11-12 チェルシーvsアーセナル
DAZNのRe-Liveで放送していた11-12シーズンのビッグロンドンダービー,チェルシーvsアーセナルを観ました.個人的にはヨーロッパサッカーは小学生だった09-10シーズンごろから見始めたと記憶しているので非常に懐かしいです.あの頃は,セスクやナスリを中心としたヤングチームでプレミアの脳筋チームを相手に華麗にパス回しをする様子に魅了されてアーセナルの試合を観るようになりました.
懐かしいとはいえ,この試合のことは全く覚えてなかったので,新鮮な気持ちで観ることができました.
さて,チェルシーのスタメンは以下の通り.
ゴールキーパーは不動のチェフ.将来アーセナルに移籍します.(サブのルイスも将来アーセナルに移籍します)
ディフェンスラインは右からボシングワ,イヴァノビッチ,ジョンテリー,アシュリーコール.ボシングワは懐かしいですね.このころはイヴァノビッチがCBをしていたんでしたっけ.そしてキャシュリーコールはご存知元アーセナル.
中盤はミケルをアンカーに便利屋ラミレスとランパードが位置します.
前線は右からスタリッジ,トーレス,マタ.出場停止のドログバに代わって,リバプールから強奪したトーレスが起用されていました.”ドログバに代わって”というか,ドログバの後釜となるべく獲得したはずだったんでしたけどね笑.スタリッジとマタは結局ハマらずに,前者はリバプールへ,後者はマンチェスターUへ移籍します.
監督はアンドレビラスボアス.ポルトで破壊的な結果を残して鳴り物入りでやってきた33歳の新進気鋭の監督です.前任のモウモウことモウリーニョと経歴が似ていることもあって,超絶期待されていました.
一方で,アーセナルのスタメンは次の通り.
GKはシュチェスニー.このころは圧倒的にネタ枠でしたが,ユベントスに移籍してから覚醒します.ちなみにユベントスに移籍するきっかけとなったのはチェフの移籍でした.
最終ラインは右からジュルー,メルテザッカー,コシエルニー,サントス.ジュルーはいかにもやらかしそうな顔をしていますし,よくやらかします.サントスはあんまり覚えてないです.
中盤はアルテタ,ソング,ラムジーの三枚.試合中はアルテタとソングの2ボランチでラムジーの10番というような並びになっていたと思います.
前線は右からウォルコット,ファンペルシー,ジェルビーニョ.今見てもジェルビーニョは生え際がよくわかりません.
シーズン開始前にセスクやナスリが移籍したことによってアーセナルはチーム改変の時期にありました.シーズン開始直後の第三節,マンチェスターUに2-8で粉砕されてしまい,チーム状態の悪さが露呈してしまいます.(ユナイテッドはこのシーズン,シティに1-6で敗れます笑)「パニックバイ」と呼ばれるテキトーな補強をしたのもこの時です.主な新加入選手はメルテザッカー,サントス,アルテタ,ジェルビーニョ,ジェンキンソン,パクチュヨンです.パクチュヨンの外し方は半端なかったですね.ちなみにこのシーズンの冬に宮市を獲得しますが,アーセナルは本当にアジア人に手を出すのは控えた方がいいです笑.
チームを率いるのはもちろん我らがヴェンゲル監督です.
このゲームで面白いのは2020年現在それぞれのチームを率いている監督が選手として在籍しているということです.具体的にはチェルシーのランパード,アーセナルのアルテタです.このようなことがあるので,長い間サッカーを見続ける面白みがありますね.また,アーセナルはパニックバイといわれたこの時の移籍市場でアルテタを獲得していたことが大当たりしています.
では,試合を観ていきましょう.
試合は序盤からチェルシーペース.アーセナルの両サイドバック裏をいとも簡単に攻略していきます.
まずは前半2分のこのシーン.最終ラインでフリーで前を向いたランパードからのパスで,左サイドのアシュリーコールが一発で裏を取ります.
続いて,前半4分のシーン.同じく最終ラインでフリーのテリーから同じくアシュリーコールで裏へ一発.早速やらかし顔のジュルーが2連続で完全に裏を取られてしまいます.
さらに前半5分のシーン.中盤でフリーのミケルから右サイドのスタリッジへ一発.
チェルシーは前半の数分だけでサイドバック裏を突いて決定機を3度も創出します.というか,よくアーセナルがこれで失点しなかったよなって感じです.トーレスやスタリッジが最後に精細を欠くというお決まりのお茶目な一面を見せたことも原因といえます.デブライネだったら完全にいかれてましたよ.まあ,後々チェルシーはデブライネを獲得しても使いこなせずにあっさり放出してしまうんですけども.
また,アーセナルの立ち上がりの守備は本当にひどかったですね.最前線から中盤のプレスは全くハマってません.はまってないというか,前線はプレスしてないですしね.だから最終ラインで面白いようにフリーを作られてました.今じゃ信じられませんね.そして裏抜けだけでなく,サイドチェンジも多用し,リズムをつかんでいきました.
前半14分あっさりゲームが動きます.最終ラインでまたしても全くプレスを受けないジョンテリーから右サイドのマタへロングボールが渡ります.
左利きのマタは一発で切り返してサントスを置き去りにしてクロス.
中央で待ち構えるランパードにドンピシャ.完全に設計された攻撃だったといえます.
そしてこのセレブレーション
.....................密やん
コロナ禍で絶賛活動自粛中の現在,こんなもんでも違和感を感じるようになっていしまいました.各国リーグに先立って無観客で再開されたブンデスリーガでのセレブレーションはこんな感じでしたからね.
