(メモ)国税庁統計年報にみる所得格差(2020年版)

国税庁統計年報(令和2年版)で、所得税の統計から、現在(2020年)の日本における所得格差がどのようになっているのかを、みてみたい。

2020年度の所得税は源泉徴収分で18兆,8654億円、申告分で3兆1663億円であった。1年を通じて働いた民間給与所得者は5,245万人で、平均給与(年額)は433万円(男532万円、女293万円)となっている。

大多数を占める年間所得1000万円以下の労働者、自営業者層95.6%と、数千万円の所得をえている中間層4.4%、そして1億円超の高額所得者0.03%、22,589人とに大きく分けてみることができるのではないだろうか。大まかな推定ではあるが、この上層の0.03%が得る所得は全体の所得の3%程度を占めているのではないかと思われる。100億円超が29人(2019年は16人)いるというのも日本には特別な大金持ちはいないと思われている常識とは異なるのかもしれない。中間層4.4%が全体所得の17%程度を占め、残りの8割程度を95.6%の労働者、自営業者層が得ているという構成である。

所得者別内訳から推測すると高額所得者の所得は事業所得、不動産所得、給与所得、雑所得には分類されない所得が大きな部分を占めており、つまり利子や配当所得、あるいは信託からの収入の部分が非常に大きそうである。富裕層の貨幣資本保有から生じる所得であり、労働者の搾取の「果実」というわけだ。

さらに付け加えれば、企業の内部留保は株主に帰属しているわけであり、富裕層は隠れた形で貨幣資本を蓄積しているといってもよい。株式の評価益を考慮するよりも内部留保の個人への帰属がどうなっているかをみる方が、より本質的に搾取の果実がどう分配されているかをみつことができる。

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