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マウスをクリック出来なくなったおかけで、ずっとやりたかったことをやっている

 旅してないスーパースター、蕎麦宗です。
 
 還暦を潮に、ここしばらく勤めていた仕事先を辞めたというお客さんがいた。未だ会社に残っている元同僚との食事で、蕎麦宗を使ってくれたのだった。
 予約で来て下さったその日は、伊豆に線状降水帯の警報が出て実際に大雨が降っていた。

 『大変でしたね、こんな日に。ありがとうございます』

 そんなだったので店内は閑散としており、ご挨拶のお天気話を終えた後も、僕はその色々な会話に耳を傾けた。どうやら定年より前に勤め先を辞めたようだ。

『ところで、どうしてお辞めになったのですか?』

と尋ねると、

『パソコン業務なんだけど、正直言って好きじゃなくて…そしたらマウスをクリック出来なくなってしまったの』
 
たかだか指一本の動き。ところがあの小さなボタンを押すことだけが出来なくなったという。が、僕はそれを聞いてすぐに分かった。

『ああ、それはイップスですね』

『イップス?』

『ゴルフとか野球で聞いたことないですか?全くトンチンカンな方向に投げたり、わざと空振りするみたいにティーショットもパターも当たらない様子』

ああ!知ってますと、お二人ともが頷いたので、改めて説明した。

 イップスの原因と定義は、勝手に(無意識的に)ある特定の条件に脳が反応してしまい、筋肉への不安定な命令によって運動に異常をきたす症状で、今まで普通にできていた事が突然できなくなる状態を言う。

『なるほどイップス。確かにそんな感じでマウスのクリックだけが出来ない。でも不思議よね、なのにビーズの小さな穴に糸を通すことはできるんだから』

そう言って首元に下げた自作のネックレスに手を当て、見せてくれた。

 『趣味でアクセサリーを作っていて…今の方が毎日が充実してるの。ずっとやりたかったことをやれるっていいわよ』

在職の方は羨ましそうに頷いている。僕はというとちょっと驚いてその文言に反応した。なぜなのかを言うと、

『【*ずっとやりたかったことをやりなさい】って本に昨晩出会って、今朝ネットで紀伊國屋に頼んだんですよ!』。

お二人ともそんなシンクロに興味津々で会話は続く。聞けば、在職の方は《ひむ香(亡き妻がやっていたお店)》のスポットの生徒さんだったらしい。ただ、ずいぶんと前に若くして亡くなった事は知らなかったようで、それを伝えると残念がっていた。

『…人間なんていつ何時なんどきに死ぬかなんて分かりませんよ。だからこそ、やりたいって思った時にやっておいた方がいいですよね』

と僕は話を付け足した。お二人とも身につまされた思いで納得したようだった。
 
 さて…。

 これだけ豊かになった現代の世であっても、往々にして日々の些末な生活に追われ、自分が本当にやりたい事をやれてない人がほとんどかと思われる。元々やりたかった事であっても、加齢や興味や期間によってはやりたくない事に変わる場合もある。
 それでも続けているうちに、また他者や社会からの期待に答えるうちに、やりたい事が何かすら分からなくなってしまうこともあるだろう。

  そうやって『嫌だなぁ』という心に蓋をしても、身体は少しずつ『やりたくない』というサインを出す。イップスとはまさにその身体からのサインそのもので、魂(自分という全存在)が己へと問い掛けているメッセージだ。
 兎角、真面目な人、忍耐強い人、精神力の高い人ほど、己の心の本当の思いや欲求に気が付かないものだ。身体の不調という形の魂のメッセージにしっかりと耳を傾け、今の自分が【本当にやりたいこと】は何なのか?!に向き合ってみる必要があると思う。

 そう偉そうに言っている自分も、GW期間中には久しぶりに酷い腱鞘炎に悩まされた。
 【ずっとやりたかったことをやりなさい。】という本として降ってきたサインもまた、魂があるいは神が送ってくれたメッセージなのだと思っている。

はて?!では、ガンバラナシませう。

魂からのメッセージ

*ずっとやりたかったことをやりなさい…2001年に出版されたThe Artist's Way(ジュリア・キャメロン著)の邦題。いまだベストセラー。

#魂のメッセージ #スピリチュアル #ずっとやりたかったことをやりなさい #イップス

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