コロナ禍の若者たちと支援①

緊急事態宣言は解除されていますが、毎日どこかで感染者が報告される状況が常態化しており、この非常事態が日常になりつつある気がします。最初は恐怖や不便を感じていたものに対して慣れてきてしまっているのかもしれません。

さて、新型コロナの第1波到来後、学生たちも大きな影響を受けました。どこの大学でも対面授業は中止、オンラインでの授業の日々となり、学びの環境が激変しました。

そして、生活が苦しくなった学生も少なくありません。世帯主の減収や失業、学生自身のアルバイトの減収や失業等によって、経済的に苦しくなることに。前期の学費を納めることが難しい学生もいたと思います。

*宮城の大学生、2割が退学検討 学生団体調査
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202005/20200502_13004.html

仙台には大学が多数存在し、学生がおよそ5万人生活していると言われています。単純に2割とすると、なんと1万人(!!)がより厳しい状況に置かれてしまったことになります。

そんな中で、経済的に困窮した学生を対象とした支援策がいくつか展開されました。第1波において、どのような支援策が打たれたのか整理したいと思います。

1) 全国的な支援施策

●文部科学省 「学びの継続のための学生緊急支援給付金」
アルバイト収入の減少などにより学生生活の継続に支障をきたす学生を対象に、緊急で現金給付の支援を行うものです。1次募集は6月中に申請が締め切り、2次募集が7月中にありました。

●日本学生支援機構
・「給付奨学金」

新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて、家計が急変した方への給付による支援です。条件は細かく設定されていますが、自宅から通う大学生なら約1万円から3万円、一人暮らしなどの場合は約2万円から6万円の給付が受けられます。なお、家計急変の事由が発生したときから3カ月以内に申し込む必要があります。

・「緊急特別無利子貸与型奨学金」
こちらは貸与型。学部生だと月額2万〜12万円、実質無利子で貸与されます。貸与期間は、2020年4〜9月(希望月を選択)から2021年3月まで。

2) 大学独自の支援策

市・県内の各大学は、独自に給付金や奨学金を準備して学生たちを支援しています。いくつか抜粋して掲載します。

●宮城学院女子大学 新型コロナウイルス感染症緊急修学支援給付奨学金
コロナの影響により家計が急変した学生に対して、独自に奨学金を給付しています。受付も、6月から2021年1月までと、長期で設定されています。
ちなみに、宮城学院のホームページでは、大学独自の奨学金制度に加えて、国および日本学生支援機構(JASSO)奨学金、その他の制度の情報が細かく整理されています。いちから探すのが大変な情報が、キレイにまとまっています。緊急小口貸付貸付等の特例貸付なども掲載されています。クリックすると概要が表示されるHPの仕様も素敵です。

●東北学院大学
・休業要請等に対応する東北学院大学緊急給付金
休業要請等に起因して、家計支持者の状況が急変した学生に向けた給付金です。対象者には10万が支給されます。第1期は6月に、第2期は7〜9月で受け付けています。

・東北学院大学緊急給付奨学金
家計支持者の死亡・疾病・失業等により家計状況が急変して修学困難な学生を対象とした緊急給付奨学金です。当該学期に納付すべき授業料に相当する額が給付されます。現在、コロナの影響による特別措置が取られていて、適応の幅が広がっているようです。

【期間限定の特別措置】
「2020年10月末までの期間限定で、新型コロナウイルスの影響を受けて収入が減少したことによる公的支援の証明を提出できる場合も、家計急変の証明書類として、特例で受け付けます。これにより、自営業の方で売り上げ等が減少した場合も、申請が可能になります。」

東北大学 緊急学生支援パッケージ
東北大学では、学生を多面的にサポートするように、支援策のパッケージ化を行いました。主な支援は以下のとおりです。

・ネット環境が不十分な学生全員に、貸出用のパソコン及びWi-Fiルーターを用意
・すべての学生にアドバイザー教員(約2,000人)を配置
・学生ピアサポーター制度の新設
・専門家によるオンライン相談対応
・大学業務に協力してもらい、学生の収入を支援
①学生ピアサポーター:2,500人規模
②オンライン授業推進のエキスパートティーチングアシスタント:100人雇用
・生活困窮学生に対する独自の緊急給付型奨学金

この中に「学生ピアサポーター」というものがあります。これは、学部3・4年生が、新入生に対してオンラインによって学習・生活支援を行うというものです。ピアサポーターの学生には、4万円(1月/2万円×2月)が支給されます。新入生は同じ大学の先輩たちからサポートを得られ、相談することができる。アルバイトの機会が減っている中で、学生はちょっとした資金を得ることができます。

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●東北福祉大学 学生に一律で給付金を支給
福祉大では、オンライン授業開始に伴う自宅等のネット環境整備のため、「東北福祉大学緊急給付金」として全学部・大学院生に一律3万円を支給しました。オンライン授業が導入されたものの、自宅やアパートでのネット環境が必ずしも整っているとは限りません。福祉大では、緊急性・公平性の観点から、学生全員に3万円を給付することを決めました。

また、新型コロナウイルスによる家計急変学生支援(貸与奨学金)は随時受け付けています。奨学金担当窓口(学生生活支援課)に相談してほしいとのことです。

東北工業大学
東北工業大学でも、福祉大のように、全学部生・大学院生を対象に3万円を給付したようです。遠隔授業はじめ、自宅での学習環境整備を目的としています。
また、国の「高等教育の修学支援新制度」の対象とならなかった家庭の学生を対象に、授業料を減免したり、経済的な理由から学業の継続が難しいような学生を対象に、給付奨学金制度を拡充したりすることで、学生の学びの機会が失われないように支援しています。

こうして取り上げただけでも、各大学で様々な対応が取られていて興味深いです。ただ、支援策が準備された一方で、学生側での申請のハードルと言いましょうか、“使い勝手”がどうだったのかも気になるところです。その点、一律での給付は学生にとっても分かりやすかったのではと思います。

そろそろ長くなってきましたので、二回に分けて書きたいと思います。

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