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[Climate Curation #94]国内外気候テックトレンド/「必須教養」としてのカーボンクレジット・CDR

以下の内容は2024年1月13日に配信したニュースレターClimate Curation #93と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はLinkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。

こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて550名を超える方に購読頂いてます。2023年秋にスタートしたLinkedinのニュースレターでは940名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。*日本関連の英語記事をキュレーションしている英語版のJapan Climate Curation [購読者数約2,300人]もよろしければぜひ覗いてみてください。


【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】🌎 2023年、国内調達額は984億円 #60 [1/22 Climate Tech Japan]

毎週日本国内の気候テック・スタートアップに関しての資金調達やイベント等を丁寧に紹介されている Climate Tech Japan さんが日本の気候テックスタートアップの資金調達の動向、100社以上のデータベース等をまとめたDeal Tracker を公開されました。国内のエコシステムを知る上でとても貴重な資料ですね🙏👏。

Climate Tech Japan

【2】気候テックのVCに資金流入 脱炭素へ技術革新期待 [1/24 日本経済新聞]

国内大手メディアではなかなか取り上げられることのない「気候テック」について、今回は用語解説付きで紹介されています。

『気候テック(Climate Tech):気候変動や温暖化ガスの排出の対策となる技術の総称。産業領域はエネルギーやモビリティー、農林水産など幅広い。空気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する技術や環境負荷が低い建築資材開発などがある。』

引用されている数値はデータ出典元により微妙に異なるものの、全体的なトレンドとしては「目先投資額は減少しているものの、新規のファンドを組成する動き等もあり依然将来性がある」ことが報じられてます。気候テックの米スタートアップ投資は23年に前年比で2割減の140億ドル(約2兆円)だったとのことです。23年の国内投資額984億円(Climate Tech Japan調べ)は米国での投資額の約5%弱になります。大きな伸びしろがありそうですね🤞💪。

日本経済新聞

【3】Climate investors are already bracing for Trump [1/25 Semafor Net Zero]

秋のアメリカ大統領選挙に向けた野党 共和党の候補者選びの第2戦、東部ニューハンプシャー州の予備選挙でトランプ前大統領が勝利したことを受け、2度目のトランプ大統領就任に備えるような動き、報道を目にするようになってきました。再びトランプ大統領が誕生した場合に備え、「プロジェクト2025」と呼ばれる政策プランが既に公開されていて、どのようにクリーンエネルギーへの資金提供を逆転させ、石油・ガス生産を増加させるかの概要が詳しく記されています。

*A Republican 2024 Climate Strategy: More Drilling, Less Clean Energy [2023/8/4 New York Times]

【4】日本で本格始動、カーボン・クレジット市場の未来 [1/25 日本経済新聞]

カーボン・クレジット市場に関し、経済産業省、東京証券取引所、ボストン・コンサルティング・グループの担当責任者が登壇されているセッションです。まだ国内において馴染みのないカーボン・クレジットについて概要を知ることができ、とても有益な内容でした。

経済番組 グリーンビジネスでもおなじみのNewsPicks岡ゆずは記者による『2020年代の必須教養「CO2の除去=CDR」とは?』[1/21 東京ビジネスハブ]も併せて聴くと理解が深まると思われます:)

【5】炭素クレジット「除去系にシフト」 BCGレッサー会長 [2023/5/26 日経GX]

昨年春の記事ですが、「温暖化ガスの排出削減に由来する「回避系」のクレジットから、空気中の二酸化炭素(CO2)などを吸収する「除去系」のクレジットに需要がシフトするとの見通し」について、ボストン・コンサルティング・グループの会長が語っています。

【6】 脱炭素とアンモニア発電(上)(下)[12/14 &22 日経クロステック]

こちらも馴染みがなく、なかなか話題になることがないテーマかもしれませんが、日本のGX政策の大きな柱になっている取り組みについて、上下2本の長尺記事で詳しく掘り下げられています。「知っておきたい情報」として共有させていただきます。

「化石賞」日本が推すアンモニア発電は愚策か、希望か(上)

水素かアンモニアか 分かれる三菱重工・IHI・川崎重工(下)

日経クロステック

【7】JERA、アンモニア発電の意義発信 自社媒体で掘り下げ [1/22 日本経済新聞]

アンモニア発電に関しては特に海外や国際NGOから強く批判される背景がある中、こうした技術を使わざるを得ない背景、技術的な優位性があるのか、デメリットはあるのか等、透明度高く、かつ英語でも発信していく必要が今後ますます高まっていくことと思われます。脱炭素分野の情報発信、コミュニケーションについて考えさせられる記事でした。

【8】「若者に頑張れっていうけど、頑張ってほしいのは政治家のほう」日本版気候若者会議が環境副大臣へ政策提言〜気候変動対策について、「電力」「産業」「生物多様性」「国民との対話」のテーマで議論。全国の約100名の若者が求めたこととは。[1/25 ハフポスト]

気候変動の影響を受ける可能性が高い若い世代が抱く危機感を意識する必要がある、と考えさせられる記事でした。提出された「日本版気候若者会議」による政策提言 は全45ページ、なるほど、と感じる視点が数多く記載されています。

【9】「世界の終わりではない」気鋭のデータ科学者は地球の未来を楽観する[1/25 毎日新聞]

今月出版されたばかりの注目の書籍「Not the End of the World(世界の終わりではない)」の著者で Our World in Data の副編集長・データサイエンティストののHannah Ritchieさんへのインタビュー記事。

「気候変動の報道はネガティブな見出しになりがちですが、解決策やポジティブな方向に進展しているという事実にも焦点を当てるべき」という指摘は改めて大切にしなければ、と感じる視点でした。考えさせられる視点も沢山あり、読み応えのある記事です。 一方で、Ritchie氏がゲストとして参加したポッドキャストを先日聴く機会があり、化石燃料を使い続ける現在の資本主義のあり方を彼女が黙認しているのでは、と指摘されていたことが印象的でした。「脱成長」を志向する考え方と、技術とイノベーションで解決できると信じる「テクノユートピア」的な考え方との対立のようにも感じられます。相手の気持に寄り添いながらバランスを持って議論することの大切さも感じるきっかけとなりました。

【10】イベント 先日お伝えしたものですが1.-3は私も現地に参加する予定です。参加される方がいらしたら会場でお目にかかれることを楽しみにしています:)

  1. 1/31 気候変動解決に求められる報道の在り方を議論するため 「気候変動メディアシンポジウム」を開催 [Media is Hope]

  2. 2/6 ESG TECH TALK #2 - 多様性の力:スタートアップが拓く持続可能な未来 [CIC Tokyo /環境&エネルギー・イノベーション・コミュニティ]

  3. 2/8 モラル・マネー・サミット・ジャパン [Financial Times]

  4. 1/30 2024年のグローバルヘルスを考える。気候変動と人間の健康のいま [WithPlanet 朝日新聞]

  5. 1/31 【カーボンニュートラルやESGの最新トレンド!COP28報告とこれからの潮流】[アドライト]


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🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数109]

🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312

*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。お仕事お問合せフォーム


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市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリスト


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