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仙腸関節の理学療法

パトリックテストを行って『仙腸関節が問題である可能性が高いな』と思っても、実際に何が痛くて何が問題になっているかまで理解することが難しいと耳にします。
具体的な評価に関してはPart2で紹介する予定です。
少しでも皆さんの治療や考えの手助けができると幸いです。


概論
慢性腰痛の約25%は仙腸関節痛を有すると言われています・
(腰痛全体からすると5-10%と報告も多い)
最善の診断はブロック注射で変化がみられること。
脚長差が1cmあるだけで剪断、圧迫力が約5倍に増加すると言われています。
→長い下肢に負荷がかかる
小児期は滑膜関節の全ての特徴を有します。
成人になるにつれて不動関節に変化し、関節包も繊維化します。
軟骨下骨や関節軟骨内で縁取られた隆起が形成されていきます。
→摩擦を増やし剪断力に抵抗するため
変性変化は理由不明だが腸骨側で起きやすいと言われている。


そもそも痛みを感じる部位とは?
痛みは組織にメカニカルストレス(圧迫、牽引、捻転、剪断など)が繰り返し加わることにより誘発される。

痛みを感じる部位は・・・
脂肪体や関節包、筋、筋腱付着部、軟骨下骨、靭帯、筋膜、皮膚、半月板、神経などが挙げられます。



解剖学的視点
仙腸関節は2~3mm(2°の回転)しか可動性を持たない安定性関節であり、上半身と下半身を繋ぐ土台となる関節です。
関節面は垂直に近く、多くの靭帯や関節包を有し疼痛に敏感です。



運動学的視点
ニューテーション(下記)により圧迫と剪断力が上昇する。
→下肢の荷重伝達を行う
荷重によってニューテーションが起こり、仙結節靭帯の伸張で全ての運動のスイッチになる。
股関節圧迫力と重力(荷重線)で安定し、呼吸に関連付けると吸気で緩み、呼気で締まります。


ニューテーション型

カウンターニューテーション型

ニューテーション型、カウンターニューテーション型、不安定型に大別されますが今回の記事はここまでにします。
評価に関しては次回になるので来月以降楽しみにしていてください。

〜以上、月末理学療法士/そう でした〜
こちらのコンテンツは「巨人の肩の上」という言葉があるように、文献などを参考に臨床経験(失敗体験も含む)も交えて発信しています
またメディカルに完璧な正解がないことをひしひしと感じます
そのため、あくまでも自身の治療の〝引き出しの一つ〟にして頂けると幸いです


参考文献
Donald A.Neumann(原著者)PaulD.Andrew 有馬慶美 日高正巳(監訳者)筋骨格系のキネシオロジー2018
Ricard L.Drake etc(編集)グレイ解剖学2007
荒木 茂(著)運動と医学の出版社 マッスルインバランス2018

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