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[Climate Curation #127]気候変動報道座談会 / 再エネの可能性と課題 /気候テック分野の「すごいベンチャー2024」

以下の内容は2024年9月14日に配信したニュースレターClimate Curation #127と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はtheLetter 、或いは Linkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。

こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在theLetterにおいて710名を超える方に購読頂いてます。2023年秋にスタートしたLinkedinのニュースレターでは1,040名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。*日本関連の英語記事をキュレーションしている英語版のJapan Climate Curation [購読者数約2,800人]もよろしければぜひ覗いてみてください。


【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】暑すぎて運動できない、格差が広がる…気候変動を伝える新聞記者たちが語る「覚悟」 Media is Hope座談会2024 #4 [9/11 講談社FRaU]

【🙋】昨年に続き今年も公開された 気候変動関連報道に関する『新聞五社座談会』。猛暑・台風の夏を振り返りながらそれぞれの記者・編集者の方々の思いやこだわり、工夫や手応えを伺うことができてとても理解が深まりました。印象に残っている記事についての言及も沢山ありました。多くの方の目に触れますように。

【2 】エネルギー基本計画は「再エネ第一」に組み替えを - 蓄電池と国産水素で、変動性再エネの弱点克服 [9/9 東洋経済オンライン]

【🙋】エネルギー基本計画の審議が進んでいる中、再生可能エネルギー導入を最優先にしつつ変動性という弱点を克服するために、蓄電池と水素を活用することが安定供給と脱炭素化の両立にとって理にかなっている、という考察。一読しただけではなかなかすぐに理解が追いつかず、エネルギーのことをもっと勉強しなければ、と考えさせられた一本でした。

【🙋】テイラー・スウィフトさんが先日の米大統領選討論会の直後に『ハリス氏を支持』というニュースが駆け巡りました。その際気になったのは彼女のinstagram投稿の最初の1文です。文章の最後に「ハリス氏支持」が書かれてますが、個人的にはこの「あなたにとって最も重要なトピックに関する候補者のスタンスについて調べる(リサーチする)絶好の機会」という箇所が印象に残りました。日本の与野党代表選挙が行われている今、改めて大事なテーマについて調べる機会にしてみてはいかがでしょうか?

"皆さんの多くと同じように、私も今夜の討論会を見ました。まだご覧になっていない方は、今こそ、目の前の問題や、あなたにとって最も重要なトピックに関するこれらの候補者の立場について調べるのに絶好の機会です。有権者として私は、彼らが提案する政策や、この国に対する計画について、できる限りすべてを見聞きするようにしています。"

【3】バルコニーに簡単取り付け DIY太陽光パネルがドイツで人気の背景 [9/10 朝日新聞 | NYTから読み解く世界 🔏]

【🙋】こちらは8月上旬に本ニュースレターでもご紹介したニュークタイムズの記事。翻訳記事が掲載されています。

"ベランダに吊り下げるだけの簡単DIYプラグアンドプレイ式太陽光パネルがドイツで流行っているそうです(200 €/$217/3.2万円)。既にドイツ全土で50万台以上の太陽光発電システムが設置され、今年最初の6ヵ月の間でドイツでは太陽光発電容量が9ギガワット増加したとのことです。"

追加取材として以下のコメントが添えられています。国内でもこうした商品が広がることを期待です:)

『太陽光発電協会の増川武昭事務局長は「春先にドイツの業界団体と意見交換し、広げたいと考えていたところです」。製品の認定や安全性に関する基準づくりを進めているという。』

【4】中国勢、太陽光・風力で世界シェア上位を独占 - 世界シェア調査 [9/10 日本経済新聞🔏]

【🙋】中国企業が再生可能エネルギー市場、特に太陽光パネルと風力タービンで支配力を拡大している様子が紹介されています。テレビ東京の解説ではIEAによる2030年の予測にも言及があり、再エネ・EVなどの貿易・サプライチェーンの経済安全保障なども含め、心配です。

*中国勢 再エネ供給網を支配 脱炭素で広がる主導権争い [9/10 テレビ東京]

image credit: テレ東BIZ

*気候法により米国の太陽光パネル製造能力が4倍に - インフレ削減法により、米国内の太陽光パネル製造が急成長しています。ただし、サプライチェーンの一部の工程では、米国は依然として中国に依存しています [9/9 Canary Media]

中国のモジュール生産能力は、2023年末には1テラワットを超え、アメリカの現在の総生産量の25倍超の底知れぬ規模とのこと

*南オーストラリア州、2027年までに再生可能エネルギー100%を目指す - すでに世界から注目を集める「驚くべき」取り組み [9/8 ガーディアン]

【5】グリーン移行による世界の雇用市場の激震 - 再生可能エネルギーへのシフトが、必要なスキル、給与、労働組合化に劇的な影響を与える見込み [9/12 Financial Times]

グリーンエネルギーへの世界的な移行が雇用市場を再形成していると指摘する記事。再生可能エネルギー関連の雇用が増加する一方で、化石燃料関連の雇用は減少することが予測されています。この変化は課題と機会をもたらし、再訓練プログラムや政府の奨励策が労働者の適応を支援する重要な役割を果たしています。

「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2022年の世界における再生可能エネルギーの直接・間接雇用を1,370万件としている。 IRENAによれば、グリーン雇用の約41%は中国にある。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までに世界全体で800万人のクリーンエネルギー関連の雇用が増加すると予測している。 一方、化石燃料分野の雇用は同期間に250万人減少すると予測されている。」

image credit: Financial Times

【6】電気を貯める [ 9/9-13 朝日新聞 GLOBE + ]

