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ペペが“ピーター”だったら……

文=田島 大

 改めて思う。お金は厄介だと。もし、ニコラ・ペペがアカデミー出身で“ニコラス・ピーター”みたいな名前なら、何も文句はない。あの切れ味鋭いドリブルと、可能性を感じさせる左足のキックは、「アカデミーの最高傑作」と自慢できただろう。自前選手じゃなくても、せめて得意先のフランスから安く仕入れた若手ならば、手放しで喜んでいたはずだ。

 だが彼は生え抜きでも安価な才能でもない。クラブ記録の7200万ポンド(約101億円)でやってきた助っ人なのだ。狂気じみた今の移籍市場において、値段が大して意味を持たないのは分かっているし、昨シーズンの欧州5大リーグで5番目のゴール関与数(22ゴール11アシスト)を記録した選手だから、もしかすると適正価格なのかもしれない。だが、アーセナルは何年も前から彼に目をつけていた。1年、いや、半年でも早く獲得に踏み切っていれば半額以下で買えたはず。だからケチがついてしまったのだ。どうせ7200万ポンドも支払うのならクリスタル・パレスのウィルフレッド・ザハが欲しかった……。

この記事は、11月15日発売の雑誌『SOCCER KING』12月号から抜粋したものです。このほかにも「異変だらけの序盤戦、36のなぜ?」と題し、各国の序盤戦で生まれた疑問に迫っています。

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