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ワアキングプア・ホリデヱ 豪州編 第一話「懲役四ヶ月」

Nimbinというガンジャ村で一ヶ月の居候を修了した私はゴールドゴーストまでヒッチハイクで渡り、そこから電車でブリスベンという豪州の三番目にデカイ都市に向かった。が、苦肉の策でジャパレス(大抵が日本人が経営する違法最低賃金日本食屋)に絞って6件程ビラ配りをしてもついには一件も連絡を頂戴できない有様でありました。
このまま生活費の高いバビロンに搾取され続けることに耐えられず、貯金が底をついていたので、言語がままならない外国人でも仕事得るのが容易いファームジョブで88daysを先取りで取りにいくコトを決めた。
88daysとはワーキングホリデー(通常一年間有効)というビザをもう一年延長できる制度。その資格を得るには88日分地方で現地人に不人気で退屈な肉体労働(農業、漁業、鉱業などの一次産業)をすることが条件である。
つまり現地人がやりたがらない厭で厭で仕方がない肉体労働を外国人労働者に委託してしまおうという素晴らしいアイデアなのである。地方の過疎化が悩みの種でありながら大規模な外国人の受け入れを躊躇し続ける大日本帝国民気取りの現代日本人にもこの素晴らしいアイデアを輸入したいくらいである。大多数の人間が無意識に第一産業や建築業、清掃業、工業、などの汚れ仕事を忌避し、無視に徹する。それでいながらそれらの恩恵のみを享受し、金という手段でそれらに依存している状態。これは彼らが嫌ってやまない税金を納めずに公道を闊歩し、図書館に入り浸るニートに通づる図々しさがある気もする。非人に屠殺や死体処理を押し付けていた徳川時代(農耕が始まってからだと思うけど)から連綿する人間社会の構造なのかもしれない。 
 ブリスベンから北に向かう列車に飛び乗り5時間ほどかけて向かったのはバンダバーグという農業が盛んな田舎町であった。いつも北に向かう列車に乗っている気がする。北という寂寥で寒々しい響きに無性に惹かれる。だが南半球で北に向かうといえば太陽に近づく行為であり日本で言えば本州から沖縄へ南下するのと同じだ。

バックバッカーにつき、部屋に案内されるとそこは八人部屋で、狭い部屋を囲むように並ぶ二段ベッドが四つ並ぶ様はまさに懲役刑に服する囚人に相応しいと言えた。

書くのに疲れたし、諸々あって来年初めには日本に帰ることになりそうなので今回はこの辺で終わります。








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