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[Climate Curation #85]COP28直前、様々な気候変動関連報告書の公表 / TIME誌が選ぶ気候リーダー100人

以下の内容は2023年11月18日に配信したニュースレター「Climate Curation #85」と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はサブスタック(Substack)、或いはLinkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。


こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて520名を超える方に購読頂いてます。2023年9月から配信をスタートしたLinkedinでのニュースレターでも870名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。日本語圏以外の方にも数多く登録頂いているのですが、DeepLやGoogle翻訳等ご利用の上眺めていただけたら嬉しく思います🙂。


【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】「日本はGXに本気か」 海外マネー3300兆円が品定め -資産運用立国に挑む 開国の障壁(1)[11/13 日本経済新聞]

"日本政府は、家計金融資産2,100兆円を活用し、海外投資会社を招いて国内投資を促進する「運用開国」に取り組んでいる。この動きは、化石燃料からクリーンエネルギーへの産業構造転換(GX)に重点を置いている。例えば、JFEホールディングスは構造改革と脱炭素化に向けて、海外投資家から資金を調達している。しかし、海外投資家は日本企業の積極姿勢に対して懐疑的であり、日本企業が長年の借入金返済優先の姿勢から脱却し、積極的な投資に移行するかが焦点となっている。"

▶今週X(Twitter)上で1,900回以上再投稿&いいねされ話題になった記事。欧州のような一足飛びの脱炭素でなく段階的に移行(トランジション)するGX戦略に対して、「その定義は?」「どこまで真剣なのか?」「どこに投資すればいいのか?」という質問が海外から寄せられるとのこと。英語での情報発信や、「1.5度目標との整合性のある戦略」が求められているのでは、と感じます。

【2】1.5度目標から遠い日本のGX 経団連や企業の「政策提言」影響か [11/14 朝日新聞 *🎁GIft URL 11/18 12:00迄]

英独立系シンクタンクのインフルエンスマップは14日、脱炭素社会を目指す日本のグリーントランスフォーメーション(GX)政策と、国内企業や業界団体による影響を分析したリポートを発表した。立案までに出された意見のうち8割以上が、製鉄などの一部企業や業界団体に集中しており、全体の15%を日本経済団体連合会(経団連)の意見が占めたという。

11/14 朝日新聞

*レポート:日本のグリーントランスフォーメーション(GX)政策と気候変動科学〜1.5℃目標に向けたIPCCの指針とGX政策の比較および企業のGX政策への影響力の分析 [11/13 InfluenceMap]

【3】Climate change news audiences: Analysis of news use and attitudes in eight countries(気候変動ニュースの視聴者:8カ国におけるニュースの利用と態度の分析)[11/14 ロイタージャーナリズム研究所]

このレポートでは、2022年に実施された調査を基にして、2023年にブラジル、フランス、ドイツ、インド、日本、パキスタン、イギリス、アメリカの8カ国での気候変動に関するニュースのアクセスと消費パターンを分析したものです。特に気候正義(Climate Justice)と解決(Solution)志向のジャーナリズムに焦点を当て、これらの国々の間での違いと一貫性を明らかにしている点が特徴です。概要としては気候変動ニュースの消費行動が若干増加し、科学者が最も信頼された情報源であること、そして回答者の多くが気候変動の誤報を懸念していることが挙げられてます。

気になったのは各国ごとに気候変動に関して友人や家族とどの程度会話をすることがあるか、という調査項目です。日本は平均より11ポイント低く25%程度の人が直近1週間に会話をしたという回答ですが、「今まで気候変動に関して会話をしたことがない」という回答が29%と突出していることが伺えます。

ロイタージャーナリズム研究所

【4】State of the Transition 2023 - Accelerating the Clean Industrial Revolution [11/13 Breakthrough Energy]

ビル・ゲイツ氏率いるブレークスルー・エナジーが公表した第1回年次報告書の前書きには、より大きな投資と注目を集める価値のある3つの技術として以下の3つが挙げられてます。現実的で長期的なビジョンを持った様々な取り組みや成果について詳しくレポートされてます。

