昧爽〜夕焼けと、夜明けに〜
夏、歩いて旅をした。
フランス・ピレネー山脈を超え、スペインの最西端を目指した。
果てしなく続くかのようなその道の上で、
小さな出会いと、大きな別れを繰り返し、
言葉にならないほどの美しい景色を眺めては、
足を止め、息を漏らした。
向き合い続けた自分の心は、時に歓びに満ち、時に哀しみに包まれた。
「”旅すること”は、”生きること”に似ている。」
そんな言葉をいつか、耳にした。
全長900kmの旅を終えた時、
その言葉の意味が、ほんの少しだけ、分かる気がした。
・・・
一歩一歩、歩み続け、終着点に達した時、夕陽が沈んだ。
広く静かな大西洋を、真っ赤に染めたあの夕陽は、
この命が尽きるまで、僕の心をやさしく、
あたたかく、照らし続けるだろう。
・・・
昧爽どき、夜があけた。
また、あたらしい一日がはじまる。
また、あたらしい人生がはじまる。
2018年9月22日 三浦宗一郎
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