二つのものが