悩める企業のパートナー 「伴走支援」を活用するメリットが知りたい!
昨今、ビジネスの分野では「伴走支援」「伴走型支援」という言葉をよく耳にするようになっています。先行きが不透明で正確な答えがない時代において、それぞれの企業が困難なミッションを達成するために、広範な知識と経験を持つ外部のサポーターを活用するのは、合理的な選択のように思えます。
しかしながら、果たしてそれは本当でしょうか。実際には、伴走支援を受ければ誰でも仕事がスムーズに進むというわけでもありません。
今回は、実際にソフィアが関わった事例を交えながら、伴走者のサポートを受けるメリットと、そのメリットを最大限に享受するために重要なポイントをご紹介していきます。
コンサルタントによる伴走支援を導入するメリット
コンサルタントによる伴走支援を導入することにより、どのような効果が期待できるのでしょうか。以下では、実際にソフィアが関わった企業のエピソードを通じて伴走支援の導入メリットをご紹介していきます。
自社の状況を客観的に評価し、イノベーションにつなげることができる
ある小売りチェーンでは、社長方針として「顧客志向の組織への変革」を打ち出しましたが、現状の課題が明確でなく、具体的な施策が打てずにいました。
そこで、ソフィアは社員や取引先、フランチャイズオーナーなど、さまざまなステークホルダーに対してヒアリング調査やアンケートを実施しました。これにより、顧客ではなく企業の上層部の顔色をうかがって意思決定をしているマネージャー層の姿勢に問題があることが明らかになったため、改善へ向けて様々なインターナルコミュニケーション施策を展開しました。
組織内での調査では、立場上本当の問題を指摘できなかったり、自身に影響する問題を過小評価したり、報告内容にバイアスがかかりがちです。また、外部のコンサルタントに調査を依頼すると、現状の問題や施策についてのアドバイスはもらえますが、実際に変化をもたらす対策は企業次第となってしまうケースが多くあります。
しかしながら、伴走者による調査は、第三者の視点から客観的に状況を把握するだけではなく、組織内の多様な立場の人々の事情を把握しながら、実現可能性の高い施策に落とし込むことが可能です。社内の合意形成をサポートし、施策の実行を後押しすることで調査結果を変革につなげることができるのは大きなメリットであると言えるでしょう。
現状を打破するために実行可能なアイデアやノウハウを得ることができる
社内にないアイデアやノウハウを得たいとき、単に外部の専門家を起用するのと、伴走支援を受けるのとではどう違うのでしょうか。
外部の専門家は、企業からの相談内容について専門家の知見からアドバイスを行い、施策を提案します。しかし、その施策が本当にその企業の組織風土や現状に合っているのか、問題なく実施できるかどうかは未知数です。
ある化学メーカーで新しい業務システムの導入を行った際の事例です。
グループ全社を挙げての大規模なDXの取り組みに多額の費用と時間を費やしているにもかかわらず、なかなか各グループ会社の現場の協力が得られず、プロジェクトが停滞していました。
そこでソフィアは現場のヒアリング、社内メディアの活用、イベントの実施などを通じ、現場の社員を巻き込んでグループ全体でのDXの機運を高めて取り組みの促進を図りました。しかし、その中で取り組みが滞っている部門がありました。
関係者との対話を重ねる中で、その部門には強力なトップダウン型の文化が根付いており、他の部門では有効だったボトムアップの取り組みとは相性が悪いことが判明しました。そこで、部門トップから繰り返しメッセージを発信し、目標数値を設定して取り組む方針に変更したところ、一気に取り組みが進みました。
伴走支援を行うコンサルタントは、専門家の知見を持ちつつ、半分は社内の人間として組織の内部に入り込み、定量データには反映されない組織の歴史や文化、関係者の業務内容や人間関係、仕事に対するこだわりや現在の感情なども把握していきます。そして、組織の一員として状況に共感しながら、現状に対して有効な施策を見つけ出します。
外部の視点を持ちながら組織の中に身を置くことで、全体がうまく動くためには組織のどの部分に対してどういったアプローチをすれば良いのかを具体的に考えることができます。そのため「一般的にはこのような施策が有効だが、この組織にはこちらの方が適している」ということも、根拠を持って提案することができるのです。
社内の人間に言いにくいことを代わりに言ってもらえる
