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タンブルウィード

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ーあらすじー これは道草の物語。露木陽菜(ツユキヒナ)は地元山形を離れ、仙台に引っ越してきて三年目。自宅とアルバイト先を行き来するだけの淡々とした日々を過ごしていた。ある日、誤…
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2020年12月の記事一覧

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二週間後、中崎からのメッセージで地元新聞の朝刊の中に松島のGOISHIについての掲載がある事を知った陽菜は、普段買わない新聞の紙面を部屋で眺めていた。 コラフでのバイトから帰宅して中崎からそのメッセージを受けた時は既に夜も遅く、新聞はまだ残っているのかという不安を抱えながらコンビニに走ったところ、間一髪それらを撤去しようとしていたデビと店の前で鉢合わせた。 日本語能力試験や学校の授業でコンビニの夜勤を休んでいたデビとはしばらくぶりの再会ではあったが、彼は陽菜の顔をちゃんと覚え

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陽菜を前にして突然喜びだしたサメ頭の女性に、中崎らは目を丸くしていた。 驚いた様子の彼らに陽菜は事情を説明すると、偶然の再会を驚かれたが、それは陽菜自身も同じことだった。 こんなことが本当にあるんだ、という感情が渦の様に頭の中をかき回している。 水無月は神秘的な光景でも見るような目を二人に向けながら、今回の再会と福浦島が縁結びに所縁がある事を引き合いにだし、この出来事はまるで映画のワンシーンのようだと微笑みながら話した。 丸子ちゃんはしばらく大袈裟にはしゃぎながら陽菜に寄り添