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私流・演秦会の新しい楽しみ方のご紹介

皆様、本日は我々オーケストラの演奏会にお越しいただき誠にありがとうございます。

しかしこういったクラシックの演奏会というのは慣れてない人からすると、どうも長かったり単調に感じたりしてしまうようです。私も昔はそうでした。
ましてや「Bravo!!」と叫びたくなるような演奏会に出会える機会なんて稀だし、最後まで新鮮な気持ちで楽しめるかと問われると、そうではない方も多いはずです。


演奏会の楽しみ方といえばもちろん「聴く」でしょう。当然です。これを読んでいる皆様も、本日はわざわざ聴きに来ていただいているはずです。

しかし私から言わせてもらうと、それは素人の楽しみ方です。私のように人生での演奏会視聴回数が通算3億回を超えてくると、全く違った楽しみ方を見出せるようになってくるのです。

今回は特別に4つ、特にオススメの楽しみ方を皆様に伝授いたしましょう。


1. ミスを探す

1つ目の演奏会の楽しみ方は『ミスを探す』です。
演奏者もプロとは言えど人間。時にはミスをすることがあります。それを探し、その焦った顔を観察するのは以外と楽しいものです。
これはまだまだ初級編ですよ。

2. 寝る

2つ目は『寝る』です。この辺から難易度が上がってきますが頑張って付いてきてください。
これはお金を払いチケットを買ったのにあえて座席で寝るという楽しみ方です。ポイントはコンサートホール内の非日常感、演奏を聴かずに寝ることの背徳感、チケット代を完全に無駄にしているリッチ感です。
これは私が通算82万6429回目の演奏会で考案した画期的な方法なのですが、本日の客席を見ると既に体得している人も多いようですね。さすがやはり皆さん音楽通です。

しかし3億回演奏会に行っている私はここにもう一捻り加えます。それは『家のお布団で寝る』ことです。ポイントは家の安心感、演奏のない静寂感、お金のかからないお得感で、完全に上位互換でしょう。
これを思いついた時は興奮で眠れませんでした。から全く楽しめませんでした。

3. 食べる

3つ目は『食べる』です。
かつて、確か通算2億回目の演奏会を目前に、演奏会で寝すぎて睡眠依存症になっていた私に新たな道を与えた方法です。
しかしご存知の通りコンサートホールという場所は基本飲食禁止です。

そこで私はホールには行かずに父親と焼肉屋に行くことにしたのです。
あえて食べ放題にはせず、父親に任せ肉を一品ずつ頼む。まずはカルビ。両面を丁寧に焼き、それを熱いまま口に運び、大盛りのライスを口にかき込む。そして冷たいビールをごくごくと喉に流し込む。うまい。最高ののどごしだ。

そのあとはハラミ、牛タン、牛角キムチなどを終演の時間まで楽しみました。父親の華麗なトングさばきはさながらステージでタクトを振る指揮者のようで、尊敬の気持ちとよだれが溢れて止まりませんでした。

4. 塩でいってみる

最後4つ目の演奏会の楽しみ方は『塩でいってみる』です。
これは少々タレの味がくどく感じてきていた私に新たな道を与えた方法です。
あれは通算…どれくらいだろう、確か通算3枚目の牛タンを目前にした頃、父親が備え付けの岩塩を振りかけ始めました。
「父さん…!?何やってるのやめてよ父さん!」と取り乱す私を静かに制し、私のライスにタンを乗せた父。おずおずとそれを口にする私。その瞬間体に電流が走ったような衝撃を受けました。私の中の演奏会の概念がひっくり返りました。

気づくと私は立ち上がり「Bravo!!」と叫んでいました。演奏会でスタンディングオベーションをしたのはこの時が最初で最後です。間違いなく今までで一番味美しい演奏会だったでしょう。


以上が私流の新しい演奏会の楽しみ方です。今日からでも実践できるはずなので試してみてはいかがでしょうか。


ところで1つ目の方法は 『ミスを探す』でしたが、実はこのエッセイにも3つの漢字ミスを紛れさせておきました。よかったらぜひ探して楽しんで頂きたいです。

と、ここまで書いて私は眠くなってしまいました。
調べたところ今夜も世界中で200以上の演奏会があるらしいです。それらの演奏会を今日は家のお布団で楽しもうと思います。これでまた私の通算演奏会視聴回数が200回増えることになりました。そうだ寝る前に夜食も食べよう。これでさらにプラス1回。
カップ麺おいしい。お布団温かい。演奏会最高!

それでは皆さん、おやすみなさい。

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