休職三日目 sweet heart

俺は映画は好きだけれど、国内外問わず、テレビドラマはほとんど観ていない。毎週毎週続き物を追うのは面倒だし、映画のように90分や120分で完結するエンタメと違って、ドラマは「次回どうなるのか」というクリフハンガーのせいでテンポが悪くなったり、展開に無理があったりするのが不満だった。
けれど、先月はほぼ丸々出勤していなかったし、良い機会だから、ということで、往年の名作ドラマを何本か観てみた。
そのレビューを以下に簡単に書いた。

・ビューティフルライフ
キムタク&常盤貴子主演、北川悦吏子脚本、主題歌はB'zの「今夜月の見える丘に」。
難病により車椅子に乗る女性と、才能はあるがなかなか芽が出ない美容師の青年によるラブストーリー。
はいはい、難病モノのドラマなんてお涙頂戴だよね、とかなり斜に構えて観たけれど、目玉がこぼれ落ちるほど泣いた。
キムタクは相変わらずキムタク節全開だったけれど、たまに凄く良い芝居をするし、車椅子の女性が最終回で死ぬことは分かっていても、最終回までに医療が発達して彼女の病気が完治し、二人で幸せに暮らすラストが待ってるはずだ、と自分に言い聞かせるくらい感情移入してしまった。
で、実際、最終回は情緒に流されすぎだし、泣かせようとしすぎなのだけれど、まんまと泣かされてしまった。
有名な死化粧のシーンは、あえてセリフ無しで、何も言わずに淡々とやっているうちに気が付いたら泣いている、という方が演出としては好みだけれど、もう最終回までに感情移入しまくっているので、細かい演出の合う合わない、などはどうでもいいという心境になっていた。
確かに名作だった。

サブタイトル「ふたりでいた日々」が泣ける



・魔女の条件
松嶋菜々子演じる教師とタッキー演じる生徒が禁断の恋に落ちるラブストーリー。
松嶋菜々子の作品は映画「リング」とドラマ「GTO」くらいしか観たことがなくて、美人だけれど、記号的な芝居しかしない女優というイメージだったのだけれど、認識を改めた。本作での松嶋菜々子は凄く良かった。精神的に自立していないキャラクターが自分の本当の気持ちと向き合って成長していく役を見事に演じきっていた。
特に第3話。夜の図書室で松嶋菜々子とタッキーが初めてお互いの気持ちを確かめ合う場面があるのだけれど、その時の松嶋菜々子にはぼろぼろ泣かされてしまった。音楽の使い方など演出はベタベタなのだけれど、タッキーを真っ直ぐ見つめて、好きだと告げる松嶋菜々子の瞳にノックアウトされてしまった。
今でもたまに思い出すと涙腺が緩むくらい良かった。
最終回は、松嶋菜々子のお腹の子どもの命が助からない、という鬼展開だけれど、それでも生きる、希望を捨てない、というメッセージが泣かせる。また、オープニングムービーでは眠る二人の足が鎖で繋がれている。しかし、最終回で昏睡状態から目覚めた松嶋菜々子とタッキーの眠る姿がオープニングと同じ構図だけれど、二人の足に鎖は無い。二人は自由の国を作っていける、希望はある、というメタファーだろう。それに気付いて更に泣かされてしまった。
タッキーのハンパない美少年ぶりも堪能出来るし、主題歌は宇多田ヒカルの超名曲の「First Love」だし、確かに名作ドラマだった。

まさに美男美女カップル



・やまとなでしこ
「魔女の条件」の松嶋菜々子が凄く良かったので、松嶋菜々子の代表作と名高い本作に挑戦。
正直、面白かったけれど、前に観た二作のように切迫した深刻さは無い。幼い頃からのトラウマが原因でお金に執着する客室乗務員の女性と、数学者として才能に溢れながらも挫折して魚屋を継いだ貧乏な青年とのラブストーリー。酔った勢いでラブホに入って、記憶が無いけれど果たしてセックスしたかしていないか、というエピソードで一話分引っ張ったりするので、辟易させられた。
ただ、お金に執着し、合コンを繰り返し、男性を騙したり傷つけたり、かなり自分本位で、観てる側が嫌いになりそうなキャラクターを嫌われないよう良いバランスで演じる松嶋菜々子はとても良かった。今まで、松嶋菜々子は記号的な芝居しか出来ない、と思っていたことを本気で反省した。
最終回では思わず笑顔になったし、文句はあるけれど、面白かった。

これまた美男美女


・氷の世界
すっかり松嶋菜々子にハマってしまったので、今度は松嶋菜々子主演、野沢尚脚本のミステリードラマの本作を観た。
とある殺人事件から端を発して保険金殺人の疑惑をかけられた女性教師と、それを追う刑事、保険調査員の三人を軸にしたミステリー。ネタバレになるからあまり詳しく書けないけれど、ミステリーとしてはアンフェアな作品だと思う。作中に犯人を示す伏線が全く出てこないので、最終回で犯人が分かっても、ミステリーとしてのカタルシスを味わえない。これでは何でもありになってしまう。ミステリーなら、下手くそでも良いからきちんと伏線を貼るべき。演出もいちいち気取っていて、あまり好きな作品ではなかった。
ただ、最終回での松嶋菜々子の熱演が良かった。作中で松嶋菜々子演じる女性教師が最も感情を爆発させるシーンで見事に泣かされた。

すっかり松嶋菜々子大好きになってしまった


・ストレートニュース
俺が中学三年生の頃に毎週観ていたドラマ。
戦場帰りの報道マンが打ち切り間際のニュース番組を立て直すためにプロデューサーに就任したことから巻き起こる人間ドラマを、15年前のとある冤罪事件を軸に描く。監督によって出来不出来に差があるけれど、基本的には面白かった。なんと言っても三上博史が最高。破天荒だけれどアツい主人公を熱演。レギュラーキャラも多くて報道をめぐる群像劇として楽しめる。頭角をあらわし始めた若かりし米倉涼子が出演しているし、まだイケメンだった頃の金子賢も拝めて、色んな意味で貴重な作品。
三上博史と竹中直人の手練れ俳優二人のやり取りも良い。

ストレートニュースと猫
見つめてくる矢島俊介と猫


ひとまず、今回はこの辺で。

今日の一枚

20221115
sweet heart
別バージョン

globeの「sweet heart」を聴きながら描いただけで、あまり深い意味はない。

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