スパイスカレー 目覚めの時
私がスパイスカレーに興味を持ったのは今から3年前の夏。言い換えれば、2017年の夏。
就職をきっかけに日本の南の方から上京してきた時。
上京するとすぐに、学生の時に留学先のカナダで出会った小説家を目指すスーパー変人な友人と再会した。彼こそが私がカレーに興味を持ったキッカケ。
彼との関係性はとても奇妙なもの。
留学先で出会った日本人同士は大体、心の安定を求めて日本語で会話をするもの。
しかし、私と彼は違った。毎日語学学校で会っても、休日に遊ぶ時も2人は英会話を続けていた。
そんな関係性は、東京で再開した時も続いていたから、周りの日本人から見た僕らは相当変なやつらだったのかもしれない。
前置きが長くなって申し訳ないです。
ただ、カレーについての文章を書いているからこそここで一つ言いたい事がある。
前置きというのはカレーにも、文章を書く上でも大事なものですよってこと。
カレーも十分に煮込まないと食べる時の素材の旨味とか深みは出てこないでしょう。
今日は、そんなスーパー変人な友人が初めて紹介してくれた吉祥寺にあるpiwangというスパイスカレー屋で食べたカレーについて書くよ。
piwangにはメニューはなく、店主が店主の気分で店主の作りたいカレーを週替わりで提供してくれる。
すなわち、店主の店主による店主のためのスパイスカレー屋さんなのである。
私がpiwangを初めて訪れた2017年のとある夏の日に店主が提供してくれたのは"冷製カツオカレー"
(冷製カツオカレー)
これまでに、日本の南の方で伸び伸びと育ってきた私は家庭で一般的に食べるカレーしか知らなかった。
そんな私にとっては、まずカレーが冷製なのも謎。鰹のたたきがのってるのもなぞ。パクチー盛ってあるのもナゾ。カレーに酢橘を絞って食べるのはもはやnazoであった。てか、もはや冷静ではいられなかった。冷製カツオカレー食べてんのにさ。
今考えると、この謎深さこそがこのカレーに深みをあたえていたのかとさえ思える。
一口目を口にした瞬間、これまで私の脳みその中に刻み込まれていたカレーに対する固定観念はひっくり返った。
口一杯に広がるスパイスの香りを感じ、一気に幸福感に包まれた。
そんな私は、この店主の店主による店主のためのカレーに完全に降伏した。
この幸福感と降伏感を皮切りに私の東京カレーツアーは始まったのです。
(つづく。たぶん)
あ、家庭のカレーって本当に美味しいよね。
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