ファーストラブ〜初恋〜余韻の深さが半端じゃないす。

 今日一日は、全く仕事が手につかなかった。先週末に、ネットフリックスの「ファーストラブ〜初恋〜」を一息に全九話見てしまったためだ。休みが明けた今日も、仕事を目の前に置きながら意識は未だドラマの中を旅していた。
 このドラマは、宇多田ヒカルの楽曲「ファーストラブ」「初恋」にインスパイアされて製作された、ネットフリックス限定のオリジナルドラマだ。配信直後からSNSを中心に、一気に話題となった。「体中の水分目から出た」「三周目だけどまだ泣ける」というように、多くの視聴者から感動の声が上がっている。また、反響の中で多く聞かれるのが、「終わった後の喪失感半端ない」「ドラマから抜け出せなくて困る」というような、いわゆる「ファーストラブ・ロス」である。この文章の冒頭を見ればわかるように、私もその病を患ってしまった。素晴らしい作品が終わってしまったときに、ある種の喪失感に襲われるのは皆様も経験がお有りだろうが、この作品を見終わった後の喪失感の深さは、いささか異常だった。その理由と共に、物語の魅力について少し触れたい。
 舞台は北海道。主人公也英(やえ)と晴道(はるみち)の恋の物語である。この物語の最大の特徴は、二人が高校生時代から大人になるまでの二十年間を描いているところにある。それも、ふとしたときの想い出話のような描写ではなく、それぞれの時代をくっきりと描く。時代ごとの時間の配分もほとんど均等で、目まぐるしく過去と現在のシーンが入れ替わっていく。「佐藤健さんとは、実はそんなに多くの時間撮影をご一緒していない」と主演の満島ひかりさんが仰っていたように、とても濃密なラブストーリーではあるが、高校時代の二人は違う俳優さんが演じているため、そのようなことが起きている。北海道の静謐な雰囲気をバックに、テンポ良く移り変わるシーンがどこを取っても心に響く。どんどんと惹き込まれていき、全九話が終わる頃には、まるで二十年間の壮大な恋の物語を味わったような気持ちになる。そのため感情の入り方も尋常ではなく、二人の未来の幸せを強く願うと同時に、何よりそれを見届けたくなってしまう。そのため、多くの人がファーストラブというドラマに、ドラマ終了後も意識を閉じ込められてしまうのだ。

 あの人が幸せでいることが、自分の一番の幸せ。心からそんな風に想える人が、皆様の近くにはいるだろうか?このドラマは、そんな二人の運命を描いた、究極の愛の物語。仕事が今お忙しい方は、息抜きで見ると後悔するかもしれない。

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