感情労働(6)障害福祉分野の道徳
先日、従業員から「利用者(就労継続支援B型事業所を利用する障害者)のことをお客様とは見ていない」「利用者はともに高め合う”仲間”だと思っている」との持論を展開されました。
一瞬驚いたけど、次に浮かんだ心の声は「でた…おまえもか…」でした。
B型事業所は就労支援の入口。仕事に影響する困難さを抱えて社会参加が難しい人達が、仕事のために家から出る習慣をつけたり、マナーを身に着けたりするための訓練機関。支援員は業務上、ある意味”上司”のような振る舞いを求められます。そういう意味では外見上”仲間”のような側面もあります。
しかし、その私達のサービスを受けるために利用者様は施設に訪れていて、私達はサービスを提供して国から報酬を頂いています。
障害特性を考慮しながら職業準備性を身につける訓練プログラムを創出して提供するのが就労支援事業所の本質で、利用者様が職業準備性を身につけることが商品価値。その価値を創出するのが事業所の仕事なのだから、利用者様はどう考えてもお客様なのです。”仲間”と思ってたらここまで出来ない。
で、「でた…おまえもか」と思ったのは、以前、同じように公私の区別ができない人達に囲まれていたからです。みんな実務経験が長い人たち。どうもこの業界は職場において公私の区別をつけられない人が多いようです。
対人サービスでは接遇こそが商品だから、お客様の前で有るべき態度や心のあり方を意識するのは職業人として当たり前。その意識が感情社会学における「感情規制」で、お客様に対する相応しい振る舞いを努めるのが「感情管理」。適切な「感情管理」が質の良いサービス商品を作ります。
公私の分別をつけられない人達は、対人関係における感情管理が苦手だからやすやすと感情を剥き出してしまいます。仕事中でも気が抜けた顔や不機嫌な顔を見せたり、お客様に対してタメ語になったり、イラッとして語気を強めたり、あるいみ感情豊かで人間らしいといえば人間らしいね(笑)。
だけど、感情”無管理”の接遇はサービス業とは言えません。客も離れます。
従事者の道徳心が商品品質に直接影響するのが感情労働。高いサービス品質を提供する組織には高い志があり、従事者の道徳感も高いのです。
それは障害福祉であっても同じです。
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