[Climate Curation #93]ダボス会議開催 / YouTubeで気候変動の「新否定論」が急増
以下の内容は2024年1月13日に配信したニュースレター「Climate Curation #93」と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はLinkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。
こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて540名を超える方に購読頂いてます。先日新しくスタートしたLinkedinのニュースレターでは既に930名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。*日本関連の英語記事をキュレーションしている英語版のJapan Climate Curation [購読者数約2,200人]もよろしければぜひ覗いてみてください。
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】ダボス会議開催、AI、地政学&トランプ再選のリスク等が話題、気候変動は後回しに
毎年1月にスイスのダボスで行われる世界経済フォーラム(WEF)主催による「ダボス会議」が1月15日から19日の日程で開催されました。120の国と地域から合わせて2,800人余りの政財界のリーダーたちが参加し、今年は「信頼の再構築」という全体テーマが掲げられていました。全てのセッションは公式ページや公式Youtubeチャンネルから視聴が可能です。
▶World Economic Forum公式YouTube チャンネルによる4分20秒の要約ビデオ
今年の注目テーマとしてはAIがあらゆる場面で話題となり、ウクライナやガザの紛争等の地政学リスク、そして今年の11月に予定されている米大統領選におけるトランプ再選した場合の懸念等が話題になっていたようです。ニューヨーク・タイムズの記事では全体的に気候変動は後回しになっていたとも指摘されています。
*ダボス会議、気候変動は後回しに [1/18 New York Times]
昨年に続きテレビ東京がYouTubeとテレ東BIZでライブ配信を行っていて、現地の様子を詳しく伺うことができます。一方でX(Twitter)で「ダボス会議」のようなキーワードで検索すると、ほとんどが批判的なコメントで埋め尽くされている点も気になるところです。また Linkedinで「davos」 「wef」のようなキーワードで検索してみると違った風景が見えてくるので見比べてみても面白いかもしれません。残念ながら昨年に続き、現地において日本について触れられる機会、そして日本人参加者の存在感も低い、ということも現地のレポートで指摘されています。
【2】YouTubeで気候変動の「新否定論」が急増 監視団体が警鐘 [1/19 CNN]
SNS上のヘイトスピーチ(憎悪表現)を監視する英NGO「デジタルヘイト対策センター」(CCDH)が、近年のYouTube動画を分析した新しい研究によると、新しいタイプの気候誤報が増加しているとのことです。「気候変動はうそだ」「人間の活動が原因ではない」など、問題を直接否定する従来の説に代わり、「新しい否定論」は気候科学や対策に疑いを投げ掛けたり、温暖化は無害でむしろ好都合だと主張したり、風力や太陽エネルギーは機能しないというような言説が過去5年間で急増したと報じています。CNN、Reuter、 Blloomberg、Financial Times等では大きく報じられているものの、国内ではほとんど話題になってない点も気になります。
【3】気候変動の災害損失、日本企業は海外の3倍予測 米機関 [1/18 日本経済新聞]
ESG(環境・社会・企業統治)評価大手のMSCIが日本株指数と先進国株(日本除く)指数の構成銘柄それぞれ約1,100社と約4,600社を分析しまとめられています。気候変動に伴う台風や沿岸地域の洪水、猛暑などによるコストを21世紀末まで推計し、現在価値に引き直して企業価値への影響を算定した結果を見ると、日本企業の災害損失リスクが高いことが伺えます。
1/16には「東証、25年に英文開示義務化 プライム1600社対象」とも報じられていましたが、こうした日本国内の気候変動リスクへの脆弱性の状況を見るにつけ、海外の年金ファンド等に対するアピールとしても、日本の企業の気候変動対策、開示がますます重要になってくるのでは、と感じます。
【4】「排出量取引」市場 参加企業が設定の削減目標を公表 経産省 [1/17 NHK]
GXリーグ参画企業の排出削減目標やサプライチェーンでの排出削減の取組等に係る情報開示基盤として、「GXダッシュボード」をGXリーグ公式Webサイト内に開設したことが報じられています。ダッシュボードでは、参画企業の排出削減目標や各社のサプライチェーン上での削減取組が公表されていて、来年度以降は、各社の排出量の実績等も公表される予定とのことです。現在データ未提出企業分に関するダッシュボード追加掲載等の更新も、1か月ごとに実施予定とのことです。
【5】GX人材の要件にTCFDやSBT GXリーグが2月に骨子案 [12/13 日経GX]
