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[Climate Curation #98]東証プライム企業に排出量の開示義務検討 / 【調査】原発再稼働賛成50% / 脱炭素経営 EXPO開催

以下の内容は2024年2月24日に配信したニュースレターClimate Curation #98と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はtheLetter 、或いは Linkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。

こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在theLetterにおいて580名を超える方に購読頂いてます。2023年秋にスタートしたLinkedinのニュースレターでは970名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。*日本関連の英語記事をキュレーションしている英語版のJapan Climate Curation [購読者数約2,300人]もよろしければぜひ覗いてみてください。


【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】排出量の開示、東証プライム企業に義務づけ 金融庁検討 [2/19 日本経済新聞]

"金融庁は東京証券取引所プライム上場企業を対象に温暖化ガス排出量の開示を義務づける検討に入る。自社分だけでなく調達・輸送などの取引先を含む排出量について国際基準に沿った開示を求める。投資家が同じ基準で比べられるようにし、企業に脱炭素に向けた取り組みを加速するよう促す。"

  • 『CO2排出量が義務的開示の対象に含まれる時代』がいよいよ近づきつつあることを感じる記事でした。企業にとっては負担も増えることが予想され、導入は「まずはプライム企業の一部(数百社規模)から」という可能性もあるとのことですが、いずれCO2排出量の計測・開示・削減ということが中小企業、そしていずれは個人も意識しなければいけない時代に向かっていくのでは、とも感じます。

【2】US climate goals: EVs are on track, but clean power is lagging (米国の気候目標: EVは順調だがクリーン電力は遅れている) - Clean Investment Monitorによると、EVの販売は目標通りだが、許認可や送電網の障壁が、脱炭素化目標の達成に必要な風力や太陽光の成長を妨げている。[2/21 Canary Media]

この記事をピックアップした理由は、「米国における気候変動対策の進捗を分析したレポートは、EVの普及は順調に推移していると評価」している点を共有したかったからです。先週のニュースレターでは動画『欧米でEV販売に陰り、実は世界中ハイブリッドブーム![2/14テレ東]』、或いはWSJの記事『EV革命頓挫、6カ月で何が起こったのか - 自動車メーカーがEVシフトに全力を投じる一方、消費者は購入により慎重に [2/21 ウォール・ストリート・ジャーナル]』というような見出しの記事をご紹介しました。メディアの記事の見出しを見極める際にはいろいろな視点を持って眺めることが重要と感じます。

image: Clean Investment in 2023: Assessing Progress in Electricity and Transport

【3】EV減速でも日本勢は電動化投資計画堅持、先行の欧米勢縮小の動きも [2/19 ブルームバーグ]

"成長を続けてきた電気自動車(EV)市場に鈍化の兆しが見える中でも、国内自動車メーカーの多くは電動化に向けた長期の投資計画は堅持する方針だ。これまで積極的な姿勢を見せていた欧米勢が相次いで見直しを余儀なくされているのとは対照的な様相となっている。"

  • 国内自動車メーカーも欧米のEV需要の低下を想定内としつつ今後のEVシフトに継続的にコミットしている様子が伺えます。

【4】EV優先駐車スペース義務化を、国内最大のEV充電会社CEOが要請 [2/19 ブルームバーグ]

EV充電器ネットワークを運営する日本最大の企業であるエネチェンジCEO城口洋平氏は、日本でのEV普及を促進するため、EV用の優先駐車スペースの義務化を政府に要請している、とブルームバーグTVのインタビューで語っています。日本のEV充電インフラは、充電スペースがガソリン車に占用されることや充電ステーションの不足により、欧米に比べて遅れを取っているとも指摘しています。

image: Bloomberg

【5】グーグル、AI搭載の新衛星でメタン漏洩地図を作成へ [2/21 MIT テクノロジー・レビュー]

  • メタンは自分自身まだまだ馴染みはないのですが、「温暖化の約3分の1はメタンが原因」とのこと、もっと注意して理解を深めたいテーマと感じます。「衛星画像データで可視化」という取り組みも最近よく目にするようになっていますね。

"温室効果ガスによる温暖化の約3分の1はメタンが原因となっており、米国などの規制当局は、石油・ガス工場からの漏洩を抑制するための規制強化を推進している。この衛星「メタンSAT(MethaneSAT)」は、世界中の石油・ガス事業から目に見えない形で噴出している「メタン・プルーム」を測定する。そして、グーグルと非営利団体「環境防衛基金(EDF)」は研究者、規制当局、一般の人々が使用できるようにメタンの漏洩をマッピングする。"

【6】原発再稼働賛成50% 反対35%を上回る 朝日世論調査 [2/19 朝日新聞]

image:朝日新聞

"男女別に賛否をみると、男性は「賛成」が64%と多数。女性は「反対」が42%で「賛成」の36%より多かった。年代別では、「賛成」は、18~29歳で73%と最も高く、年代が上がるほど割合が低くなった。「反対」は、70歳以上で最も高い50%で、年代が下がるにつれ、割合が低くなった。"

