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シビアな状況でも「ユーモア」をまじえて、乗り切るためには

クロップ監督はかって日本代表の10番を背負った香川真司の恩師としてもよく知られている。
香川は2010年ドイツに渡ってすぐにゴールを量産して、当時ドイツで最も有名な日本人選手となった。
その成功の陰にも、実はクロップ流のコミュニケーション術があったという。

選手たちにとって、少しでも快適な環境を作ってあげたい

クロップは、香川の入団に合わせ、日本語の通訳もチームに招き入れた。
外国人選手のためにチームが通訳を用意すること自体は、それほど珍しいことではない。
画期的だったのは、ロッカールームから試合中のベンチまで、あらゆる場所に通訳を帯同させたことだ。
それまで、通訳をロッカールームやベンチに入れることは「チームの不可侵のエリアに部外者を入れるのは好ましくない」という理由で、敬遠されていた。
しかし、クロップにとって、そんな慣例など関係なかった。

クロップはチームが選手に求めることを伝え、選手が何を望むのかを理解するために徹底してコミュニケーションを取っていた。
彼はコミュニケーションスキルを武器にして“ドイツ人として最も成功した監督”と評されるまでになった。
管理することではなく、支援することこそが大切なのだ。

「愛」を持って選手たちと接する姿勢

自分のチームの選手たちが、他のチームへ移籍する。監督をしていれば、そんな事態は日常茶飯事だ。移籍をする理由は、家族が街や国になじめないというプライベートなものから、他のチームがより高い給料を提示したなど、評価に絡むものまでさまざまだ。しかし、教え子のそんな決断に、クロップが異議をとなえることはほとんどない。
移籍したあとに、かつての指導者のことを悪く言う選手も少なくない。しかし、クロップのもとではそうした選手はほとんどいない。当時の香川はチームの絶対的なエースだったが、「オレはオマエの決断を尊重する」と声をかけられたと証言している。自分の家族のように選手のことを愛しているからこそ、選手から信頼されるのだ。

歳を重ねるにつれ、チームのメンバーの年齢が私と一周りも二周りも離れていることが増えて来た。
それ故にメンバーの悩みを聞く度に、彼らの将来を考え、まるで自分の子供と話しているかの様な感覚になっている自分に気付く。

そして苦しい時こそ、ユーモアを交えたコミュニケーションを取ることも私たちの世代に必要なことだろう。

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