見出し画像

山萌ゆる西伊豆へ

コロナウイルス対策としての外出自粛要請は、サイクリング界にも影響が出ているよう。複数人のツーリングはリスクが高いとか、遠方に行くのは蔓延させる要因とか…。色々意見が錯綜して、取り敢えず自粛して室内練習といったところに落ち着くのでは。

そんな騒動の中だが、僕は走る。一人で走る。行きたい所へ行く。*ポリコレに殴打されようと屈しない。なぜかは昨日の記事に書いた通り。とはいえ、あまり人には勧めません。だから、じっと在宅しているのは賢明です。代わりに、僕の記事でも読んで旅気分を味わって楽しんで下さいまし。

毎年春の伊豆で走りたくなる場所がある。それが今日のお目当ての場所。出発。

今回もLSDとダイエットペースの予定なのでゆっくりと走り出す。歩道が堤防上に合流するちょっとした坂を重々しく登っていたら、目の前をブリジストンプロサイクリングのプロロードバイク選手達が颯爽と通り過ぎていった。僕はツーリング。追いつくわけもないけど追わない。
狩野川は菜の花が満開で、その黄色と堤防のサクラの薄ピンクとのコントラストが春そのもの。ちょうど萌えはじめた雑木林の、緑の同色系をかき集めたパッチワークを背景にひときわ映えている。
修善寺を抜け国道136号で天城湯ヶ島の出口(地名です)へ。国道136号が西へ折れ土肥へと向かう。ここからは山岳だ。が、勾配が緩くトレーニングにはもってこいの道。*アウター縛りにしてゆっくりと上る。今日も心拍はあげない。途中に枝垂れ桜の古木を写真に収めて再出発。しばらくサボっていて鈍っているので、あわてずじっくり身体を作ろう。

画像1

ノンビリ走っていたら女性ライダーに追い抜かれた。ちょうどいいペースだったので、追いかけて後ろにつかせてもらう。ジャージには日体大と書いてある。ふむふむ、東京の喧騒を避けて伊豆でトレーニング合宿でもしてるのかな。自分はLTペースくらいだが彼女は息使いが荒かった。いくら鈍っていても流石に女子大生には負けない。並んで話かけたら20分走をリピートしているという。許可得て再び後ろに着き船原峠のトンネルまでご一緒させて頂いた。
しばらく走ると「*Allez!allez!(アレ!アレ!)」という声が聞こえる。峠から下って来た数人のサイクリスト達からだ。先のブリジストンの選手もいた。何人か面識ある選手がいたので手放し運転して両手を振ると、向こうも気がついたようで手を振ってくれた。*パンダーニのヒョウ柄ジャージのおかげでもある。
かなりペースを上げた最後の2〜3分も着いていった。トンネル手前に到着してから彼女としばし雑談。
「ブリジストンの選手とすれ違ったね」と言うと、
「さっき下って来たのは仲間なんです」と。
聞けば日本代表合宿の最中とのことで、ブリジストンの選手達と同様に、彼女も(女子の)日本代表候補らしい。
「日の丸背負って走るのか〜!、応援しますよ!」と、自分は西伊豆に向かってツーリングの途中であることを告げて別れた。彼女は折り返して下っていったけれど一体何本やるのかな。この世相の中、トレーニングですらバッシングされかねない。おかしなことだが…Allez!-allez!。

船原トンネルを抜けたら、土肥の海までダウンヒル。長かった工事もようやく終わり、全線開通した気持ち良い下りを飛ばす。安定のサーベロS5。70km/h前後で走ると微妙に車も抜けないらしく、後ろに着かれたので少し神経を使った。
下りきって川沿いを土肥金山方面へと抜ける。サクラと川辺の黄色い花がきれいだったので写真に収めた。

画像2


平地に入り車の流れに乗って、今度はしばらくバスの後ろ。ほぼほぼ55km/hで巡航。*スリップに入り過ぎないよう気をつける。自分は気持ち良いけどあんまりよろしくないからね。
小下田から恋人岬までの10分ほどの上りはダンシングで。ちょっと心拍上げ過ぎだ。落ち着かせてながら宇久須、安良里、田子、堂ヶ島のトンネル区間を流す。西伊豆バイパスと呼ばれるこの連続するトンネル、実は手掛けたのが僕の高校時代からの親友の父上。『タツノ』というトンネル工事専門の土木建設会社の創業社長で、以前、蕎麦宗に来てくれた際に「自分が造ったんだ、あのトンネル全部」と、働き盛りの若かりし頃に想いを馳せて目を細めていた。

そんなことを思い出しながら、仁科に到着。55kmをちょうど2時間。この交差点にある『スーパーあおき』が開いている。普段は出発が早朝なので開店前でやっていないのだが、今日は朝寝坊。夜更かしグセが抜けないのは良くない。
でも、背中のポケットにまだおにぎりが残っているので素通り。仁科川に沿った県道59号へと進めた。
今日の目的地はここ。20kmほどある長い登坂区間の中腹に深い渓谷があり、その両脇の山肌を埋め尽くす山桜の自然林があるのだ。タイミングが合えば山は白と薄ピンクに染まり、それはまるで桃源郷。ぜひドライブで来て欲しい。出来たらクラシックなオープンカーが理想だが、フツーの車でも窓を全開にして飛ばさずゆっくり走れば、自転車と同様に楽しめると思う。残念ながら少し遅かったようで、だいぶ黄緑が混ざって来ていた。とはいえ充分に美しいので満足。

画像3

お目当てを後にしたら、ひたすらヒルクライム。とにかく長い。が、あちらこちらにヤマザクラやコメサクラなどいろいろな種類の桜が咲いていて飽きさせない。また、見下ろせば、花と緑のモザイク模様の折り紙を使って、折鶴の羽を作るように重ね合わせた山々の尾根が広がっている。それがレースのカーテン越しに景色を見るように、ほんの少し霞んでいる。しばし眺めて居たいくらい。

ゼ〜ハ〜言いながら上るのも練習だが、こんなのんきな方法も練習。でも今日はちょっと写真を撮りすぎた。どうしても停まっている時間が長くなるので練習のクオリティーは下がる。考えものだ。そんなことを思いながら仁科峠、風早峠をクリアして持越まで下り、東府屋旅館の横を通って国道414号へ。出口にて136号に戻ったら追い風に乗って自宅まで。

本日距離109km・獲得標高1742m。ちょっとくらい痩せたかなぁ。

*ポリコレ…ポリティカルコレクトネス
*アウター縛り…フロントの変速ギアを重い(大きい)方に固定して走ること 
*Allez!allez!…フランス語で「行け!行け!」という掛け声
*パンダーニ…日本のサイクルウェアブランド 蕎麦宗ジャージもここ製
*スリップ=スリップストリーム…車の後ろ等に入ると空気抵抗が減り楽に走れる

#西伊豆 #ブリジストンプロサイクリング  #仁科峠 #パンダーニ #練習 #サーベロS5 #インプレ #トレーニング方法 #LSD








読んでくれてありがとう。少しはお役に立てたかな⁉︎。聞きたいことあったら、ぜひ質問くださいな。もし楽しい気持ちになれたなら、ほんの少しだけ応援ヨロシクです。