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お茶にしましょう

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文人会の若宗匠・如翺(ジョコウ)先生とその弟子・寿(ジュ)との往復書簡。 茶とは? 花とは? 日本的教養とは? 江戸時代以来の「文人茶」を継承しつつ、令和時代の「新しい茶会」を実… もっと読む
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5|だんごセットと「ひま」とアマ

寿から如翺先生へ ◇ あみじま茶屋にて 「お茶にしましょう」  と思って、せっかく訪ねて行ったのに会えなかった!という十時梅厓のお話、楽しく拝読しました。  桜のあとの新緑の爽やかさも、また格別の大川河畔、 (訪問先の岡田米山人の文房はあのあたりだったのかしら…) と対岸を眺めつつ、今回、私は藤田美術館のあみじま茶屋でお茶することにしました。「お茶とだんご」セットは、抹茶・煎茶・番茶の三択ですが、もちろん煎茶でしょう。ここは、なんといっても「青湾」の地なのですから。  美

4|桜-sakura-の大川と、「ひま」な人たち

如翺から寿さんへ ◇ 大川沿いの桜並木で  京都から南西へおよそ60キロ。  小さな旅を続けてきた淀川の流れは、大阪市都島区毛馬のあたりで新淀川と旧淀川とに分岐して、旧淀川(現大川)は真南へと向きを変えます。遥か大阪城を正面に望みながらも、流れはお城の手前でぐいと曲がって今度は西に。ほぼ直角に流れが折れるその角には、帝国ホテル大阪があったり、一般的な桜の時期に少し遅れて満開になる、造幣局の桜並木があったりして、今も人々が往来します。  私もこの辺りを散歩しながら、外国人

3│ラテとソフトクリーム

寿から如翺先生へ ◇ スタバで「お茶」 「お茶にしましょう」  先生がスタバのドリップコーヒーで「お茶して」いらっしゃる姿を思い浮かべた私は、つい最近、私も同じように言って娘とスタバに入った時のことを思い出していました。 「抹茶ラテ、ふたつ」  娘がカウンターでそう言うと、お店の方に、 「抹茶ティーラテ、ふたつですね」 と言い直されたそうなのです。  テーブルに戻ってそう報告する娘に、私は思わず反論していました。 「抹茶ラテ、でしょ。抹茶ティーラテじゃ、まるで

2│ドリップコーヒーと和装の麗人

如翺から寿さんへ ◇ 自分の部屋に戻って来て    私もお茶にさせていただこうと思います。  寿さんの文章の中で「バナナ(芭蕉)」が出て参りましたが、ちょうど、昨日お稽古に来られた方が、大阪・四天王寺近くにお住まいの方で、有名な土産物のひとつ、バナナカステラ「名代 芭蕉」を持って来てくださいました。  これには軽くコーヒーかな、と思い、スターバックスのドリップコーヒーを持ち帰りました。バナナカステラを食べて、コーヒーはまだ残しておいて、私のパソコンに向かう時間です。

1|パイナップルとバナナ

寿から如翺先生へ ◇ 鳳梨酥と高山茶 「お茶にしましょう」  おみやげの鳳梨酥にあわせて、今日は「高山茶(*1)」を淹れましょう。  台湾出身のお客様によれば、パイナップルを意味する「鳳梨」は「旺来」(繁盛)に通じ、とても縁起の良いお菓子なのだとか、また「元祖パイナップルケーキはハワイの日本人移民が考案した」という説もあるのだとか、あれこれ教えていただきつつ、楽しくお喋りしていた時のこと、 「日本には、なぜ、抹茶と煎茶と、二種類のお茶があるのですか?」 と、