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地層〜37年ぶりに夏休みの宿題

旅するスーパースター、蕎麦宗です。

『宗さん、この近辺で地層ってご存知ですか?』

かれこれ長〜いお付き合いの常連さんからそう尋ねられた。《地層》を探して3箇所巡り、写真をGPSデータと共に提出するという、お子さんの夏休みの宿題らしい。

『地層?!』

伊豆のほとんどの箇所は火山地形ゆえに、房総半島のような隆起した沖積平野のハッキリしたそれとは異なり、そう簡単に分かりやすい地層には巡り会えない。

それを探せという、市井しせいの人にとってはまるで《かぐや姫の難問》も、蕎麦宗さんなら分かるのでは?!と白羽の矢を立ててくれたのは実に嬉しい。【地理から見る狩野川】に書いたように僕は元来地理好きだし、自転車で伊豆半島中そちこちを回っているので大抵の地形や風景は頭に入っている。

『あー、それなら…』

と、丹那断層や南伊豆の龍宮窟とか下田の恵比寿島などを挙げ、すらすらっと幾つかをお伝えした。ただ、直ぐに行ける場所となると、これは中々至難のわざ。考えてみればクルマや親の協力が前提な宿題もいかがなものか?とは思うけれど、そうだなぁ〜、田中山のスコリア採石地跡や大瀬崎西岸の断崖とかどうだろう。加えて、

『あ〜*韮高の校舎の脇の龍城山にもあった記憶が!』

と教えたれど、相当昔のことなので自分の記憶がなんとも心許ない。

そこで思いつくままにルートを繋げて、ちょうど良い、自転車のトレーニングも兼ねて地層巡りの探検をすることにした。ところが案の定、苔だらけだったり草木に埋もれて縞模様が見当たらない。シマッタ。偉そうに安請け合いしたものの、ウソを教えるのもアレだ、これは難問。やはり《龍の首の五色の珠》や《燕の子安貝》の如き宿題。

そんなこんなも含めてお伝えした場所に、なんとか辿り着いて写真は撮れたとのこと。しかし、あと一つがパッとしないよう。なので、

『良かったらご案内しましょうか?』

と、少々分かりにくい口野の放水路近くをガイドすることにした。

そうして、37年ぶりに中学生一年生の気分になって夏休みの宿題と共に向き合う事になったのは、普段と視点が変わってとっても楽しく愉快だった。地層なんて、普段気にしながらドライブしたりチャリに乗ることもないですからね〜。

ご家族と合流して途中に立ち寄った《*フォルトゥナ》という自転車乗りの行きつけでクレープを食べる。ご地層(馳走)さまでした。パリパリの一口目が最高に美味しく、皆んなでにっこり。そこでひらめいた!

『担任の先生ってさ、冗談分かる人?』

と訊ねたのはミルクレープ作ってその写真を提出するというイタズラ!のため。

『伊豆長岡のご馳走(地層)です』

って、マスク越しにきっと笑ってくれただろうけどおそらく呆れた苦笑い(汗)。幼き頃から勝手知ったるキュートな子供さんも思春期。こちらのオッサンは壮年期、しどろもどろ。

切り替えて、さぁ出発。時折叩きつける強い雨脚に不安はつのりつつ、《口野の切り通し》に到着。お見事!まるでミルクレープのような地層がクルマから降りずとも眺められた。なんとか強雨も止んで下車。iPadで丁寧に切り取って、撮影も位置情報の確定も完了。撮り切りカメラだった僕らの時代とは隔世の感がある。後で調べてみたら堆積して出来たのは泥岩と思いきや、海底にたまった火山灰や軽石の積層で、伊豆が本州と陸続きになる前の海底火山活動の痕跡らしい。改めてジオパーク伊豆半島を学び直せて僕も満足。こんな機会が頂けてありがたい限り、感謝です。

後日、廻られたあちこちの地層の写真を見せて頂く。これなら担任も社会の先生も納得でしょ!。それにしても口野の切り通しはまるでミルクレープ……ってまだ言ってるのって中学生にアキレラレソウダ。

さて…

こうして長い年月をかけて降り積もり重なり合った地層を眺めていると、まるで心模様にも見えてくる。時に喜んで、時にくじけて、そしてまた愛おしく想いつのって…その繰り返し。たとえ時の流れに苔むして草木に覆われたとしても、積み重ねた想いはずっと変わらずそこにある。

よし、ガンバラナシませう。

*韮高…母校である静岡県立韮山高校。北条氏の城だった丘を削った斜面に縞模様があった。

*フォルトゥナ…伊豆長岡駅に程近い、狩野川に架かる千歳橋の袂にある手作りクレープ店。

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#伊豆半島ジオパーク #夏休みの宿題  #視点を変える #口野の切り通し



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