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最近考えていること01(寒ざらしそばと発芽玄そば)

 事業再構築補助金をしてから2か月が経ちました。なかなか結果が発表されず、不安の毎日を送っております。予定だと3月下旬と想像してますが、はっきりしたことは分かりません。
 そんなことを考えながら、『蕎麦屋の常識・非常識 片山虎之助 著』を久しぶりに読み返した。


 前書きに『蕎麦好きなら、誰でも知っている。蕎麦屋の常識というものがある。・・略・・本当にそうだろうか。これらの常識なるものは。なぜ?と問い返すことさえ憚られる蕎麦の世界の鉄則らしきものを、もう一度、検証してみよういうのが、この本の一つのテーマだ。・・』とあった。

 私もこの提案に従って、この本の中に、記述されている『寒ざらし蕎麦』について、興味を持ったので考察してみよう。
  寒ざらし蕎麦の歴史は江戸時代にまで遡り、幕府に献上した記録が残っている。献上品とあるので珍しくて、かつ、美味しかったのだろう。
 ・・片山氏の紹介記事の中に、研究所が分析した結果の紹介が載っている。寒ざらししたそばは、甘み影響するアミノ酸成分がわずかに増加したという。味の方は、寒ざらし前と後では変わりがなかったというが・・・
 氏はまたいくつかの理由を挙げている。劣化防止やアク抜きの効果でさらしな粉を取り出すのに都合がよかったとか。いずれにしても、推測の域をでない。
 寒ざらしそばが、なぜ現代に復活したのであろうか? 会津地方で毎年3月に、「会津・山都寒晒しそばまつり」で寒ざらしそばから作ったさらしな蕎麦は、氏の表現を借りると口中で跳ねるような食感に驚くという。・・

 さて、寒ざらしそばとは製法も目的も違う当店で発案した『発芽玄そば』について、すこし述べていこうと思う。
 発芽玄蕎麦は、品質が劣化(1年以上時間が経過した玄そば)した玄そばを新そばのレベルまで品質をアップできるという、画期的な製法なのだ。

左:発芽玄蕎麦 右:品質劣化した玄そば

 蕎麦の実(玄蕎麦)は果皮(ソバガラ)と子実に分けられます。子実には種皮(甘皮)、胚乳、胚芽の3部構成になっていることはよく知られています。
 特に、甘皮部分には、ソバガラのすぐ下にあり、石臼で挽いても、なかなか挽けないで残る部分なのです。
 
 この甘皮部分は、タンパク質で出来ており、ルチン等が多く含まれます。
 抗酸化作用があるルチンは体にもよく、紫外線から蕎麦の実を守る働きもあります。

(そばの実の構造は 全国蕎麦製粉協同組合 ポスター そばの秘密 参照して、内層粉 中層粉 外層粉を説明するために記入しました。)

タンパク質は味に関係し、また、タンパク質が多いソバの粒子は一般的に脂質も多く、脂質の中の揮発性の物質がソバらしい香りに関係するからである。
   甘皮部分はタンパク質と脂質が豊富です。風味が強く、栄養価が高いのです。蕎麦の美味しさにはこの部分が大きく関わるのです。
 品質の劣化した玄そばが水に一晩さらしてから、適温によって発芽を促す。その結果、脂質(発芽前は2.8 発芽後は3.5に)が増加する。
 蕎麦粉にして打つと、明らかに、香りも味も格段にアップしていることがわかります。
 ぜひ、一度、当店で発案した発芽玄そばをご賞味ください。
下記は、発芽した玄そばを製粉した粉をつくば分析センターで分析した結果です。