6/28 深堀ヒアリングレポート前編

またまたオンラインでの企画を開催しました。

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これまでの情報交換を通じて、「今まで普通に生活していた人であっても、突然生活が変わってしまった」というケースが、今回のコロナの特徴の一つだと感じています。もう少し解像度を高くして、実態を把握しようと思い、支援団体の方を招いたオンラインヒアリングを公開で行いました。

1)困窮の窓口の状況

仙台市の困窮者の相談窓口「わんすてっぷ」の平井センター長に、最近の相談対応状況などを伺いました。

・5月上旬までは、住居確保給付金や緊急小口の問い合わせが多いなど、相談内容に傾向が見られていた。最近は傾向がなくなってきて、色々な問題を抱えている人からの問い合わせが見られる。
・住まいに関する問題が4月以降になって非常に大きい。4月以降は30名以上が個室型シェルターに入っている(ワンファミリー仙台が対応している)。次々借りていかないと足りない状態に。
6月に入ってからは「もう家賃を滞納してしまっていて、もうすぐ家を出なくてはいけなくなっちゃうから、住居確保給付金を申請できないか」といった相談が多くなっている。待ったなしの状態にある。
困難な状況に陥るリスクの高い人が増えてきた。ただ、まだなにかしら手立てがあれば、時間稼ぎをしながらなんとか対応できるかもしれない。これが、手元に入った特別定額給付金を使ってなくなる8月から9月くらいになると、「家を出てしまいました」というような人が増えてきそうだ。
・今の時点で不安に思っているけれど、とりあえず相談はしていないという人が、家や仕事を失ってしまったという状態になってから出てくるのが怖い。「本当はちょっと困ってるんだよね」という人たちに、どうやって情報を伝えるかということが今後大事。

2)大学生の困窮の現場

続いて、ワカツクの渡辺一馬氏よりお話を伺いました。ワカツクでは、学生に直接話を聞いたり、学生によるアンケートの結果から、経済的にかなり困窮している学生が多数いることを受けて、食糧支援を行うことに。これまで宮城学生緊急アクション、フードバンク仙台と共に2回実施しています。

・食料支援を行ってみて、食べることに困る学生が増えてきている。特に、一人暮らしの学生は困窮度が高い。バイトができなくなって収入減って、食べ物を買うお金を減らしている。
「困った」を誰に言えばいいのか分からないという声が多かった。このことの裏返しだと思うが、「久しぶりに人と話せてよかった」という声があった。
・特徴的なのは、実家暮らしですら、怖くなって受け取りに来る人もいたということと、留学生も受け取りにくることがあったこと。留学生はおそらくもっと大変だと思う。日本に来ている留学生は建前上「経済的に困窮していない」ことになっているようで、思うように手を差し伸べられないことを感じた。

3)相談の現場の近況

仙台POSSE川久保氏からは、コロナ対応で感じる特徴などを紹介していただきました。

幅広い年齢の人から相談がきている。中高年、いわゆる就職氷河期の年代からの相談が多い。業種は幅広いが、最近は飲食とか対人関係が多い印象。
・東京ではアルバイトが減って学費が払えないという相談も多い。特に深刻なのは、経営者に「アルバイトだから休業補償は払わない」と言われて騙されて、納得して困窮している学生が多い。
・外国人留学生からの相談が増えている。日本人に比べて利用できる制度が少なかったり、情報が豊かではない。所持金1000円以下、1食1週間とかの生活をしている。住居確保給付金とかにつなげるのに四苦八苦している。

全国コミュニティライフサポートセンター高橋氏からも、近況を共有していただきました。

・これまでもCLCで受けていたようなケースの相談が増えている。色々な機関からの受け入れの依頼の相談が増えてきている。
・他の団体との情報交換の際に、関東の人が仙台に流れてきているという話を聞くようになった。関東はまだコロナの感染リスクが高く仕事ができないため、仕事があるだろうと思って仙台にきたけれど仕事がなくてどうしよう、といった話を聞く。

こののち、参加者で情報交換をしましたが、
・どうも外国人留学生、大学生、ひとり親、もともと貯蓄が少なめの30~40代など、何かがあって一回所得が止まる(収入が大きく減少する)と生活が脆くなるような層に直撃しているのでは?
・今はまだなんとかやりくりしているものの、経済的に“紙一重”のひとたちが少なくなさそうだ。より困難なケースがぽつぽつと出始めている。
・支援につながるという選択を知らなかったり、「自分には必要ない」と思って我慢するが故に、困窮の度合いがどんどん悪化してしまう。
といったことが見えてきました。

回の後半では、「悪化してしまう前に相談や支援のネットワークにアクセスしてもらうにはどうすればいいのか?どう情報発信する?」ということについて、アイディアをみんなで出し合いました。

〜後編へつづく〜


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