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入院10日目(聴神経腫瘍開頭手術・9日目)

(この話の続きです)

できること。

ようやく体を起こしていてもつらくなくなってきた。入院が長いと暇だろうと思い、積読の一つだった『ペン字練習帳』を持ってきていたので、このころ初めて取り出してみた。

やってみたが、積読になっていただけあって、すぐ飽きた。

できないこと。

顔の左半分は、麻痺が次第にはっきりとわかるようになってきた。入院前に読んだ論文ではたしか、術後すぐに出た麻痺は長引くが、しばらくして発言した麻痺は徐々に良くなると書かれていた。

私が持っていた「顔面麻痺」のイメージは、顔がけいれんしているようなイメージだった。実際は全然違い、むしろ顔の筋肉の力が入らなくて、常に無表情になるようなものだった。ビートたけしさんが事故に遭った後、たしかこんな顔をしていたな、と思った。

手術後、左目だけ目が痛くて仕方なくなった。面白い、と言ったら変なのだが、左の瞼が閉まりきらずに乾いてしまうせいで目が痛くなっていたのだ。自分でも気づかないくらいうっすら開いているようで、目薬を差すくらいしか対処法がなかった。

口の筋肉も左だけゆるいので、食べるのも一苦労。うっすらと口が空いてしまうので、気を付けていないと咀嚼中に口の端からブツがだらっと流れてしまう。当分人前でご飯は食べられないな、と思った。

相変わらずのろのろとしか歩けなかったが、病棟の端にある休憩室のようなところにまで行き、ぼうっと時間を過ごすことも増えた。自分でシャワーを浴びることができるようにもなったし、快復は順調だった。

子どもたちとも連絡を取れるようになった。

長男「(次男)がまま何食べれるか知りたいって」
私「病院のご飯全部まずいからいまはおいしいパンとコーヒーが一番食べたいな」

無視。
なんなん?




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