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アシストのないe BIKEなんて、ただの重すぎる自転車だ〜東京ー三島のチャリ旅

 旅するスーパースター、蕎麦宗です。

 過日、東京・自由が丘から三島までのチャリ旅をした。綱島街道から横浜・藤沢・江ノ島を経由して湘南を直走り、小田原から箱根八里の峠越えで三島・蕎麦宗へと帰ってくる120km。
 僕をよくご存知の方ならば『ふ〜ん、いつものことですねー』と大して驚きもしないだろうけれど、走った本人からすると今回は過酷な冒険だった。
 …というワケはe BIKE。電動アシスト機能がついたスポーツ自転車がそれで、僕が運営する《(一般社団法人)CLUB SOBASO》が購入したモノはMTBタイプ。その e BIKEを預かってくれていたのは、CLUB の仲間で自由が丘に在住の【龍神ゴロー】こも吾郎ちゃんで、同じくCLUBの仲間【遅れた紅葉と乗り物コンプリート】に出てくる沢井さんが、出向先のタイから半年ぶりに帰国するタイミングに合わせて、そのチャリをなんとか用意してあげたい一心で自走による陸送を買って出たのが僕。
 【チャリトレで栗ご飯】に書いたように、ボチボチとレイラインツアーに向けての長距離トレーニングを始めたい思いも重なって、思いつきにて東京〜三島eBIKEツーリングと相なった。

 それにしてもだ。電動アシスト自転車はご存知の通りにバッテリーを積んでいるために非常に重い。さらにMTBタイプなのでジープみたいに野太くゴツゴツなブロックタイヤを履いている。また、山道ダウンヒルが主目的のフルサスペンション付き。当然ロードバイクのように長距離移動は考えられていない*ジオメトリー。どっかりとサドルに体重が乗ってしまい、まぁお尻が痛いのなんの。
 そんな乗り物に追い討ちをかけたのが、今日に限っての強烈な向かい風。加えてバッテリー残量の問題。僕らのこのe BIKEはアメリカ製のスペシャライズドというメーカーの物。e BIKEなりには18kgと軽量に仕上がっているのが特徴で、代わりにバッテリー容量が少ない分、当然の如く航続距離も短い。
 しかもルート最後の砦に箱根越えを控えているので、なんとかそこまではバッテリーを残したかった。ゆえにとった作戦が小田原まではスイッチを切ってのノンアシスト。つまりはただの重過ぎる自転車。これが、このツーリングを過酷な冒険に仕立てたのだった。

丸子橋
サスペンションと横浜みなとみらい

 ロードバイクならば1.5時間で着く自由が丘〜江ノ島を3時間40分も掛かり、すでにほうほうの体。少々遠回りなれど立ち寄ったのは会いたい人がいるからで、その方の出雲の友人夫妻にもお会い出来たのは何かのご縁。どちらもとんでもなくスピリチュアルな方々なので、いずれこの話も書く機会があると思う(ダンナさんはすぐそこなのにリモートになりすいません)。
 ここからまだ80kmも残っているので、後髪を引かれつつも足早に江ノ島を去る。湘南の国道134号線は猛烈な向かい風。おそらく時速は17km/hといったところか。ママチャリの速度と変わらん、しゃーないのんびり行こう。
 国道1号線に移る大磯辺りを過ぎると再びアップダウンの連続。武蔵小杉から横浜・藤沢間と同様にこんなに坂があったのかと驚く。度々走っているロードバイクではほとんど平地だったはず。地殻変動でも起きたのか?!それは仕方ない、ロードバイクの重量はアンダー8kgで、このe BIKEは2倍以上、 。などと、そうこうしているうちに、西陽が額に刺さる。 

 さて、ようやく小田原。残りは30km。眼前の天下の剣は分厚い雲を被っている。濡れたら嫌だな、箱根峠は日没後なのは確定だし。どうする?熱海周りに変更?距離は明らかに箱根越えが短い。そしてせっかく温存して来たバッテリーは、この坂を登るためだ!。そう意を決してルートを選び、箱根湯本に差し掛かったところでスイッチオン。うわー、電動アシスト最高!。斜度とは無縁にぐいぐいと進む。しかもスペシャライズドだけあって、アシストの味付けは絶妙。踏み込むような高トルクではアシストされず、クルクルと*ケイデンスを上げたペダリングに丁寧に応えてくれる。シフトチェンジと連動した、しっかりと自転車を《漕いでいる》感覚を残してくれてあるセッティングは絶妙。 
 しかしながら、嬉しさも楽しみもヒヤヒヤなのは旧東海道の激斜面ゆえ。七曲りなんぞはフルパワーで駆け上がり、ロードバイクの方々をぶち抜いて楽しんだりしたために、バッテリー残量はみるみると減ってゆく。茅葺き屋根の甘酒茶屋に立ち寄って補給したあとは、三段階のアシスト比率をローにして温存。芦ノ湖畔から先にも箱根峠までの長い登り坂が残っているからで、仮にノンアシストになった暁には地獄しか待ってない。

江ノ島
箱根湯本

 なんとか無事に、箱根峠に着いた頃は真っ暗闇に包まれていた。しかも向かい風の強風は相変わらずで、まるで雲の中のような霧が、冷たい雫となって肌に張り付く。ブロックタイヤの抵抗でちっともスピードの上がらない下り坂を行けば、三島や沼津・田方平野の夜景がうるわしい。自転車で日没後に箱根路を行くことはほぼ無いので、そんな過酷な旅の締めに相応ふさわしいご褒美のような煌めきを観られた事に喜ぼう。
 三嶋大社の鳥居を過ぎれば蕎麦宗はすぐそこ。よっしゃ到着。残るは韮山までの帰路。もうひとっ走りで無事帰宅。120kmしか走ってない割にはヘロヘロ過ぎる。
 そんな風に、たぶんもう二度とやらないと思う過酷な旅路になった東京ー三島のツーリング。けれど、それはそれで中々愉快なe BIKEでの冒険。
今度の達磨山ツアーは益々楽しめるはず。きっと、《CLUB SOBASO》の仲間達も喜んでくれるに違いない。

 よし、ガンバラナシませう。

*ジオメトリー…自転車フレームの寸法や角度。これによって乗り心地は全く別物になる。

*ケイデンス…自転車のペダリングの回転数

三島の夜景
三嶋大社の鳥居にて

#e BIKE  #スペシャライズド #自転車旅 #箱根越え


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