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エヴァンゲリオンのにわか視聴者がシン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観たのでどんな経緯で庵野秀明作品に興味を持つようになったのかを書く記事

エヴァについて『序』→『DEATH (TRUE)2』→『Air / まごころを、君に』→『破』→『Q』→テレビ版→『シン』というとんでもない順番で触れたにわか視聴者によるオチのない自分語り記事。

2021年3月8日、延期に延期を重ねた『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』がついに公開。初日は混むだろうし土日もなんかヤバそうな雰囲気があったので2日目となる3月9日に鑑賞しました。

「日本で有名なロボットアニメって何?」と聞けばおそらくガンダムとかに並んで名前を挙げられるであろう『新世紀エヴァンゲリオン』。自分でも名前は聞いたことがあったし断片的に本編映像を目にすることは何度もありましたが、日テレで新劇場版が地上波放送されるまでちゃんと本編に触れることはありませんでした。

エヴァンゲリオンだかヱヴァンゲリヲンだか知らないけどなんか厄介な固定ファンが付いてるやつでしょ? こわ近寄らんとこ……と思ってた時期が結構長い期間ありましたが、あるものに出会ってから少しずつ視点が変わりました。

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「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」です。

2012年当時、日テレで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のヒット記念という触れ込みで特番が組まれるほどの扱いで、『ゴジラ(1954)』等日本の特撮映画作品黎明期から当時の最新作品である『特命戦隊ゴーバスターズ』に至るまで多種多様な展示物を実際に見ることができる貴重なイベント。撮影に使われていた『帰ってきたウルトラマン』の飛び人形とか平成ガメラのスーツとかオキシジェン・デストロイヤーとか置いてあったんだけど基本的にそういう展示物の写真撮影はできませんでした。

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撮影可能エリアのビルのミニチュアの裏側を3DSカメラで撮ったもの。

この特撮博物館では、数々の展示物と並ぶ目玉として『巨神兵東京に現わる』という短編特撮映画が館内で上映されました。脚本庵野秀明・監督樋口真嗣という超豪華な布陣による作品です。

『巨神兵』はCGを使わないアナログな手法による映像だけで構成された作品で、強風で吹き飛ぶ瓦屋根の一枚に至るまで精巧に作り込まれたミニチュアなど見どころたっぷり。

『ヱヴァQ』公開当時は庵野秀明という人のことをよく知っておらず、数少ない友人が言った「お前ウルトラマン好きなら多分エヴァもいけるよ」的な言葉にもピンと来ていませんでしたが、『巨神兵』のメイキングや特撮博物館内の展示物とそれに対する庵野秀明本人の解説を読み進めることで、この人の特撮にかける情熱とそれが彼の創作物に与えた影響を感じられ、ウルトラマンからエヴァンゲリオンに通じるものを知ることができたような気がしました。

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話は変わって2014年。『勇者ヨシヒコ』で知られる福田雄一監督の新作テレビドラマ『アオイホノオ』が放送されると決まり、初回放送から注目していました。

漫画家の島本和彦の美大生時代をモデルにした漫画作品のドラマ化で、安田顕が演じる「庵野ヒデアキ」やムロツヨシが演じる「山賀ヒロユキ」ら後にGAINAXを立ち上げることとなる面々が大体いつもの福田作品のノリで描かれます。

記事冒頭の画像は「赤井タカミ」の家で「キンゴジ(『キングコング対ゴジラ』に登場するゴジラの通称)」の造形を褒める庵野ヒデアキ。

また同時期に声優ユニット「A応P」の冠番組『あにむす!』内で放送されたショートアニメ『監督不行届』も庵野秀明について描かれた漫画をアニメ化したもので、この中で庵野秀明をモデルにした「カントクくん」が様々な奇行を繰り広げます。

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特に印象に残ったのはDXファイズドライバーを使って鏡の前で一日中仮面ライダーファイズの変身ポーズを繰り返すカントクくんの姿。

