見出し画像

日本の自動車業界が直面していると思うこと

自動車業界は目まぐるしく進化しています。特に、高度運転支援システム(ADAS)や自動運転(AD)分野では、テスラを筆頭に、新興の企業が新たな戦略を採用し、業界の常識を覆す変革を起こしています。

こうした中で、これまで十数年在籍していた自動車業界において、ずっと気になっていたことがあります。それは、旧来の組織構造・人員を維持しながら新しい目標を追い求めているというスタンスです。旧来の組織構造・人員のまま、目標設定だけ新たなパラダイムの世界に迎合しようとするため、現状との乖離が大きく、具体的な現場のアクションに落ちず、結果、現場で働く担当者たちは、旧態依然とした方法に基づいて業務を進めるしかなく、結果として業務の負担が増大し、効率的な進展が阻害されてしまうという問題を引き起こしているという実感がありました。

これに対して、ソフトウェアエンジニアの重要性は明白です。現代の自動車開発は、単なるハードウェア設計を超え、ソフトウェアの設計・開発にも大きく依存するようになっています。しかし、その人材育成には課題があります。現状の自動車業界では、必要なソフトウェアエンジニアの人材が十分に確保されていないのです。ここでいつも話がややこしくなるのは、自動車業界には「組み込み系ソフトウェアエンジニア」は豊富に存在しているという事実です。しかし、彼らが自負するソフトウェアエンジニアリングと、いま自動車業界に必要なソフトウェアエンジニアリングは、本質的に異なるものであることが理解されていないように感じます(※組み込み系エンジニアが不要であると言っていません)

じゃあ (モダンな) ソフトウェアエンジニアを採用すればいいかというと、話は簡単ではありません。自動車業界の上層部にとって、過去の経験や成功体験は無視できないものであり、純ソフトウェアエンジニアリングの新しい思考方法やプロセスを理解することは簡単ではないと感じます。そしてそれは自然なことです。

では、どうすればよいか。少々過激ですが、やはり上層部をソフトウェアエンジニアに置き換え、彼らに主導権を持たせる事だと思います。旧来の上層部は、自動車製造についてのアドバイスを提供しつつも、最終的な決定権はソフトウェアエンジニアに委ねることで、新たな視点と速度での開発が可能となると思います。

このような組織構造の変更は大きな挑戦を伴いますが、その先に自動車業界の真の革新が待っていると信じています。現在の進化のスピードについていくためには、我々自身も進化し続ける必要があります。私が自動車業界を去って機械学習がメインのソフトウェア企業に転職したのもこういったところに (も) モチベがありました。これこそが、新たな時代の自動車業界が直面する、最も重要な課題だと感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?