プロジェクトを進める上で、さまざまなステークホルダーに対して内部の人には言いにくいことを第三者の立場から率直に伝えてもらえるのは、伴走者の採用のメリットです。
内部の人には言いにくいことを伝えるのは、組織と利害関係のない第三者であれば、誰でも可能です。ただし、その言葉が組織やステークホルダーを動かすかどうかは、「誰がどのように発言するか」によって変わります。理解が乏しい人からの理想論を押し付けられても、誰も納得できないでしょう。
しかし、半分社内の人間であり、組織の事情を実感しながら理解している伴走者は、問題の当事者に響くように伝え方や言葉を工夫して伝えることができます。
鳥居薬品の事例では、経営企画部の事務局が発言すると角が立ちそうな意見を、ソフィアのコンサルタントから伝えることで議論の流れを変えることができました。
また、西武ホールディングスのケースでは、プロジェクトの事務局メンバーが社内の「当たり前」に疑問を持つことが難しい状況でしたが、この「当たり前」をソフィアのコンサルタントが指摘し、取り組みを前進させる力につながりました。
困難に直面した際に意思決定のヒントをもらえる
アイデアはあるものの、どう実現すれば良いのかわからない、立ちはだかる問題をどう解決すれば良いのかも分からないという場合に、思考の壁打ちをする相手を得ることができるのも伴走支援を導入するメリットと言えるでしょう。
これまでにはなかった問題に立ち向かう時、明確な答えが見つからないこともあります。仮説に基づいて試行錯誤することは容易ではなく、成果がなかなか上がらない場合には厳しい立場に立たされることもあるでしょう。
そんな時、一緒に知恵を出し合い議論できるサポーターの存在は、立ち止まらずに取り組みを進めるためのエンジンとなります。伴走支援をするパートナーは、答えを提供する存在ではなく、担当者と同じ視点で現状を問い続ける存在です。同じ問題意識を持つ人との議論を続けることで、頭の中が整理され、本当に取り組むべきことが見えてくるケースもあります。
さらに、組織の課題は、全体像が見えにくいものです。一つの問題を解決しても、すべてがスムーズに進むわけではありません。むしろ、次のレベルの課題がすぐに浮かび上がってきます。そのため、一度だけの支援ではなく、常にプロジェクトの一員として課題に取り組む伴走支援が有効なのです。
伴走はあくまでサポートということを心に留めておく
ここまでコンサルタントによる伴走者支援を受けるメリットをご紹介してきましたが、コンサルタントを起用すればどの企業も伴走支援のメリットを享受できるのかと言えば、そうではありません。
伴走されるのは、企業における組織の課題を解決し、組織を変革しようとする変革者たちです。「組織を変えよう」という大きな課題に立ち向かう彼らは、非常にタフであり、心が折れることはほとんどありませんが、時には他の人に頼ったり、ヒントをもらったりすることもあるでしょう。そんな時に伴走者が役割を果たすのです。
組織の課題解決に向けた企業支援には様々な方法がありますが、その中で伴走支援は下の図のようなイメージです。ただアドバイスや手助けをするだけでなく、組織に深く関与し、現場を巻き込んで寄り添い、共に施策を実行していきます。そのため、取り組みを推進する企業の担当者にも、支援者にも強い覚悟が必要です。
企業の担当者にとっても、組織変革という経験は非常に有意義なものになるでしょう。企業の経営者や担当者自身が覚悟を持たなければ、組織変革をアウトソースしただけということになってしまいます。
組織にいる人たち自身が前に進む意思を持たなければ、ただ「引き摺られる」という結果になってしますため、伴走される側も、伴走する側も、同じ想いや熱量を持って組織変革に取り組むことが大切なのです。
現代は不確実性が高く、多くの企業が困難な状況に直面しています。その中にあっても、あえて変革を進めようとしている人は、まさに人生を賭ける覚悟を決めている人だと言えるでしょう。伴走者は、それと同じ熱量で応える覚悟がなければ務まりません。
まとめ
企業がコンサルタントを伴走者として起用することで得られるさまざまなメリットを、ソフィアが支援した実際の事例やご担当者の声を通じてご紹介してきました。
他記事では、伴走支援が適しているケースとそうでないケースなどを解説していますので、伴走支援の活用を検討する際はぜひご覧ください。
(1本目リンク)
前述したとおり、伴走支援を成果につなげるには、伴走する側とされる側の両者の成果への覚悟が必要になります。最後にそんな両者の関係性が垣間見える当事者の言葉をご紹介します。