  • 気候変動に特効薬はないが、水素はそれに近い。

  • 炭素の除去・貯蔵は炭素の目標達成に不可欠。

  • 電気を送る送電網(grid)は、より良い技術でより賢くなる必要がある。

【5】Decarbonisation of industrial activities is beginning - Technology is improving, and policy is starting to shift [11/13 The Economist]

エコノミストの2024年予測記事でも来年は「ブラウンからグリーンへの革命」が始まる、として、 ビル・ゲイツ氏やラリー・フィンク氏のコメントと共に、2024年は伝統的に排出量の多い(hard-to-abate)セクターが大きく転換する、産業界の脱炭素化において極めて重要な年となる、と指摘されてます。

【6】COP28で温暖化対策は軌道修正できる? 鍵握る「グローバルストックテイク」とは [11/18 東京新聞]

11月末から開催予定のCOP28の主要テーマの1つであるグローバル・ストックテイク(パリ協定実行の進捗状況の点検)について概要が紹介されてます。

公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)によるCOP28に向けた連続セミナーも開催されていて、グローバルストックテイクについても詳しく解説されてます。こちらのウェビナーには事前申込者が900人もいらしたとのこと、関心が高まっていることが伺えます。

【7】タイム誌が選ぶ2023年、ビジネス界で最も影響力のある気候リーダー100人 - Time 100 Climate [11/16 TIME]

リストはカタリスト、リーダー、巨人、イノベーター、養護者の5つのカテゴリーごとに20人づつ選出され、著名な人から初めて目にする人まで、おや?と思う人もいたりするものの、とても興味深いリストでした。残念ながら日本からの選出はありませんでした。

TIME 100 CLIMATE

【8】脱炭素アドバイザー資格の認定制度 [環境省]

今年の春にこうした脱炭素アドバイザーという資格認定制度を始めるという報道があり気になっていたのですが、既に資格取得のための検定実施事業社が選定され、10月1日以降運用が開始していることを先日知りました。会社や組織の中での脱炭素リテラシーを高めるという点で活用できるのかもしれないと感じます。ちょうど以下のGX検定の申込締切が11/22までとのこと、試しに受験してみたいと思います:)

脱炭素アドバイザー資格の認定制度 / 環境省

【2023年第2回GX検定 ベーシック実施結果】258名合格、合格率77.25% - 334名が受験し、受験者に占める業種別の割合は製造業が最多 [11/10 PRTIMES]

【9】米有名ファンドの日本人幹部が語る、次に「水素が来る」理由【ゲスト:黒﨑美穂さん】[11/16 ポッドキャスト NewsPicks グリーンビジネス]

気になっている水素について分りやすく解説を通じて、鉄鋼・航空等の hard-to-abate 分野での利用が広がりそうな機運が感じられました。

グリーンビジネスのMCのみなさんとマンスリーゲストとして今後参加される気候テックの大手VCエナジー・インパクト・パートナーズの黒崎さんが登壇されるイベント(START UP EVERYTIME)が11/21&22に開催されます。ご興味ある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?

11/22 10:00-11:00 『次の「イーロン・マスク」はどこから生まれるのか?』@START UP EVERYTIME / NewsPicks

【10】日本最大級の環境エネルギーイノベーションの祭典 LEEP SUMMIT 2023 をCIC Tokyoにて開催 [11/15 CIC Tokyo / PR TIMES]

12月15日(金)@ CIC Tokyo(東京・虎ノ門) / 申込(Peatix)

LEEP SUMMIT

LEEP SUMMITは環境エネルギーイノベーションコミュニティが毎年年末に開催する大規模イベントで、今年は3回目ということで国際色豊かなパネルディスカッション、ピッチイベント、セミナー、そしてディスカッション形式のワークショップ「World Cafe」もあり、盛りだくさんのコンテンツとなってます。環境エネルギー分野でのイノベーション創出に関わる企業、スタートアップ、起業家、研究者、大学や研究機関、官公庁、自治体、投資家など、数多くのプレーヤーと出会い、交流する機会としてオススメです。私は2年前に開催された第1回イベントに浜松から日帰りで参加し、沢山の刺激を受けたことを今でも思い出します。今回も当日現地参加する予定です🙂🎟️


ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]
🌏Climate Tech List ⚡ https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
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▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリスト

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