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ソフトロックのハードな聴き方

60年代中期から70年代中頃までの音楽

♬まず、これ聴いてください。米国における近代の歴史が詰まった歌です。

※youtube.comより

まるで手塚治虫の漫画のような絵をあしらったジャケットです。これがタータグリアのアルバム。その中の一曲『アブラハム・マーティン・アンド・ジョン』。

3人の名前をつけた歌ですが、あなたはその名前をフルネームで答えられるでしょうか? 

ヒントは平和と自由と人種差別撤廃を訴えたリーダーたちです。でも、忘れてはいけないのは、最後のジョンは2人いること。ひとりは政治家でもうひとりはミュージシャン。みな銃で暗殺されてしまいました。😢😢😢😢

ほ~ら、既にあなたは米国の歴史の一端を学んだわけです。その歌に続くのがサイモン&ガーファンクル『アメリカ』のカヴァーというあたり、米国の光と影を浮き彫りにした選曲が見事だと言えます。

次は、フリーデザインという兄弟姉妹グループの名曲。

「私は凧あげが好き」というシンプルな歌。緑と白の凧で、黄色の糸で、彼女は僕の凧をとても気に入っているけど、両親らは嫌っているんだ、という内容です。ちょっとヘンな歌かも。

※youtube.comより

歌に出てくる凧の色を国旗で例えると、インドやアイルランドやナイジェリアあたりの国旗かな(ジャケ写の凧はジャマイカ風)。でも、なぜ緑と白で、糸が黄色なのか想像しかねます。きっと何らかしら意味があったと思うので、どなたか知っていたら教えてほしいです。

凧をあげるという行為は、風を利用する、気持ちをハイに保つ、という意味合いもありそうで、当時は米国のみならず世界的な反戦や反体制的なムードの高まりもあり、そうした時代背景も考えられます。それでも凧の歌は珍しく、ソフトロックの中で私がいちばん好きな歌です。

ソフトロックとは、60年代中期から70年代中期の約10年間に発表された音源で、当時は現在のようなネット配信などなく、すべてテレビ、ラジオや雑誌などでしか音楽ファンは知ることができませんでした。よってレコード会社やプロモーターらの都合でほんのひと握りのミュージシャンだけが世の中に紹介されただけ。売れないものはお蔵入りされ、商業主義へと傾く音楽業界の闇のなかへ、音楽もミュージシャも、ともに消えていき……。つまり、ソフトロックは音楽ジャンルではなく、再発見しようというひとつのムーブメントでもある(あった)のです。

音楽ファンの側から積極的に見つける作業が必要な音源かもしれません。そうして見つけた歌は、あなたの一生モノの宝になるでしょう。

最後に、個人的な話を。

いちばん好きなアーチストは、イタリアのピエロ・ピッチオーニ。ジャズ、ポップス、クラシック、イージーリスニングなどジャンルにとらわれることなく、才能あふれたコンポーザーです。主に映画、それもB級と思われるサントラを多く手掛けています。

残念なことに、彼の作品(CD)はほとんどが入手困難(あるいは1万円以上の高値がつけられている)で、私が持っているのは8枚しかございません。その他の音源はネット配信で聴くしかないのが現状です。

論より証拠で、ピッチオーニの素晴らしい楽曲をふたつ紹介して今回は終わります。♬

👇同じメロディのリフで徐々に盛り上げていくのが彼の18番。

※youtube.comより


👇何ともエロスなジャケット。でも中身はロマンチックな音です。

※youtube.comより


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