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【レビュー】来季へのテスト? 第38節 レアル・ソシエダ - アトレティコ・マドリー
長かった23-24シーズンもついに最終戦。ソシエダは前節、6位を争うベティスに競り勝ち来季のヨーロッパカップ出場権を手に入れた。
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すでに最終順位は決まっているが、サモラ賞の可能性が残っている。
またレンタルで所属していた面々にとっては、この試合がソシエダでのラストマッチになる。
前節はこちら(サモラ賞の話も)
コンディション
ガランとサディクが怪我でメンバー外に
スターティングメンバー
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過密日程だった直近を含め、10試合連続フル出場だったメリーノがようやくお休み。メリーノとスビメンディを酷使しまくるところはソシエダのブラック要素。
最前線にはベッカーを起用。久保との共存が注目される。
試合結果
スタッツ
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交代
バレネ → オヤルサバル
ザハリャン → オラサガスティ
キーラン → アランブル
ベッカー → アンドレ・シルバ
トゥリエンテス → ウルコ
試合内容
ソシエダのビルドアップの変化についてみていく。
トゥリエンテスへのマンマーク
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ソシエダが後方からのビルドアップを始めると、それまでワントップにいた10番コレアが少し下り、トゥリエンテスにぴたりと付く。アリッツがボールを受ければグリーズマンが、パチェコが受ければフェルメーレンが寄せる。ハイプレスと呼ぶほどのものではなく、フリーでロングボールを蹴らせないためのチェックといった程度だ。
トラオレとティアニーの両SBは少し離れたところから監視されている。
あるいはこの形。
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パチェコにプレスをかけにいくのが5番のデ・パウルになっている。ただ全体で見ればそこまで大きな差はない。重要なのは、いずれにせよトゥリエンテスが常にマークされている点だ。
前線の攻撃陣にも基本的にマンツーマンのマークがついている。メリーノがいればロングボールでの基点にもなれそうだが今日はいない。パスを出しやすいトラオレとティアニーからのビルドアップを誘われている。
ちなみにアトレティコの守備の狙いとしては、SBからWGへの縦パスが入った瞬間だろう。
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バレネチェアは後ろ向きで受ける上、18番フェルメーレンと5番デ・パウルにプレスをかけられる。奪われればカウンターに繋げられかねない。加えてこの時、逆サイドのSBサムエル・リーノ(12番)はディフェンスラインにスライドしている。仮にバレネチェアがジョレンテを抜いたとしても、アトレティコはカバーできる状況を作っている。
なのでまずはアトレティコ陣内まで押し込む。アトレティコは前線からあまりプレスをかけてこないので、最終ラインで横パスを繋ぎながらの前進はさほど難しくない。
その上でWGの狭いエリアで崩しを狙うシーンが多く見られた。
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ソシエダはこういう狭い局面が得意ではある。バレネチェアのフリックやレイオフ。あるいはバレネチェアをおとりにして、ティアニーからベッカーまで一気に飛ばしてしまうパスなどなど。幾つかのパターンがある。
しかもこの試合では、いつも以上にサイドで連携の息が合っていた。
ただ、アトレティコのディフェンスもプレスとカバーが上手く、なかなか決定機を作れない展開が続く。
久保のゲームメイク
変化を与えたのは久保だった。
久保はバレネチェアのいる左サイドに流れてワンツーの壁役になってみたり、トラオレと上下の位置関係を変えてみたり。右WGをメインとしながらも自由に動き、狭いエリアでもその細かいタッチで違いを作っていた。
前半38分のチャンスシーンをピックアップする。
ベッカーを使ったソシエダのカウンターが阻止された直後。まだアトレティコは帰陣しきれていない状況だ。
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アトレティコの陣形が整っていない中で、久保は狭いながらも的確にスペースを見付けフリーに。ザハリャンからのパスも当然ワンタッチで前を向く。そしてツータッチ目でとんでもないところにパスを出す。
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近くでフリーになっているブライスに出すかのような体の向きを作り、20番ヴィツェルのプレスを誘導。ヴィツェルの視野外から裏へ抜けるバレネチェアにスルーパスを送った。
たったツータッチだが、ダビド・シルバのような鮮やかさだった。
🥺 A un paso del empate.#LaLigaHighlights | #RealSociedadAtleti pic.twitter.com/H2XCVgKL7H
— Real Sociedad Fútbol (@RealSociedad) May 25, 2024
このチャンスを契機にソシエダは攻勢に出る。
直後の39分。
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右SBのトラオレも上がってきている。でも久保はあえて外を使わない。久保がというよりも、ソシエダがチームとして意図的に中を選択している。アトレティコが外よりも中へのパスを嫌がるからだ。
結局、久保はキープして前を向き、この密集地帯でバレネチェアまでパスを届けてしまった。さすがすぎる。
来季へのテスト?
後半に入り、ソシエダはさらなる変化を見せる。
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相変わらずピッタリとマークされているトゥリエンテスの隣に、SBのトラオレを持ってきてビルドアップをしている。(アリッツがトラオレに指示していたので、トラオレの独断ではないことが分かる。)
さらにはこの形。
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トラオレがハーフレーンの最前線にいる。ブライスが低い位置でビルドアップに加わるのも珍しい。
いずれのパターンでも、SBが1列ないしは2列前に上がることで攻撃の人数が増える。攻撃の人数が増えれば相手ディフェンダーも人を割かねばならず、久保バレネへの対応も緩くなる。実際、後半は久保がサイドで1対1のドリブルを仕掛けるシーンが多く見られた。(ほぼ全勝)
この流動的な右サイドの久保、トラオレ、ブライスの関係性はとてもとても良かったものの、あまりソシエダらしくはない。トラオレを使った来季のオプションを実戦で試したようにも思われる。
そして来季で言えば、久保のトップ下もあり得るような気がしてならない。そう思わせる程、今節は久保のゲームメイクが際立っていた。
その他もろもろ
チャンスシーンは何度か作り出せたものの、結局試合には負けてしまった。今回は書ききれなかったが、アトレティコの攻守の可変はスムーズで素晴らしく、直近に対戦したマドリーよりバルサより洗練されていた印象がある。
EL出場権争いが最終節までもつれなくて本当に良かった。
レミーロのサモラ賞について
結局はビルバオのウナイ・シモンが失点0で今節を終え、そのまま首位を守った。レミーロにもチャンスがあっただけに残念ではある。だが今季の6位という順位がレミーロのおかげだということはファンならば誰もが理解しているところだ。シーズンを通して安定感があり、素晴らしい活躍だった。
23-24シーズン終了
1年が終わってしまった。
CLとコパデルもあったため、かなりの過密日程だった。全53試合。
ソシエダは中堅クラブであり、層が薄い。これは仕方がない。それでもCLではグループステージを突破し、コパデルではベスト4まで勝ち残った。リーグでも6位と来季のEL出場を決めている。充分すぎる。
夏の移籍市場では間違いなく新たな9番を獲得することだろう。サイドバックがどうなるか、補強はどうなるか、引き抜きはあるのか。不安もあるものの、その動向は楽しみで仕方ない。
今後、選手の多くは代表の活動にユーロ、オリンピックとまだまだ忙しい。そしてまたすぐに来季が始まってしまう。どうか怪我なく、わずかなオフを満喫してくれればと願う気持ちでいっぱいだ。
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来季もよろしくお願いします。
〈了〉
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