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「ギャラリー」ってなに?『デザイナーのギャラリー日記』3

6年、企業のデザイナーとして働いた。4月からは独立して週の半分を企業で。もう半分をギャラリーで。働き方を変えた。今風の働き方には興味がない。ただ、アーティストとして作品を作れる環境が欲しかった。

まだ京都に来て半月しか経っていないが、ギャラリーに行けば作品の制作に関わる話が毎日行われている。会社員としての仕事に刺激があるないの優劣ではなく、アーティストが作品を作る上での思考回路や執着心は、種類が違う。個々がまったく違った執着心を持ち、勝手に探求している。組織だと、どうしても組織としてコンテクストが存在する。

galleryMainは写真のギャラいーではあるが、現代美術の展示や演劇、コンテンポラリーダンスの勉強会、運営しているアートスクールPlot Art Schoolでは、メディアアート、ヒップホップと他ジャンルのアーティストの講義を行う。この環境のお陰で、他のジャンルの作品、作家の試行錯誤を知ることになり、自分なら。と問い返される日が増えた。たった半月しか経っていない、けれど考える時間が増え、どう作るかを思考する脳に、生成変化しようとしている。

会社員は回り道だったのか?単純化すると労働に対して対価を貰う。成績が良ければ昇給する。システムとしてわかりやすく、業績にもよるが基本的に努力すれば何かしら結果に結びつく。作家の方はどうか、自身の疑問や葛藤が制作を後押ししている。その代わり分かりやすくモチベーションを維持する仕組みはなく、個人に委ねられる。私個人の感想だけど続けるだけなら、会社員の方が遥かに楽だ。デザイナーとして上手くいけば行くほど、資本主義に適合していく。怒る必要がない立場になっていく。

私は新卒で就活はせず、アルバイトをしながら制作を続けた。東京に引っ越しても、最初は日雇い、アルバイトでその場を凌ぎ。(サボりながら)制作を続けた。正社員になり責任が増えるほど楽しくなるが、制作は減った。ただ同時に、経営を垣間見ることで、経済というシステムについて考えることになる。作品を作る・見るだけでは、見えてこない視点。美術に観客がいるように、会社にはユーザーがいる。それぞれ解決できる問題が違う。会社の面白さは、ビジョンや課題に対して組織としてなぜ立ち向かうかを考え人を動かし、具体的に問題を変える組織力がある。まだ、関係者が増えれば増えるほど、関係性に気を遣うことになり、金の流れと誰かの思惑がる。企業間で戦略を張り巡らす思考は面白い。話は外れたが、制作するには独立していなければならない。組織として独立している状態を作るには、制作者の視点だけでは足りず、運営者として経営の視点を手に入れなければならない。

会社員として回り道をしている間に、経営者の視点があることを知った。言葉としては知っていた。けれど、サービスのブランディングを担当したり、経済・経営の書籍を読み、とどめに会社を運営する立場(正確には準備中です)になり社員をどう養うのかを考えた時に、どうやら違う考え方があると知った。実際の行動はこれからだし、考え方を改めることもあるだろうが、美術を制作するには、制作する環境もコントロールできる状態にしなければ、外から圧力によって変えざる負えない。だからこそ独立して作れる場所のために経営する道へ進む。



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竹下 想
ここまでスクロールしていただけて嬉しいので、間違いなく嬉しい。