  • 東日本大震災以降、昨年2月の調査で始めて賛成と反対が逆転、今回は反対と回答した人が42%から35%へと大きく減少している点に注目です。

【7】全国で12基の原発が再稼働 脱炭素で原発活用に舵を切る政府 再稼働が加速 [2/20 福島テレビ]

"<全国の原発の稼働状況>資源エネルギー庁によると、現在再稼働している原子力発電所は12基。(10基運転中、2基停止中。2024年1月24日時点)全て西日本で、女川原発が再稼働すれば、原発事故以降、東北そして東日本大震災の被災地では初めてとなる。政府は脱炭素社会を目指して、2030年までに原子力の割合を現在の5%程度から20~22%に拡大させる方針を示していて、東京電力が管理する柏崎刈羽原発含めた5基が再稼働を目指している。"

【8】気候変動「脅威」ロシア上回る 日本以外の世論に変化 [2/19 日本経済新聞]

image: 日本経済新聞

"この1年で国際世論が大きく変わり、ロシアの安全保障上の脅威より、気候変動やそれに伴う移民の大量流入などを深刻なリスクととらえる人が増えたことがミュンヘン安全保障会議の最新調査で明らかになった。"

  • 日本国内では「ロシア」を最大の脅威、2位は「中国」、3位に「サイバー攻撃」、5位「北朝鮮」とあり、気候変動は4位にランクされています。

【9】脱炭素を阻む思い込み - Financial Times ビジネス・コラムニスト ピリタ・クラーク氏 [2/21 日本経済新聞 /Financial Times(原文)]

125か国、13万人を対象とした研究によると、全世界69%の人が気候変動に対して毎月収入の1%を寄付する意思があるとのこと。実は気候変動を気にかけている人は少数派なのではないかとの「思い込み」こそが政治的バックラッシュの厳しい背景の中での集団行動を妨げているのでは、と問いを投げかけています。日本では「どのくらいの人が1%を地球温暖化のために寄付をするか」の予測値の平均は24%と低い一方で、実際に1%寄付をすると答えた人の割合は48.8% となっています。[https://gccs.iza.org/maps]

【10】「脱炭素経営 EXPO / GX経営WEEK / サーキュラー・エコノミー EXPO / SMART ENERGY WEEK(スマートエネルギーWeek)」開催 [2/28-3/1 @東京ビッグサイト]

昨年3月に開催された「脱炭素経営 EXPO他」には世界31カ国から1,200社の出展、同時開催展を含め6万5000人以上が来場し、とにかくその規模の大きさに圧倒されたことを覚えています。

*今年も28日と29日は参加予定です。会場にいらっしゃる方いらしたらぜひお気軽にご連絡ください。

昨年のニュースレター(2023年3月18日配信号)に当時感じたことをまとめたので今回改めて共有させてください。

"「脱炭素経営 EXPO他」に参加して印象的だった5つの点

  • 水素、太陽光、風力、電池等、大企業からスタートアップまでとにかく圧倒されるほど規模が大きかった点。主にスーツを着た大企業の方が多い印象。

  • 太陽光発電の展示会場はスペースが最も大きく、中国企業の展示が大部分を占めていた点。来年度の展示ブースの販売も会場内で同時に行われ、販売状況が張り出されているのですが、太陽光発電エリアに関しては既に9割以上が成約済になっているほど、盛況ぶりが感じられました。

  • 風力発電の展示会場では日本の企業の出典もあるものの、欧州の政府、企業の存在感が目立っていた点。

  • ゼロエミッション火力発電のエリアでは水素・アンモニア等、日本政府がGX法案で推進している技術、ソルーションについて、デモ展示があり、理解を深めることができました。時に海外メディアや環境NGO等から「延命策」と批判されることがあるものの、「エネルギーの安定供給」の実現のために現場で真摯に取り組む方の声を聞ける機会はとても貴重と感じられた点。

  • 脱炭素経営EXPOのエリアでは、炭素排出量可視化ツールを提供するスタートアップが大きな展示スペースで注目を集めている一方、大手商社、IT企業等も参入し、競争が激化している点。

  • 注目を集めている脱炭素、エネルギーに関するこれだけ大規模なイベントにも関わらず、BtoB対象だからか、一部業界紙を除きほとんどメディアで紹介されることもなく、SNS上でもあまり話題になってない点。

個人的には脱炭素・気候変動対策、気候テック(Climate Tech)の動向を知ることができ、各企業の担当者や専門家から直接お話が伺える機会として本当に学びの多い3日間でした。様々なテーマに関するセミナーも開催されていて、今回は「気候テック」に関するものに参加したのですが、沢山の気づきを得ることができました。ぜひ来年以降も継続して参加してみたいと思います。"


ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。

🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数109]

🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312

*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。▶お仕事お問合せフォーム

では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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日経COMEMO/noteでの過去掲載記事

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