再生可能エネルギーの可能性や課題、海外事例含め、8本の特集記事が掲載されています。

  1. 再エネ100%を目指すオーストラリアの先進地 「切り札」はテスラのメガバッテリー

  2. CO₂出さない「グリーン」な水素や鉄鉱石、アンモニア、豪州で増産へ 輸出戦略も

  3. EVでテスラと覇権を争う中国メーカーのBYD、躍進の秘密は刀の形をしたバッテリー

  4. 車業界で広がる中国の脅威、日本を抜いて輸出台数が世界首位 背景にEVの低価格攻勢

  5. 高い所からブロック落下させて発電?環境に優しい重力蓄電施設、中国で本格稼働へ

  6. 再生可能エネルギー由来の電力が余ったら?仮想通貨のマイニングという画期的な活用法

  7. 家庭で使えるポータブル蓄電池が急速に普及 背景に災害への備えと低価格化

  8. 再生可能エネルギーの導入、なぜ日本は遅れている?専門家「技術やコストでなく…」

【7】スポーツがより過酷に、より危険になっている 選手たちが嘔吐し、灼熱の中で戦う中、ジョン・マッケンローですら「非人道的だ」と指摘

【🙋】気候変動はスポーツを変容させ、イベントをより暑く、リスクの高いものにしている現状のレポート。主催者は技術や方針の変更で適応を図っているものの、商業的利益と衝突することがあるそうです。気温上昇に伴い、大規模な国際スポーツイベントの持続可能性が問われています。

【8】「すごいベンチャー100」2024年最新版・全リスト - 環境が激変する中で伸びる未来のユニコーンはここだ [9/13 東洋経済オンライン]

【🙋】今年で9回目を迎える東洋経済さんの企画、「すごいベンチャー100」が発表されました。「気候テック」というカテゴリーはないものの、気候変動対策に関係ありそうなスタートアップを数えてみたところ、14社見つけることができました。おめでとうございます!🚀🎉 今後のご活躍を期待しています🤞

  • EVモーターズ・ジャパン 商用EVに特化し開発・販売 [モビリティ]

  • プラゴ EV充電のプラットフォーム[モビリティ]

  • Archeda 衛星から自然環境をデータ化[航空・宇宙]

  • Oishii Farm 米国で次世代イチゴ工場を展開[フード・農業]

  • AlgaleX 沖縄拠点に「食用藻」を独自開発[フード・農業]

  • さかなドリーム 養殖魚の品種改良に挑戦[フード・農業]

  • ベンナーズ 未利用魚活用のサブスク通販「フィシュル」[フード・農業]

  • Floatmeal 次世代植物性タンパク源を生産・加工[フード・農業]

  • トクイテン ロボットによる有機農業の自動化[フード・農業]

  • パワーエックス 蓄電池やエネルギービジネス、電気運搬船など展開 [ESG・インパクト]

  • SPACECOOL ゼロエネルギーで素材を冷却する新素材を開発 [ESG・インパクト]

  • amu 廃漁具再生ナイロン素材ブランド「amuca」 [ESG・インパクト]

  • LEBO ROBOTICS 風車の補修ロボットを開発 [ESG・インパクト]

  • komham 微生物で生ゴミ処理する「スマートコンポスト」 [ESG・インパクト]

【9】環境偽装に立ち向かう気候テックスタートアップ - Isometric社、スキャンダル続きの炭素市場で最も信頼される企業を目指す [9/13 Heatmap News🔏]

Isometricは2022年に設立された炭素クレジット認証プラットフォームで、ボランタリーカーボンマーケットの信頼性問題に取り組んでいる会社。潜在的な規制に先立ち、科学的厳密さ、炭素除去の永続性、調整されたインセンティブを強調し、クレジット品質の高い基準を設定しているとして紹介されています。「すごいベンチャー」にはまだCDR/DACなどの炭素除去、カーボンクレジット関連の企業はランクインしていませんが、欧米での盛り上がりを考えると来年以降国内でもこうした分野のスタートアップが数多く登場するのでは、と期待しています。アイソメトリック社はPuro.earth、Verra、Gold Standardといった既存の認証機関と比べ、科学者を数多く擁している点などで信頼構築を目指しているとのことです。

【10】忍び寄る“気候変動関連死” 私たちの命のリスクは? - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス [9/11 NHK クローズアップ現代]

"WHOは2030年には地球温暖化による気候変動が原因で命を落とす『気候変動関連死』が年間約25万人に達すると推計。国内では、熱中症の約7倍の人が暑熱の影響で亡くなっている可能性も見えてきた。アメリカの研究では、暑さが原因でメンタルヘルスが悪化し自殺につながるとも指摘される。「CHO=最高熱波責任者」という行政担当官を設置する世界の対応策などとともに、知られざるリスクを伝える。"

先日放映された番組の見逃し配信は9/17(火) 午後7:57 までNHKプラスで視聴可能


【イベント・番組予告】

【🙋】以下の番組のパブリックビューイングも行われます🎉 私も参加予定です🙂🎟️

■緊急報告! 再エネ革命 風車が導く奇跡の物語 9月22日(日)午後1時55分 (一部地域を除く) [テレビ朝日]


ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたらSNSなどで「いいね」や「シェア」をお願いします 🙇‍♂️🙂[ハッシュタグ: #ClimateCuration ]。みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです🙂。


*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、よい連休をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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