完全にソーシャルディスタンスが守られてます笑.もはやフットボールをしている時点でこんなセレブレーションに何の意味があんねんって感じですが.ちなみに,”密”は流行語大賞になりますたぶん.
そういえば,ジョンテリーのロングボールからの決定機が何度かあったんですけど,そんなロングボール得意なイメージなかったので,少々以外でしたね.戦術において,ロングボールが苦手な人をわざとフリーにさせて他のマークをきつくするというものがありますが,ランパードも余裕でフリーにさせていたので,今回はそれじゃないと思います.
この後もやはりチェルシーペースで進んでいき,決定機も作りますが,先制したこともあってか,試合は落ち着いていき,アーセナルもボールを保持できるようになっていきます.
そして,36分アーセナルが追いつきます.サントスからのパスでラムジーが一瞬フリーで前を向きます.
そっから,ストン.
抜群のタイミングで放たれたパスからジョルジーニョが抜け出し,最後はファンペルシーが決めます.
ブロックを敷いた相手守備陣の中央を連携で突破した点や,中盤でタクトをふるっているのが20歳のラムジーである点で,アーセナルの魅力を語る上では十分なゴールであったといえます.
試合はその後,前半終了間際にコーナーキックからジョンテリーが地味なゴールを決めて,チェルシー2-1アーセナルで前半を折り返します.
後半開始早々,アーセナルが追いつきます.
中盤右で展開していたところから,ソングがボールを受けるとヒラリと身体を展開し,逆サイドのサントスにパスします.
ヒラッ
↑写真手前に写っている左サイドをフリーで駆け上がったサントスがパスを受けてそのままゴール!
ソングは中盤でディフェンシブな働きができるだけでなく,このような気の利いたパスもできるので,とてもいい選手でした.しかもチームのエースであったファンペルシーとの相性も非常によかったイメージがあります.ソングは後々バルセロナへ移籍してしまいますが,この時のことに関して,「出場機会は減るといわれたが,給与額を確認して迷うことはなかった」というような趣旨のコメントを最近しています.金銭面のことで移籍する選手が後を絶たないアーセナルはどんだけケチ臭い契約してんねんって感じです.
アーセナルはイケイケムードの中,55分にウォルコットが右サイドからドリブルを開始します.
!!!!
!!!!!!!!!!!
コケるというフェイントを見せたウォルコットが,ブルーの選手を5,6人置き去りにして,ゴールにぶち込みます.最初は何が起きたのかよくわかりませんでした.
ウォルコットはこの試合終始攻撃面において優位性を保っていました.守備は全然してませんでしたが...笑
逆転を許したチェルシーは,なりふり構わずフローランマルダ,若き日のルカクを投入して,屈強なメンバーをそろえていきます.
一方アーセナルは,やらかし顔のジュルーを下げてジェンキンソンを投入します.ジェンキンソンは生粋のグーナーであり,グーナーからも人気の高い選手です.
また,サッカー界の白石麻衣さんことロシツキーも投入します.というか,白石麻衣さんがアイドル界のロシツキーとも言います.ロシツキーは言うまでもなく,「If you love football, you love Rosicky」とヴェンゲルが評したように,だれからも愛される存在でした.
選手交代が功を奏したのか,81分にチェルシーが追いつきます.中盤でボールを持ったマタがこの距離からズドン.
まだまだ,試合を終わらせません.
イケイケのまま,ボールを保持してゲームを進めていくチェルシーでしたが...
!!!!!!
ジョンテリーが足を滑らせ,ボールをかっさらったファンペルシーがゴールを決めてアーセナルが再び勝ち越しに成功します.
このシーン,ジェラード悪夢のスリップを思い出さずにはいられませんでした.
ただし,滑るのはチェルシーサイドですが.
ゲームはこの後,カウンターからファンペルシーがこの日ハットトリックとなる3点目を決めてとどめを刺して終わります.
ーさいごにー
ランパードがえぐいということを再確認しました.もともとボックス内で抜群の嗅覚で得点までするMFというイメージでしたが,ワンタッチでサイドチェンジしたり,ワンタッチで最終ラインの背後にパスを出したり,ゲームメイクの面でも圧倒的な実力を披露していました.いわれてみれば当たり前のことですが,改めて目の当たりにしてびっくりしましたね.
ゲーム自体は,絵にかいたような点の取り合い,シーソーゲームとなって観る側からしたら非常に面白いゲームでした.
ただ,客観的に見てチェルシーのが強そうだったのに,アーセナルが快勝したような雰囲気を出していたのは不思議なもんですね.アーセナルはチーム状態が悪くても気合で何とかしてしまうときがあるので,らしいと言えばらしいです.
この試合では非常にいいチームを作っているように見えたビラスボアスはシーズン途中で成績不振によって解任されてしまいます.確かに,前任のモウモウのころと比べると守備の強度が下がっているのは明らかでした.モウと比べると,ガチガチに守備をすることが少なかったので期待していたので残念でした.ビラスボアスはその後どのチームに行っても鳴かず飛ばずの成績に終わってしまいます.チェルシーは後任をアシスタントのデマッテオにし,結局PLを6位で終えますが,CLを制したということで一定の成果を上げます.決勝のバイエルン戦の終了間際にドログバがコーナーキックからゴールを決めたのは印象的な方も多いと思います.
アーセナルはこのシーズン,なんやかんや3位でシーズンを終えます.チームが好調だったというわけでもなく,チェルシーやリバプールの不振によるところが大きいといえます.シーズン終了後にPL得点王のファンペルシーがマンチェスターUに移籍してしまいさらに改変を迫られることになります.
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