「GX(グリーントランスフォーメーション)人材」に関して、その定義を決める動きが民間主導で進んでいて、人材育成や登用に必要なスキルの可視化やジョブの類型化を進む中、GX人材の定義を24年2月にもとりまとめて骨子案を発表するとのことです。
【6】ファミリーマート スプーンなど有料化へ プラスチック削減 [1/19 NHK]
ファミリーマートはプラスチックごみの削減を目的として、スプーン、ストロー等の有料化を29日から開始し、価格は4円から6円とのことです。初期段階では約100の直営店で実施され、その後全国約1万6000店に拡大される予定とのことです。
【7】State of Climate Tech 2023 - Net Zero Insights’ yearly analysis on global funding and deal activity in the private market venture space. [1/17 Net Zero Insight]
年のはじめには数多くのレポートが公開されますが、こちらも気候テック業界のトレンドをまとめた全197ページにも渡る詳細なレポートとなっています。VC投資は減少傾向にあるものの、楽観論もある、と指摘しています。注目のセクター、地域、企業等がグラフも交えて詳しくまとめられています。
【8】企業が知っておきたい「気候変動に関する国連会議COP28」報告 ~2024年に向けて役立つCOP28からの示唆~ [1/16 WWFジャパン]
昨年12月に開催されたCOP28に参加し、SNS等を通じて現地の様子も詳しくレポートされていたWWFジャパンのスタッフの皆様による参加報告ウェビナーが1月16日に開催され、動画アーカイブが早速公開されています。長年COPに参加している専門家の視点から、「企業が知っておきたい」COP28のポイントがまとめられています。 上記URLからプレゼンテーション資料も閲覧可能です。
【9】近く開催される関連イベントのご案内 *以下1~5は私が参加予定のイベントです。もし参加される方がいたらお気軽にお声がけください🙂
1/25 (日本時間1/26 1:00 AM): Sightline Climate: Investment Trends 2023 [Sightline Climate (CTVC)]
1/31 気候変動解決に求められる報道の在り方を議論するため 「気候変動メディアシンポジウム」を開催 [Media is Hope]
2/6 ESG TECH TALK #2 - 多様性の力:スタートアップが拓く持続可能な未来 [CIC Tokyo /環境&エネルギー・イノベーション・コミュニティ]
2/8 モラル・マネー・サミット・ジャパン [Financial Times]
2/28&29~3/1: GX経営WEEK -Green Transformation Week-@東京ビッグサイト [RX Japan] 同時開催展として、脱炭素経営Expo / サーキュラーエコノミーExpo / SMART ENERGY WEEK等、見きれない程のたくさんのブース出展やセミナーが開催されるイベントです。
5/15-16: Sushi Tech Tokyo / Global Startup Program [東京都主催] ~ 昨年2月末に開催された「City.Tech-Tokyo」に該当するイベントが今年は5月に開催。早割チケットは1月末までとのことです。
Complete list of Q1 2024 climate tech conferences [Startup Basecamp] その他海外で開催されている気候テック・エネルギー関連のカンファレンスのリストです。
【10】「FRaU SDGs MOOK 防災 まいにちの、防災手帖。」各電子書店にて3か月間限定で無料配信 [1/17 講談社 PRTimes]
能登半島地震の被災地の状況は依然厳しくも、寄付や支援の輪も広がっていると感じます。こうしたタイミングで、講談社で昨年8月に刊行された「FRaU SDGs MOOK」の防災特集号が無料で配信されています。もしもの時に備えるための防災グッズや心構え等、一冊まるごと掲載されています。家族や友人、大切な人を守るためにも、手にとってみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数109]
🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。お仕事お問合せフォーム
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
Twitter: @SocialCompany
📬気候変動・脱炭素・Climate Techをテーマにした記事をキュレーションするニュースレターを日本語と英語で配信しています。よろしければご登録ください🌏🙂
・Climate Curation(日本語): Substack / Linkedin newsletter
・Japan Climate Curation(英語):Substack / Linkedin newsletter
▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリスト
お読みくださってありがとうございます!国内外の気候変動、クライメートテック関連の情報をメディア目線で切り取って発信を試みてます。スキをクリックしてくださったり、シェア・コメントなどいただけたらとても嬉しいです