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無職93日目 遺体: 震災、津波の果てに

石井光太著「遺体: 震災、津波の果てに」読了。
東日本大震災での遺体安置所をめぐるノンフィクション。かなりハードな内容だったけれど、何とか読み終えることが出来た。

ほぼ前情報をいれなかったので、読む前までは、大切なひとを津波で亡くした遺族に迫ったノンフィクションなのかなぁ、と思っていたのだけれど、全然違った。
舞台は岩手県釜石市。津波で壊滅的な被害に遭った沿岸部は遺体で溢れかえり、被害を免れた内陸部の人々が死者の尊厳のために奮闘する、という内容だった。
生存者の救助は絶望的な状況の中、遺体搬送の現場や遺体安置所で肉親や顔見知りの遺体と直面し、苦悩しながらも何とか自分を奮い立たせる人々。彼等は市職員や歯科医師や葬儀業者や寺の住職で、警察や消防と違い、傷付いた遺体に慣れていない。自らも被災しながら、生き残ったからには出来る限りのことをしようと必死に行動する姿は涙を禁じ得ない。怒りや、悲しみや、焦燥など、様々な感情が入り乱れる中、遺体と向き合い続ける理由は何なのだろう、と考えながら読み進めた。
結局、読み終えても、自分の中ではっきりした答えは出なかったけれど、答えがどうとか理由がどうとか、そんなものは些末なことだよな、と思って考えるのをやめた。

内容がハードなので、万人にオススメできる本ではないけれど、人の死とは何なのか、死者の尊厳とは何なのか、改めて自分自身に問い直す良いきっかけになった。東日本大震災を風化させないためにも、読む価値のある一冊だった。

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