『アオイホノオ』も『監督不行届』もそれぞれ漫画作品ですが、ドラマにしろショートアニメにしろ映像作品として世に送り出されなければ自分で知ることはなかったかもしれません。

これらの作品を踏まえた上で庵野秀明について調べると、ゴジラやウルトラマンと言った特撮作品が好きで特にウルトラマンに対しては信仰に近いものを感じており、その心を持ったままクリエイターとして育ったのではないだろうかということが伝わりました。

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『Q』から何年も経ち、(アニメ好きにとっての)世間的にも「庵野仕事しろ」の空気が立ち込めていたころに『シン・ゴジラ』の公開が決定しました。

制作発表を聞いたとき個人的には「庵野!! やったじゃん!!!」としか思わなかったのですが、インターネット上での反応を見てみると「庵野が実写作品を……?」「いやエヴァ作れよ」みたいな感想が飛び交っておりえっそんな不安視されるもんなんだ……と感じました。

いやだって『ゴジラ FINAL WARS』から10年以上経っての新作ゴジラ映画よ!? ましてやゴジラ好きのおじさんが作るんだから安心では!? と思っていたのですが、調べると心配する声が上がるのもよくわかる状況だったのがわかりました。

カラー公式サイトでの「『シン・エヴァンゲリオン劇場版』及びゴジラ新作映画に関する庵野秀明のコメント」ページで自身の精神状態が不安定にあることが伝えられており、過去に庵野秀明が監督を手掛けた実写作品は『ラブ&ポップ』や『式日』、特技監督である樋口真嗣の直近の作品は『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』でした。いずれも万人が面白いと感じる作品とは言えませんでした(個人的には実写版進撃の巨人は名作だと思う)。

『シン・ゴジラ』は結果として興行的にも作品評価的にも素晴らしい成績を残しましたが、庵野秀明がとても繊細な精神の持ち主であることや、様々な理由で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の完結が遅れていることは広く知れ渡ったのではないでしょうか。

『監督不行届』の作者であり庵野秀明の配偶者でもある安野モヨコが描き下ろした漫画でもその苦悩がよくわかります。

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2019年のTSUBURAYA CONVENTION 2019で『シン・ウルトラマン』が発表されたときもインターネット上では大体同じような反応だった記憶。

これまでに何度も延期を重ねてきた『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は2020年6月27日に上映予定とアナウンスされましたが、新型コロナウイルス感染症の流行による影響で2021年1月23日に延期、さらに緊急事態宣言により現在の公開日へと延期を繰り返しました。

延期するたび「また庵野がエヴァ作り込んでるぞ~」みたいなネタ(実際2020年6月→2021年1月の延期ではそうだったらしい)もささやかれましたが、庵野秀明をこれまで書き連ねた視点で見ていると本当は一日でも早く『シン・エヴァ』を公開してエヴァンゲリオンから解放されたいのでは? と考えずにはいられませんでした。

特撮きっかけで庵野秀明に興味を持って、テレビ放送される作品から庵野秀明の生態を知り、実際に見ることが出来るエヴァの映像作品から庵野秀明のことを考えると、『新世紀エヴァンゲリオン』を通して庵野秀明から世に送り出したいことはもう『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』をもって出し切ることが出来るのではないか、エヴァの細かい設定とか知らないけど庵野秀明作品の集大成となるならこれを見届ける必要があるのではないか。

『風の谷のナウシカ』や『王立宇宙軍 オネアミスの翼』と言ったアニメ映画作品での庵野秀明の仕事を知ったのはエヴァを知ってからずっと後のことになります。記事タイトルおよび冒頭でも「にわか」という言葉を繰り返していますが、聞きかじりの知識やちょっとだけの作品視聴で庵野秀明の人生を語ろうとしている身はまさに「にわか」と表現するほかありません。

こんなにわか視聴者一個人の感想でしかありませんが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』絶対に映画館で観た方がいいです。みんなで今こそ庵野秀明の到達点に触れよう。

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